グレートファイアウォールとは?中国のネット規制が日本ブランドの中国進出に与える影響と、規制の内側で成果を出すSNS戦略【2026年最新版】

「日本からInstagramやYouTubeで中国向けに発信しているのに、まったく反応がない」という声を、日本企業のご担当者様から伺うことがあります。

その原因の多くは、中国独自のインターネット規制である「グレートファイアウォール(金盾)」にあるかもしれません。

グレートファイアウォールによって、日本企業が普段使っているSNSや広告の多くは、中国本土の消費者にほとんど届かない状況にあるのです。

この記事では、グレートファイアウォールの仕組みを整理したうえで、日本ブランドの中国進出にどのような影響があるのか、そして規制の「内側」で成果を出すための具体的な戦略を解説していきます。

【この記事でわかること】
・グレートファイアウォール(金盾)の仕組みと、中国で使えない主な海外サービス
・グレートファイアウォールが日本ブランドの中国進出に与える5つの影響
・VPN前提の情報発信がビジネスで通用しない理由と関連する法規制
・規制の内側で成果を出すための中国版TikTok抖音(Douyin)・小紅書(RED)・越境EC活用戦略
・グレートファイアウォールに関するよくある質問と回答

目次

グレートファイアウォール(金盾)とは

グレートファイアウォール(Great Firewall、略称GFW)とは、中国政府が運用する国家規模のインターネット検閲・遮断システムの通称です。

「万里の長城(Great Wall)」と「ファイアウォール(Firewall)」を組み合わせた呼び名で、中国では公安部門の情報化プロジェクト「金盾工程」の一部として知られています。

中国本土から国外のウェブサイトやアプリへの接続を選択的に制限しており、対象は政治的な情報にとどまりません。

一般的なSNSや検索エンジン、動画サービスにまで遮断の範囲が及んでいる点が大きな特徴といえるでしょう。

グレートファイアウォールの基本的な仕組み

グレートファイアウォールは、いくつかの方法を組み合わせて海外サイトへの接続を止めています。

主な方法は次の4つです。

・住所をすり替える:サイトの「住所」を調べても、わざと違う住所を返してたどり着けなくする
・道をふさぐ:特定のサイトとの通信そのものを止める
・言葉で止める:特定の言葉が含まれる通信を途中で切る
・中身を見抜く:通信の特徴を分析し、規制をすり抜けようとする接続も見つけ出す

遮断の対象や強度は固定されておらず、時期や社会情勢によって変動します。

昨日まで見られたサイトが突然つながらなくなることもあり、海外サービスを前提とした中国向け施策は常に不安定さを抱えることになるのです。

中国で利用できない主な海外サービスと中国の代替サービス

日本企業が日常的に使っているサービスの多くは、中国本土では原則として利用できません。

一方、中国ではそれぞれに対応する国産サービスが発達しています。

主なサービスを整理すると、以下のとおりです。

分野中国で利用できない主なサービス中国で使われている主なサービス
検索エンジンGoogle百度(Baidu)
動画共有YouTubebilibili、中国版TikTok抖音(Douyin)
ショート動画TikTok(海外版)中国版TikTok抖音(Douyin)、快手(Kuaishou)
SNS・口コミInstagram、Facebook小紅書(RED)、微博(Weibo)
短文投稿X(旧Twitter)微博(Weibo)
メッセージアプリLINE、WhatsAppWeChat(微信)
地図Googleマップ高徳地図(Amap)、百度地図

特に注意したいのが、TikTokと中国版TikTok抖音(Douyin)の関係です。

同じByteDance社のサービスですが、アカウントもコンテンツも完全に分かれており、日本のTikTokで人気の動画でも中国の消費者には届きません。

「壁」が生んだ中国独自のデジタル経済圏

グレートファイアウォールは規制である一方、結果として巨大な国内デジタル市場を育ててきました。

中国互联网络信息中心(CNNIC)の第57次報告によると、2025年12月時点で中国のネットユーザーは11.25億人、インターネット普及率は80.1%に達しています。

