調査機関などによれば、コロナが終息して売り上げは増加したもの、コロナ前の水準には届かず、全体として横ばいから下落傾向にあると言われています。
大手ショッピングセンターなどは、東南アジアへの出店や通信販売に力をいれ、新しい対策を練り、ショッピング業界の下落トレンドから抜け出そうとしています。
一方、東南アジアへの出店など大きな余裕資金がない会社やブランドは、どのように対策していけばよいのでしょうか。
この記事では、中小企業にとっても参考になる、中国ソーシャルメディアの力を活用したショッピング業界の成功事例について、解説していきます。
ショッピングが大好きな中国人はショッピング業界のVIP顧客
伸び悩む日本のショッピング業界
業界動向リサーチなどの調査によれば、日本のショッピング業界は、コロナ前の業績水準には届いておらず、全体として横ばいから下落傾向が続いています。
【横ばいから下落傾向が続くショッピング業界、業界動向リサーチより】
背景には、日本国内景気やショッピング業界の成熟化などがありますが、先行き不透明な状況が継続することは間違いないでしょう。
イオンモールなどの大手は、東南アジアへの出店や通信販売に力をいれ、ショッピング業界の下落トレンドから抜け出そうとしています。
ここで、海外出店などあまり余裕資金や豊富な人材がいない、中小企業はどうしたらよいのでしょうか?
実は海外出店せずとも、ショッピングに最もお金を使ってくれる海外顧客を呼び込む方法があるのです。
訪日外国人でショッピング消費額がダントツNo.1の中国人
その方法とは、小紅書(RED)や中国版TikTok抖音(Douyin)などの中国ソーシャルメディアを活用し、中国消費者を呼び込む方法です。
海外顧客を呼び込むには、海外出店を行う必要があるのではと考えがちですが、実は海外出店をせずとも、海外顧客を呼び込むことは十分に可能です。
中国消費者は、小紅書(RED)や中国版TikTok抖音(Douyin)などの中国ソーシャルメディアから情報を入手し、海外旅行に行き、ショッピングを行っています。
さらに、小紅書(RED)や中国版TikTok抖音(Douyin)では、プラットフォーム自体にショッピング機能がありますので、商品を気に入ってもらえれば、その後も継続顧客になってくれます。
彼ら自身が中国で、自社ブランドの伝達人となってくれる可能性も十分に期待できるでしょう。
また、中国人は、訪日外国人でショッピング消費額がダントツNo.1です。
まず、2023年1月~3月の訪日中国人の一人当たり購入単価は149,540円であり、全国籍で最高額です。
全国籍の平均は53,337円であり、訪日中国人はその平均額の3倍ですから、その断トツぶりは異常であることがわかると思います。
【日本滞在中の費目別支出の購入者単価、⽇本政府観光局より】
それほど、中国人は日本でのショッピングが大好きであり、ショッピング業界にとって、VIP顧客なのです。
中国人に人気の商品ランキング
ここまで読んでいただいた方の中には、中国人が日本でどんなショッピングをしているのか、気になった方がいるのではないでしょうか?
実際にどんなショッピングをしているかを見るには、ショッピング率とショッピング消費額の二つの視点で見ると、実態がよく把握できます。
まず、直近2023年1月~3月の中国人の各商品ジャンルのショッピング率について、見ていきましょう。
ここで、ショッピング率とは、「購入したと回答した人数 / アンケート対象者数」のことをいいます。
簡単に言えば、100人の訪日中国人がいたら、そのうち何人がその商品を購入したかを示す指標です。
【日本滞在中の費目別支出のショッピング率(購入率)、⽇本政府観光局より】
⽇本政府観光局からのデータによれば、中国人の全体の購入率は高く、特に化粧水・香水・衣料品の購入率は、全国籍と比較して高めです。
一方、お酒や民芸品・伝統工芸品は、低めです。
次に、商品別の購入者単価について詳しく見ていきましょう。
中国人が金額を多く使っているのは、下記のジャンルです。
- 時計・フィルムカメラ(240,062円)
- 宝石・貴金属(177,742円)
- 靴・かばん・革製品(131,380円)
- 衣類(58,966円)、生鮮農産物(49,133円)
- 化粧品・香水(46,869円)
※()は日本滞在中の一人当たりのショッピング額を示しています。
また、購入率が低かった民芸品・伝統工芸品では、21,437円で多国籍平均よりも2倍近い金額を消費しています。
民芸品・伝統工芸品については、興味を持っている人の割合は多くないものの、購入者の予算は大きいということを示しています。
中国人が日本の民芸品等に触れる機会を増やすなどし、認知度を高めれば、更にマーケットが広がる可能性を秘めているとも言えるでしょう。
中国人の集客に成功したショッピング業界の成功事例
マツモトキヨシ
中国人が日本のショッピング業界にとって、大事な顧客になっていることが理解できました。
ここで、中国人の集客に成功したショッピング業界の成功事例を紹介したいと思います。
1つ目は、マツモトキヨシです。
マツモトキヨシは、訪日インバウンドマーケティングで成功している代表的な会社のひとつです。
まず、微博(Weibo)での割引告知、微信(WeChat)の公式アカウントを運用し、中国人へ向けた情報を発信しています。
【左側が微信(WeChat)、右側が微博(Weibo)の公式アカウント】
微博(Weibo)では、フォロワーが約18万人もおり、中国大陸(香港を除く)で実店舗がないのにもかかわらず、盛り上がっています。
