中国SNSを活用して、自社商品を販売し、成功しているブランドや会社が続々と出てきています。
しかしながら、中国SNSを活用すれば、すぐに成功できるというわけではなく、中国SNSの特徴や仕組みを理解することが大切です。
特に、中国版TikTok抖音(Douyin)を活用するのであれば、そのアルゴリズムの理解は、中国SNS戦略の成功のキーとも言えるほど、非常に大事なことです。
この記事では、中国版TikTok抖音(Douyin)アルゴリズム、他の中国SNSとの違い、中国版TikTok抖音(Douyin)を使ったSNS戦略を成功させる方法について紹介していきます。
中国版TikTok抖音(Douyin)アルゴリズム
中国版TikTok抖音(Douyin)のビジネスモデル
アルゴリズムを解説する前に、中国版TikTok抖音(Douyin)のビジネスモデルや成り立ちを説明したいと思います。
ビジネスモデルや成り立ちを知っておくことで、中国版TikTok抖音(Douyin)アルゴリズムに対しての深い理解や、今後アルゴリズムの変更が起きても柔軟な対応ができるようになるからです。
まず、ビジネスモデルを説明すると、利用者の性別・年齢・閲覧履歴等をもとに、視聴者が好むショート動画をレコメンドするという画期的なSNSアプリを使ってもらうことで、広告収入を稼ぐというビジネスモデルです。
中国版TikTok抖音(Douyin)アルゴリズムの基本理念でもある、視聴者が好むショート動画をレコメンドするという機能がなぜ画期的だったのでしょうか。
中国版TikTok抖音(Douyin)の成り立ちを知るとわかります。
中国版TikTok抖音(Douyin)の成り立ち
中国版TikTok抖音(Douyin)の創業者である張一鳴は、2011年頃のある日、中国の地下鉄で新聞を読む人が激減し、スマートフォンを見ている人が増えていることに気が付きます。
当時、中国の不動産検索サイト会社のCEOをしていた張一鳴は、その職の辞任を決意し、バイトダンス社を新たに設立して、ニュース配信アプリを開発・運用します。
そのニュース配信アプリが「今日頭条」であり、中国では最も人気のあるニュースメディアアプリのひとつになっています。
当時「今日頭条」は、画期的な機能が特徴で、2012年8月からわずか1年足らずで9500万人利用者を獲得するほどの人気でした。
その画期的な機能というのが、アプリ利用者の好みに合わせて、ニュースを配信するというものでした。
既存のメディアアプリは、大多数の利用者が好む内容について、編集者がテーマ選定・記事編集し、すべての利用者に対して、同一の内容を配信していました。
一方、「今日頭条」は、利用者の属性、住んでいる場所、閲覧履歴などをもとに、ニュース内容をシステムで選定し、各利用者の好みに合わせて、それぞれ異なる内容を配信していたのです。
広告も同様に、利用者の好みに合わせて配信することで、高いコンバージョンを維持していることが評判となり、広告主からも人気を集めることに成功します。
さらに、2014年に張一鳴は、中国メディア各社や中国政府機関に対して、「今日頭条」で直接ニュースを投稿できるようにし、コンテンツの充実化にも力を入れます。
このようにして、「今日頭条」は、投稿者を増やすととともに、ユーザーの好みに合った配信という画期的なシステムにより、大成功したのでした。
2016年、「今日頭条」のビジネスモデルの横展開として、スマートフォンのショート動画アプリである中国版TikTok抖音(Douyin)が誕生したのです。
現在では、中国版TikTok抖音(Douyin)は、「今日頭条」のユーザー数規模をはるかに超えて、中国で最もメジャーなアプリのひとつになっています。
また、ビジネスモデルや成り立ちからわかるように、中国版TikTok抖音(Douyin)は、あくまで、より多くの人にアプリを使ってもらい、広告収入につなげるというのが主な目的です。
現在のアルゴリズムは、その目的を達成させるために、常に最適に設計されています。
環境や時代の変化などによって、そのアルゴリズムも変化するものであることを理解しておく必要があるでしょう。
中国版TikTok抖音(Douyin)の動画投稿までの流れ
中国版TikTok抖音(Douyin)の動画投稿までのステップは、以下の通りです。
- ステップ1:ユーザーより動画投稿申請
- ステップ2:動画・画面・テーマ・キーワードに対してシステムチェック
- ステップ3:コピーかどうかのシステムチェック
- ステップ4:レコメンド動画判定開始
1ステップについて、ユーザーより動画や画像のアップロードをして、投稿申請を行います。
投稿申請後、すぐに動画が公開されるわけではなく、十数秒~数分間のチェックを経て(ステップ2-3)、審査がすべて通ったのちに、投稿が成功します。
2ステップについて、動画・画面・テーマ・キーワードに対してシステムチェックが行われ、ここで問題と判定されると、審査員によるチェックが行われます。
審査員によるチェックで、問題なしとなれば、ステップ3に入りますが、問題ありと判定された場合は、動画削除・動画閲覧数制限の措置が行われます。
ステップ3では、コピーかどうかのチェックをシステムにて行われます。
既に中国版TikTok抖音(Douyin)に投稿されている動画と類似しており、コピーであると判定された場合は、投稿成功とはなりますが、動画閲覧数制限の措置が行われます。
