WeChat(微信)は中国最大のメッセンジャーアプリです。
中国版LINEとも言われることもあり、メッセンジャーやスタンプなどLINEと似たような機能があります。
WeChat(微信)のなかでも人気な機能が、モーメンツです。
簡単に言えば、Facebookのタイムライン機能のようなもので、多くのブランドによりプロモーション手段として使われています。
この記事では、WeChat(微信)モーメンツとは何か、モーメンツを使った広告手段、成功事例などを紹介していきます。
WeChat(微信)のモーメンツ機能を理解しよう
モーメンツとは
モーメンツとは、WeChat(微信)アプリ上で、写真や動画などを投稿できる機能です。
中国では「朋友圈」と呼ばれ、お出かけスポットやお気に入りグルメなどの近況について、モーメンツで投稿するというのが流行っています。
Facebookのタイムライン機能と似ていますが、中国ではFacebookやX(Twitter)などのメジャーなSNSが使えません。
そのため、中国最大のメッセンジャーアプリであるWeChat(微信)のモーメンツを使って投稿しているのです。
中国現地に来ると、モーメンツの普及度合いがすぐわかります。
例えば、中国現地の地下鉄の中や待ち合わせ場所などで、中国人のスマートフォンの画面をのぞくと、モーメンツを見ている人が多くいることに気づきます。
また、WeChat(微信)は中国最大のメッセンジャーアプリであることから、大部分の中国人によって利用されています。
WeChat(微信)については、下記の記事で詳細を紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
WeChat(微信)を上手に日本で使うコツと注意点 | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
WeChat(微信)モーメンツの特徴
WeChat(微信)モーメンツの理解をもう少し深めるために、モーメンツの特徴を紹介したいと思います。
モーメンツには、2つの大きな特徴があります。
それは、利用者数が莫大であること、そして親密性が高いことです。
まず、WeChat(微信)の創始者である张小龙の分析などによれば、WeChat(微信)自体のユーザー数は、2023年6月時点で13億人に達しており、ほぼ全員がアクティブユーザーです。
そのうち、毎日1.2億人がモーメンツで投稿しており、約8億人がモーメンツの投稿を見ています。
最近では、動画で投稿するモーメンツも増えており、毎日1憶近くの動画が投稿されているのです。
このように、中国語圏おいて圧倒的なユーザー数がいる点が、モーメンツの大きな特徴です。
2つ目の特徴として、モーメンツはWeChat(微信)で友達になったユーザーの投稿しか見ることができないという、高い親密性があります。
もともとメッセンジャーアプリとして人気が出てきた経緯があるため、お互いの親密性を重視している投稿プラットフォームなのです。
結果として、拡散性はそれほど高くはありませんが、投稿を見た人への影響力は非常に大きいです。
例えば、中国での代表的な投稿プラットフォームとして、weibo(微博)があります。
友達申請しなくても投稿内容を見ることができ、少ない文字数で投稿するプラットフォームのため、中国版X(Twitter)と言われることがあります。
中国マーケティングの世界では、このweibo(微博)は拡声器、WeChat(微信)は電話と例えられています。
weibo(微博)は、拡声器のように多くの人に知らせることができ、拡散機能があり、告知や話題性を高める投稿に向いています。
一方、WeChat(微信)は、拡散力はありませんが、電話のように直接ユーザーへアプローチできる威力を持っているのです。
ブランド側の広告戦略としては、weibo(微博)でお知らせを出して、WeChat(微信)で個別のアプローチをするという戦略がよく採用されています。
WeChat(微信)モーメンツ広告種類と相場価格
WeChat(微信)モーメンツ広告種類
ブランド側の広告ツールとして、WeChat(微信)モーメンツが使われていることが分かったと思いますが、具体的にどんな広告があるのか紹介しましょう。
まず、モーメンツ広告は、WeChat(微信)のモーメンツ上に広告を表示させることができます。
その広告には、ブランドキャンペーン、店舗宣伝、アプリの宣伝、クーポン配布、公式アカウントの告知、見込み顧客の獲得、ミニゲームの宣伝などの内容を掲載することが可能です。
さらに、広告種類は、全部で10種類あります。
- 一般投稿広告(中国語:常规式广告):友達(一般ユーザー)の投稿と同じ形式で広告が表示され、自然な印象を与えることができます。文字や画像、動画を使って簡単に製作でき、ユーザーにアプローチできます。