参照:https://www.news.cn/tech/20260206/30e10490a3ff4f3e97a3c07be3371093/c.html

同報告では、SNS(社交网络)の利用者も11.14億人にのぼり、ネットユーザーの98.9%を占めることが示されました。

参照:https://www.cnnic.cn/NMediaFile/2026/0304/MAIN1772588317069TUXN3827X8.pdf

つまり、中国の消費者は「壁の内側」で情報収集から購買までを完結させています。

日本ブランドもその内側に入らなければ、存在自体を知ってもらうことすら難しいのが実情なのです。

グレートファイアウォールが日本ブランドの中国進出に与える5つの影響

ここからは、グレートファイアウォールが日本企業の中国向けマーケティングに、具体的にどのような影響を及ぼすのかを見ていきましょう。

影響1:日本のSNSアカウントや広告が中国の消費者に届かない

最も大きな影響は、日本国内で育ててきたSNS資産が中国本土では機能しない点にあります。

InstagramのフォロワーやYouTubeの登録者がどれだけ多くても、中国本土の一般消費者がそれを目にする機会はほとんどありません。

Google広告やMeta広告も、中国本土のユーザーに向けた配信手段にはなりえないでしょう。

影響2:日本の公式サイトが表示されない・極端に遅くなる

日本国内のサーバーで運営している公式サイトは、遮断されていなくても、中国から閲覧すると読み込みが非常に遅くなるケースが少なくありません。

特に見落とされがちなのが、サイトに組み込まれた外部サービスです。

Googleフォント、Googleマップ、YouTubeの埋め込み動画、reCAPTCHAなどを利用していると、その部分の読み込みが止まり、ページが正しく表示されない、フォームが送信できないといった不具合につながります。

中国語ページを用意しても、中国の消費者から見れば「開かないサイト」になっている可能性があるわけです。

影響3:中国国内でサイトを公開するにはICP手続きが必要

表示速度の問題を解決しようと中国国内のサーバーにサイトを置く場合、今度は制度面のハードルに直面することになるでしょう。

中国本土でウェブサイトを公開するには工業和信息化部(MIIT)が管理するICP届出(ICP備案)が必要で、ECなど営利目的のサービスにはさらに商用ICPライセンスが求められます。

JETROも、中国で自社サイトを立ち上げて商品を販売する場合にはICP関連の手続きが必要であると説明しています。

外資企業にとって取得は容易でなく、多くの企業が中国のECプラットフォームを利用しているというのがJETROの見立てです。

参照:https://www.jetro.go.jp/world/qa/J-210602.html

2つの手続きの違いは、以下のとおりです。

項目ICP届出(ICP備案)商用ICPライセンス
対象中国本土で公開するすべてのウェブサイトEC・有料サービスなど営利目的のオンライン事業
手続きの性質届出制許可制(当局の審査あり)
申請主体原則として中国の法人・個人要件を満たす中国の法人
外資企業にとっての難易度中国現地法人があれば対応可能要件・審査が厳しく、取得のハードルが高い

影響4:コンテンツ審査と表現規制への対応が求められる

中国国内のプラットフォームにも独自のコンテンツ審査があります。

政治・宗教に関わる表現はもちろん、中国の広告法で禁じられた「最高」「No.1」などの最上級表現や、医薬品と誤認されかねない効能表現にも注意が必要です。

さらに2026年1月1日には、2017年の施行以来初の全面改正となる改正サイバーセキュリティ法が施行され、違法行為に対する責任も強化されました。

参照:https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/93188c702c133e78/20250045_02.pdf

日本向けに作ったコンテンツをそのまま翻訳して投稿すると、表示制限やアカウント停止につながるおそれもあります。

中国のネット上で避けるべき表現については、クレソンの過去記事「知っておきたい!中国ネット上の禁止ワード一覧」で詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。

関連記事:https://creson.jp/media/china-ban-word-list/

影響5:中国消費者の反応やデータが見えにくい

Googleアナリティクスなどの分析ツールは、中国国内からのアクセスを安定して計測できないことがあり、「誰が見て、どう反応したのか」がつかめないまま施策が終わりがちです。