ステップ4 について、動画・キーワードやコピーチェックですべて問題なしと判定され、動画投稿が完了した後、ようやくレコメンド動画の判定が開始します。
このレコメンド動画の判定におけるアルゴリズムが、中国版TikTok抖音(Douyin)の肝であり、大きな特徴なのです。
中国版TikTok抖音(Douyin) のアルゴリズム
中国版TikTok抖音(Douyin) のアルゴリズムとは、投稿された動画に対して、おすすめ動画として扱うかどうかの判定を行う仕組みを指します。
具体的には、中国版TikTok抖音(Douyin)で動画投稿をすると、自動的に数百のユーザーへおすすめ動画として表示されます。
動画投稿後に、視聴完了率、「いいね」の獲得数、コメント数などを基準として評価を行います。
評価の結果、人気のある動画と判定されれば、さらに多くのユーザーへおすすめ動画として表示されます。
より多くのユーザーによって視聴された後、中国版TikTok抖音(Douyin)システム内で、「いいね」の獲得数など基に、再度評価を行います。
仮に、ここでも人気のある動画と判定されれば、さらに多くのユーザーへおすすめ動画として表示され、視聴されるようになります。
このように、一定数のユーザーへおすすめ動画として自動的に表示→動画の評価→人気動画と判定されればより多くのユーザーへ自動的におすすめ動画として表示→動画の再評価→..とループ状に続いていきます。
人気動画と判定されず、このループから外れた場合は、おすすめ動画として表示されなくなりますので、再生数の増加スピードは落ちていきます。
中国版TikTok抖音(Douyin)システムは、公式にルール化されているわけではありません。
しかしながら、一般的には、最高8段階まで、判定を行うループがあると言われています。
【判定段階と再生数を表した図、云媒易123から抜粋】
8段階目:3000万以上程度再生数
7段階目:700-1100万程度の再生数
6段階目:200-300万程度の再生数
5段階目:40 ~ 60万程度の再生数
4段階目:10-12万程度の再生数
3段階目:1.2 万-5 万程度の再生数
2段階目:3000回程度の再生数
1段階目:300回程度の再生数
また、上位段階になると、システムだけで判定するのではなく、審査員による判定も行われると言われています。
アルゴリズムに関係する指標と他の中国SNSとの違い
加算式アルゴリズム指標
アルゴリズムに関係する指標は、加算式と減算式に分類することができます。
まず、加算式指標は、投稿した動画がおすすめ動画として扱われやすくなる指標を指します。
具体的には、下記の指標です。
- 視聴完了率
- 「いいね」の数
- コメント数
- 転送数
- お気に入りの数
- 視聴者参加型のキャンペーンの盛り上がり具合
- ダウンロード数
上記の指標が高ければ高いほど、おすすめ動画として扱われる可能性が高くなります。
それぞれの指標の詳細については、下記の記事で紹介していますので、興味のある方はお読みください。
抖音(Douyin)の伸ばし方!中国における効果的な集客方法とマーケティング戦略 | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
減算式アルゴリズム指標
減算式アルゴリズムの指標は、投稿した動画がおすすめ動画として、扱われなくなってしまう指標を指します。
具体的には、下記の指標です。
- 既に投稿されている動画のコピー
- 他の中国SNSやホームページ等への誘導
- 広告動画
- 「不感兴趣(日本語:興味なし)」ボタンが押されている割合
1つ目の、既に投稿されている動画のコピーについて、投稿前のシステム判定により、コピーと扱われた場合は、おすすめ動画として扱われません。
初期再生数も、300回にも届かず、場合によっては、数十回でとどまることもあります。
2つ目の、他の中国SNSやホームページ等への誘導について、中国版TikTok抖音(Douyin)以外のアプリなどへ誘導していると判断された場合を指します。
この場合も、初期再生数は極端に制限されます。
3つ目の広告動画も同様、初期再生数は極端に制限されます。
ただし、企業アカウントに変更すると、広告動画に対する制限を外すことができ、仮に制限をかけられた場合であっても、直接中国版TikTok抖音(Douyin)へ問い合わせすれば、解除してくれます。
中国版TikTok抖音(Douyin)企業アカウントについては、下記の記事にて、解説していますので、興味のある方はご覧くださいませ。
中国版TikTok抖音(Douyin)抖音の企業アカウントを利用して、中国で商品を宣伝し販売力アップ! | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
4つ目の「不感兴趣(日本語:興味なし)」ボタンが押されている割合について、この割合が多いと、おすすめ動画として扱われる可能性が低くなります。
「不感兴趣(日本語:興味なし)」ボタンは、まれに視聴者へ自動表示されるものですが、視聴者から自主的にボタンを押されることもあります。
他の中国SNSとの違い‐快手(Kuaishou)、小紅書(RED)、微信视频号(WeChat動画アカウント)
中国版TikTok抖音(Douyin)以外の中国SNSショート動画アプリのアルゴリズムについても、簡単に見ていきましょう。