【一般投稿広告(中国語:常规式广告)のサンプル、テンセントサイトより抜粋】
- 一般カード広告(中国語:基础式卡片广告):画像と文字で構成されるカード形式の広告で、カードをタップすると企業のサイトやミニプログラムに移動できます。ユーザーアクションを促進しやすい広告形式です。
【一般カード広告(中国語:基础式卡片广告)のサンプル、テンセントサイトより抜粋】
- タグカード広告(中国語:标签式卡片广告):カード広告にタグを設定できる形式で、特定のタグに関心のあるユーザーに広告を届けることが可能になります。ターゲットを絞ったアプローチをしたいときによく活用されています。
- アクションカード広告(中国語:行动式卡片广告):カードにボタン(例:「クーポンをゲット」など)を配置することで、ユーザーにアクションを促しますことができます。
- 選択式カード広告(中国語:选择式卡片广告):ユーザーが選択できる2つのオプションボタンを配置する広告形式で、ユーザーエンゲージメントを高めることができます。
- 全幅カード広告(中国語:全幅式卡片广告):通常のカード形式よりも大きく表示させることで、商品やサービスを大きくアピールします。
【全幅カード広告(中国語:全幅式卡片广告)のサンプル、テンセントサイトより抜粋】
- 360度カード広告(中国語:全景式卡片广告):カード内の画像をスワイプし360度見渡せる広告で、商品や場所を全方位から見せることができる広告です。結果として、ユーザーの興味を引きつけ、広告を目立たせる効果があります。
【360度カード広告(中国語:全景式卡片广告)のサンプル、テンセントサイトより抜粋、写真ではわかりにくいが実際は画像をスワイプし360度見渡せる】
- スワイプカード広告(中国語:滑动式卡片广告):カード内の画像にスワイプできる場所を設定し、ユーザーの興味を引きつけ、エンゲージメントを高める広告です。
【スワイプカード広告(中国語:滑动式卡片广告)のサンプル、テンセントサイトより抜粋、写真ではわかりにくいが実際はスワイプするとほかの画像などが見ることができる】
- 長押しカード広告(中国語:长按式卡片广告):カードを長押しすることで、モーメンツ内に動くエフェクトを生み出せる広告形式です。大きなアクションでユーザーの注目を引き、商品の魅力を伝える効果があります。
- キャラクターコラボ型広告(中国語:IP互动式广告):キャラクターとコラボした広告を打つことで、キャラクターのファンを引き付け、特定ユーザーの興味を引くことができます。
【キャラクターコラボ型広告(中国語:IP互动式广告)のサンプル、テンセントサイトより抜粋】
広告種類は日々更新されており、バリエーションも豊かになっていますので、あくまで参考として見てくださいね。
WeChat(微信)モーメンツ広告の相場価格
WeChat(微信)モーメンツ広告の相場価格は、様々な要因によって変動し、地域、広告の形式、競争状況などが影響します。
一般的に、WeChat(微信)モーメンツ広告の価格は、クリック数や広告表示回数に基づいて決まります。
ブランド側である広告主は予算を設定し、クリックや表示回数に応じて課金されます。
競争が激しい地域や業界では価格が上昇する傾向があります。
参考までに、WeChat(微信)モーメンツ広告方式をお伝えすると、モーメンツ広告は、インプレッション課金方式(CPM)が主として採用されています。
インプレッション課金方式とは、分かりやすく説明すると、1,000回広告が表示される度に課金される方式です。
最近の相場価格としては、30-600元(600-12,000円相当)/1000回表示 です。
30-600元(600-12,000円相当)の価格幅は、主に広告を行う地域によって、変わります。
例えば、上海や北京の経済が最も発展している地域で広告を行おうとすれば、100-600元(2,000~12,000円相当)です。
一方、その他の比較的経済発展している沿岸部では60-400元(1,200-8,000円相当)、経済が比較的発展していない内陸部などでは30-400元(600-8,000円相当)です。
また、画像のみであれば、上記価格の10~20%程度低くなります。
なお、最新の相場価格や詳細な情報を知りたい場合は、WeChatの公式広告プラットフォームや広告代理店と直接連絡を取るか、弊社のような中国広告に詳しい会社へご連絡することをお勧めします。
WeChat(微信)モーメンツの広告成功事例
@糯米酒先生
WeChat(微信)モーメンツの広告の概要や価格相場感が分かってくると、どんなブランドがどんなやり方で成功しているか、気になった方もいるのではないでしょうか?