中国SNSでは、各プラットフォームが提供する分析機能を使い、コメント数・保存数・検索ワードといった中国ならではの指標を読み解くことが欠かせません。

VPN前提の情報発信はなぜビジネスで通用しないのか

「中国の人もVPNを使えばInstagramを見られるのでは」という疑問を持つ方もいるかもしれません。

確かに一部の層はVPNを利用していますが、それをマーケティングの前提にするのは現実的ではないのです。

VPNをめぐる中国の法規制

中国の工業和信息化部は2017年、電信主管部門の許可なく専用線やVPNを自ら構築・賃借して越境の経営活動を行うことを禁じる通知を出しました。

参照:https://www.miit.gov.cn/zwgk/zcwj/wjfb/tz/art/2017/art_a940645e940946e1a62cd6c90a4e994e.html

同部は、外資系企業などが社内業務のために越境接続を行う場合、認可を受けた通信事業者から国際専用線を借りれば問題ないとの見解も示しています。

参照:https://www.cac.gov.cn/2017-01/26/c_1120381529.htm

つまり、企業の社内利用には正規のルートが存在するものの、一般消費者が無許可のVPNで海外SNSを閲覧することを前提にした施策は、法的に不安定な土台の上に成り立つことになります。

中国消費者の大多数は「壁の内側」で購買を決めている

仮にVPNを使う人がいても、日常的に商品を調べて購入する場は中国国内のSNSやECです。

中国版TikTok抖音(Douyin)で商品を知り、小紅書(RED)で口コミを検索し、ECやライブコマースで購入するという流れが、現在の中国消費者の典型的な購買行動となっています。

11億人を超えるネットユーザーのうち、VPNで海外SNSを見ている一部の層だけを狙うのは、市場の大半を最初から手放すことと変わりません。

グレートファイアウォールの内側で成果を出す日本ブランドの進出戦略

では、日本ブランドはどのように中国市場へアプローチすればよいのでしょうか。

まずは、代表的なアプローチを比較してみましょう。

中国向け情報発信のアプローチ比較

アプローチ中国消費者へのリーチ制度面の安定性購買への導線評価
日本のSNS・広告で発信ほぼ届かない問題はないが効果が乏しいほぼなし×
日本の公式サイトを中国語化表示遅延・不具合のリスク問題なし弱い△
中国国内に自社サイトを開設届くが集客は別途必要ICP手続きが必要自社での構築が必要△
中国SNSで公式アカウントを運用直接届く各プラットフォームの規約に準拠ライブコマース・ECと連動◎
越境ECで販売直接届く越境EC制度の範囲内で可能強い◎

表からもわかるとおり、グレートファイアウォールの内側にあるチャネルを使うことが、最も現実的かつ効果的な選択肢です。

なかでも、中国SNSでの認知・口コミづくりと越境ECでの販売をセットで設計することが、成果への近道となるでしょう。

戦略1:中国SNSに「中国向けの顔」をつくる

最初のステップは、中国SNS上にブランドの拠点を築くことです。

目的に合わせてプラットフォームを使い分けましょう。

中国版TikTok抖音(Douyin):認知拡大とライブコマース

中国版TikTok抖音(Douyin)は、ショート動画とライブコマースで一気に認知を広げたい場合に適しています。

製造現場のこだわりや使用シーンを短い動画で見せれば、「日本製」の品質を直感的に伝えられるでしょう。

小紅書(RED):口コミの蓄積と検索対策

小紅書(RED)は、購入前に商品を検索して口コミを確かめる場として定着しています。

KOC(一般消費者に近い発信者)による体験投稿を積み重ねれば、検索されたときに信頼できる情報が見つかる状態をつくれるでしょう。

例えば、無印良品のように、中国市場で活躍している日本ブランドは、中国国内のSNSを活用しています。

【無印良品の小紅書(RED)アカウント】

WeChat(微信):顧客との継続的な関係づくり

WeChat(微信)は、公式アカウントやミニプログラムを通じて、購入後の顧客と継続的につながるための基盤です。

リピート購入や会員化を狙うなら、欠かせないチャネルといえます。

戦略2:越境ECで「壁の内側の売り場」を確保する

中国SNSで関心を集めても、購入できる場所がなければ売上にはつながりません。

越境ECを活用すれば、中国に法人を設立しなくても、天猫国際(Tmall Global)や京東国際、中国版TikTok抖音(Douyin)の越境EC機能などを通じて中国の消費者に商品を届けることが可能です。