代表的な中国SNSショート動画アプリでは、中国版TikTok抖音(Douyin)以外に、快手(Kuaishou)、小紅書(RED)、微信视频号(WeChat動画アカウント)があります。
投稿された動画に対して、おすすめ動画として扱うかどうかの判定を行う仕組み自体は、中国版TikTok抖音(Douyin)と似ていますが、各アプリでアルゴリズムに関係する指標や重きを置く指標が異なります。
快手(Kuaishou)は、中国版TikTok抖音(Douyin)がヒットする前まで、最も人気あった中国SNSショート動画です。
快手(Kuaishou)では、アルゴリズムの指標は、フォロワー数が重視される傾向があるのと、メガヒットが生まれにくい構造が特徴です。
まず、フォロワー数が重視される傾向があるため、アカウントのフォロワー数と再生数に比例関係があります。
また、快手(Kuaishou)は、おすすめ動画として選ばれても、中国版TikTok抖音(Douyin)と比較すると、おすすめ動画として推薦される人数の広がりはなく、メガヒットが生まれにくい構造になっています。
小紅書(RED)は、中国発のソーシャルEC プラットフォームで、中国版InstagramやInstagramとAmazonの合体版と呼ばれています。
小紅書(RED)は、コメント数、転送数、フォロワー数が重視される傾向があります。
小紅書(RED)は口コミ・レビューアプリとして活用されることが多いアプリ、という背景があるためでしょう。
微信视频号(WeChat動画アカウント)は、中国最大のメッセージアプリであり、中国版LINEと呼ばれる微信アプリの中で見ることができるショート動画です。
微信视频号(WeChat動画アカウント)では、微信アプリ内の友達が高い評価をした動画が、おすすめ動画として選ばれやすくなっています。
これは、微信视频号(WeChat動画アカウント)が、メッセージアプリから派生したアプリということもあり、友達のとのつながりを重視していることを表しています。
このように比較してみると、中国版TikTok抖音(Douyin)は、動画コンテンツそのものを純粋に評価するアルゴリズムであることがわかります。
中国版TikTok抖音(Douyin)を使って中国SNS戦略を成功させる方法
成功させるための手順
中国版TikTok抖音(Douyin)を使って中国SNS戦略を成功させる方法について、下記のように整理できます。
1、会社や商品のブランディング
2、プロモーションの計画・実行
3、プロモーション後でも売れる仕組みを構築
まず、商品のブランディングをして、中国における顧客ターゲットや訴求ポイントを整理します。
中国SNSを使って成功している企業は、すべて事前のマーケティングをしっかり行っています。
ブランディングについては、下記の記事で紹介しておりますので、興味のある方はご覧ください。
中国BtoB越境ECで成功するためのブランディング戦略とその事例 | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
ブランディング戦略で方向性が決まりましたら、プロモーションをどのように行っていくかを決めていきます。
具体的には、どのタイミングでどの中国SNSプラットフォームを選択するか、そしてKOLの選定などを行っています。
最後に、プロモーション後でも売れる仕組みを構築します。
プロモーションはあくまで起爆剤であり、プロモーション後でも継続してものが売れるのが理想です。
越境ECプラットフォーム内の自社アカウントや、自社ECサイトへの呼び込みができるように仕組みを構築しておくことが大事です。
成功させるためのコツ
もし、自社ブランドや商品が中国で知名度がないが、中国消費者を十分引き付けることができるビジュアルや動画があれば、中国版TikTok抖音(Douyin)でプロモーションをするのが適しているでしょう。
中国版TikTok抖音(Douyin)のアルゴリズムでは、アカウントのフォロワー数に関係なく、動画の面白さが純粋に評価されやすい仕組みになっており、またメガヒットが最も生まれやすいためです。
一方、先に中国でコミュニティやファン層を構築してから、中国市場を着実にゆっくりと攻めていきたいというのであれば、まずは小紅書(RED)を使っていくという方法もあります。
直近の中国では、各種ブランドが、小紅書(RED)で、中国消費者の購買意欲を刺激した後、中国版TikTok抖音(Douyin)や他ECを使って、プロモーションや販売を行うという傾向があります。
また、小紅書(RED)は、コンテンツ作り、ファン層やコミュニティの形成に最適です。
コミュニティ形成後に、中国版TikTok抖音(Douyin)等でプロモーションを行うと非常に効果的なことがわかっています。
中国SNS戦略を成功させるためのコツは、これだけではありませんが、中国SNSの特徴や自社商品との相性を比較検討することが大事です。
最後に
以上、中国版TikTok抖音(Douyin)アルゴリズム、他の中国SNSとの違い、中国版TikTok抖音(Douyin)を使ったSNS戦略を成功させる方法を解説しました。
弊社は現在、中国版TikTok抖音(Douyin)・小紅書(RED)を活用した中国SNSの運用代行や、中国への越境ECの支援などのサービスを展開しております。
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