ここで、モーメンツ広告を活用した成功事例を3つ紹介したいと思います。
1つ目は、@糯米酒先生です。
糯米酒先生は、WeChat(微信)モーメンツを活用した最も代表的な成功事例です。
糯米酒とは、もち米やうるち米などを使った中国の黄酒の一つです。
当時、糯米酒の相場価格は、10-20元(200-400円相当)/1kgだったのですが、糯米酒先生の価格は120元(2,400円相当)でした。
自社ブランドが高価格帯であることをよく理解していた糯米酒先生は、アプローチすべき顧客が最も大事であるとわかっていました。
そこで、糯米酒先生は、リサーチ会社へ調査を依頼します。
調査の結果、高価格帯を好む消費者層が、高級キッチン店舗や高級家具屋にいることを突き止めます。
その後、糯米酒先生は、自宅の周りの高級キッチン10店舗と高級家具20店舗に足しげく通い、見込み顧客一人一人にアプローチしました。
そして、WeChat(微信)を通して、顧客一人一人の対話を大事にしながら、顧客を増やしていきます。
一定の顧客数になったときに、モーメンツを活用して、ブランドの歴史やキャンペーン告知を行います。
結果として、半年足らずで、ゼロから2万人のフォロワーと毎月5万元(100万円相当)の売上を達成することができたのです。
適切なターゲティングができれば、WeChat(微信)モーメンツで高いプロモーション効果を得ることができることが分かります。
海底捞火锅店
2つ目は、海底捞という火鍋店です。
まず、海底捞は、weibo(微博)や中国最大級の口コミサイトである「大衆点評」の拡散力の高いプラットフォームで、告知や動画などを投稿し、自社ブランドの認知度を高める施策を行います。
次に、認知度や話題性が高まったところで、WeChat(微信)の公式アカウントに引き寄せます。
具体的には、WeChat(微信)のフォロワーになると、割引クーポンがもらえるキャンペーンを行うなどしたのです。
その後に、WeChat(微信)モーメンツで告知やキャンペーンを行い、効果的なマーケティングを行いました。
結果として、WeChat(微信)モーメンツの活用により、海底捞火锅店のWeChat(微信)アカウントでは、毎日100万回のアクセスがあるほど活発になり、売上にも大きく貢献しました。
林内(RINNAI)
3つ目の成功事例は、林内(RINNAI)です。
林内は、給湯機器や厨房機器など製造販売を行う、みなさんご存じの日本ブランドです。
林内は、微信(Wechat)の動画アプリである微信视频号とモーメンツを活用することで、161万の閲覧数を獲得しました。
【リンナイの微信(Wechat)の企業公式アカウント】
結果として、クリック率(クリック回数/表示回数)10%という非常に効果の高いプロモーションを行うことに成功しました。
もともと林内は中国でも一定の地位を築いており、微信(Wechat)の企業公式アカウント上の中国人のフォロワーも多くいました。
そこで、林内は、微信视频号とモーメンツで、フォロワーが興味を引くような動画を投稿します。
すると、その動画が起爆剤となり、低予算で効果のあるプロモーションを打つことができたのです。
林内が微信视频号とモーメンツの活用のみで成功できたのでしょうか?
その理由は、明確なからくりがあります。
実は、微信(Wechat)企業公式アカウントのフォロワーは、凝ったプロモーションをしなくても、動画告知だけで買ってくれる傾向があり、その動画自体もいい動画として評価されやすいことがわかっています。
さらに、微信アプリ内の友達が高い評価をした動画が、おすすめ動画として選ばれやすくなっているため、熱狂的なフォロワーがいること自体が起爆剤となります。
これは、微信视频号(WeChat動画アカウント)が、メッセージアプリから派生したアプリということもあり、友達のとのつながりを重視していることを表しています。
つまり、林内は既に中国に一定の顧客層やフォロワーがいたため、微信视频号とモーメンツの活用のみを活用するだけで、大きなプロモーション効果を得ることができたのです。
最後に
以上、WeChat(微信)モーメンツとは何か、モーメンツを使った広告手段、成功事例などを紹介しました。
弊社は現在、中国版TikTok抖音(Douyin)・小紅書(RED)を活用した中国SNSの運用代行や、中国への越境ECの支援などのサービスを展開しております。
ぜひご気軽にご相談ください。
クレソン株式会社 HP
クレソン株式会社 サービス一覧
クレソン株式会社 お問い合わせ
今後ともクレソン株式会社を何卒よろしくお願い申し上げます。