少し古い情報ではありますが、経済産業省が2025年8月に公表した調査によると、2024年の中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は2兆6,372億円で、前年から8.5%増加しました。

参照:https://www.meti.go.jp/press/2025/08/20250826005/20250826005.html

プラットフォーム上で販売すれば、自社サイトのICP手続きやサーバーの問題を気にせずに済む点も大きなメリットです。

ただし、商品カテゴリによっては越境ECで扱えないものもあるため、事前の確認は欠かせません。

戦略3:現地目線の運用体制とテストマーケティングで始める

中国SNSはトレンドの移り変わりが速く、「刺さる」表現も日本とは大きく異なるため、中国のユーザー感覚を理解した人材によるコンテンツ制作が求められます。

中国の電話番号や本人確認を前提とした機能も多く、日本から単独で運用するには負担が大きいでしょう。

いきなり大きな予算を投じるのではなく、まずは小規模なテストマーケティングで中国消費者の反応を確かめ、手応えのあった商品やチャネルに投資を集中させるのが堅実な進め方です。

クレソンでは、中国版TikTok抖音(Douyin)・小紅書(RED)の運用代行をはじめ、中国インフルエンサーマーケティング、中国語動画の制作・吹替、越境EC支援、中国市場特化型テストマーケティングまで、グレートファイアウォールの内側で成果を出すための施策をワンストップでご支援しています。

「何から始めればよいかわからない」という段階でも、お気軽にご相談ください。

クレソンのサービス一覧

グレートファイアウォールに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 香港やマカオもグレートファイアウォールの対象ですか?

香港とマカオは中国本土とは別のインターネット環境にあり、GoogleやInstagramも一般的に利用できます。

香港向けと中国本土向けの施策は、チャネル選定の段階から分けて考える必要があるのです。

香港と中国本土のビジネス環境の違いについては、クレソンの記事「香港と中国の違い」も参考にしてください。

関連記事:https://creson.jp/media/difference-china-hongkong/

Q2. 日本企業でも中国SNSの公式アカウントは開設できますか?

開設は可能ですが、企業認証ではプラットフォームごとに必要書類が異なり、中国の電話番号や営業許可証を求められる場合もあります。

海外企業向けの認証ルートや、運用代行会社を通じて開設するケースが一般的です。

Q3. 日本の公式サイトは中国のサーバーに移すべきですか?

必ずしも移す必要はありません。

販売を中国のECプラットフォーム中心に行うのであれば、中国で読み込めない外部サービスを減らすだけで十分なケースも多いでしょう。

自社サイトでの直販を本格化させる段階で、ICP手続きを含めて検討するのが現実的です。

Q4. グレートファイアウォールの規制は今後緩和される可能性がありますか?

大幅な緩和を見込める根拠は、現時点では乏しいといわざるをえません。

改正サイバーセキュリティ法の施行など、ネット空間の管理はむしろ強化される方向にあります。

緩和を待つより、規制を前提に中国国内のチャネルで成果を出す体制を整えることが近道になるはずです。

最後に

以上、グレートファイアウォール(金盾)の仕組みと日本ブランドの中国進出に与える影響、そして規制の内側で成果を出すための戦略について、解説しました。

弊社は現在、中国版TikTok抖音(Douyin)・小紅書(RED)を活用した中国SNSの運用代行や、中国への越境ECの支援などのサービスを展開しております。

中国SNSを活用したプロモーションについて、ご興味のある方は、是非、弊社のサービスページをご覧いただくか、お問い合わせください。

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