店内では、中国語でポップや中国語対応可能なスタッフをそろえ、中国観光客がお店で不自由なく買い物ができるよう工夫されています。
また、免税処理対応もスムーズで、アリペイの他、WeChat Payも利用でき、中国観光客にとって、至れり尽くせりの環境です。
さらに、店舗でショッピングを楽しんでくれた中国人に対し、継続的に関係を維持できるよう、微信(WeChat)の公式アカウントなどへの誘導もきちんと行われています。
例えば、微博(Weibo)や微信(WeChat)の公式アカウントでフォロワーになると、追加割引を行うというキャンペーンを行っています。
中国観光客が中国に帰った後でも、プロモーションの通知を受け取り、越境ECサイトで気軽にショッピングができるようになっているのです。
実際、微信(WeChat)の公式アカウントを見ると、定期的に動画なども更新しており、中国人が買いたくなる仕組みが構築されていることがわかります。
さらに、越境ECで良く購入される商品やコメントなどを分析し、日本の実店舗の品ぞろえやキャンペーン企画の際に活用するなど、ECコマースと実店舗運用によるシナジー効果も出ています。
サマンサタバサ(Samantha Thavasa)
2つ目の成功事例は、サマンサタバサ(Samantha Thavasa)です。
サマンサタバサ(Samantha Thavasa)は、日本のカジュアルなカバンブランドで、特に女性もののバッグが人気です。
【サマンサタバサ(Samantha Thavasa)は日本のシャネルと称されている、小紅書(RED)の投稿より】
サマンサタバサ(Samantha Thavasa)は、中国からの訪日旅行客への対応をうまく行った、非常に参考になる成功事例です。
まず、サマンサタバサ(Samantha Thavasa)は、中国語対応のスタッフを配置するなどし、中国からの訪日旅行客をターゲットとして、柔軟に対応しています。
日本国内でしか手に入らない限定商品を提供しており、これが一部の中国消費者にヒットしています。
これらの商品には、日本の伝統的な要素などが取り入れられているものがあり、中国人にとって訪日の一つの目的にもなっているほどです。
最後に、小紅書(RED)などを通した口コミマーケティングもうまくいっており、日本での限定品が販売されると、瞬く間に多くの投稿が行われます。
中国にもサマンサタバサ(Samantha Thavasa)の店舗がありますが、種類は圧倒的に少ないため、中国で購入できないバッグなどは、日本の店舗でよく売れています。
令和彩东京和服👘体验店
3つ目の成功事例は、令和彩东京和服👘体验店という和服の販売・リースのお店です。
東京浅草にあるお店で、小紅書(RED)を活用して、中国人の呼び込みに成功しています。
【令和彩东京和服👘体验店の小紅書(RED)のページ】
小紅書(RED)のホーム画面を見てみると、フォロー数は1500とそれほど多くはありません。
ところが、投稿数もそれほど多くないものの、1.2万以上の「いいね」があり、多くの中国人が和服に興味があることを示しています。
和服を着て日本の街中を観光することは、日本へ訪れる中国人女性の定番コースにもなっており、令和彩东京和服👘体验店は、その波にうまく乗っているお店のひとつです。
【中国版TikTok抖音(Douyin)でも着付けの動画などは根強い人気がある】
また、中国からの観光客を受け入れるため、タテハリアンティーは中国語を話すスタッフを配置し、カスタマーサポートを提供しています。
言語の壁を取り扱うことで、観光客の信頼感を高めています。
ショッピング業界の成功ポイント
訪日観光中国人の各フェーズに合わせた施策
成功事例を見てきましたが、ショッピング業界の成功ポイントをいくつか紹介したいと思います。
1つ目は、訪日観光中国人の各フェーズに合わせた施策を行うことです。
まず、訪日インバウンドのマーケティングでは、旅マエ、旅ナカ、旅アトというフェーズに分けがあります。
旅マエとは訪日観光客が日本に行ったら何をするかを検討するフェーズ、旅ナカとは訪日観光を楽しんでいるフェーズ、旅アトとは訪日観光が終わり余韻に浸るフェーズを指します。
さらに、旅マエには、プレ旅マエという、海外旅行することが決まっているが、どこの国に行くのかを決めるフェーズがあります。
それぞれのフェーズで、どのように中国観光客にアプローチして、どのようなプロモーションを行うかを明確に定め、マーケティングを行うことが大事です。
つまり、中国人にショッピングを楽しんでもらうには、日本訪問中のショッピングだけでなく、訪日の前後でそれぞれ施策を行う必要があるのです。
例えば、前述したマツモトキヨシは、それぞれのフェーズでの施策がうまくいっています。
旅マエまでは、微博(Weibo)や微信(WeChat)の公式アカウントを運用し、中国人へ向けた情報を発信しています。
旅ナカでは中国語対応や店内のポップアップの工夫をしています。
さらに、訪問してくれた中国人には微博(Weibo)や微信(WeChat)などの公式アカウントお気に入り登録をしてもらい、旅アトでも、キャンペーンのお知らせなどを送り、ショッピングが継続する仕組みを構築しているのです。
小紅書(RED)と中国版TikTok抖音(Douyin)などの活用
2つ目のポイントは、小紅書(RED)と中国版TikTok抖音(Douyin)などの活用です。
ショッピング業界で成功している直近の事例を見てみると、その多くが中国ソーシャルメディアをうまく活用しています。
微博(Weibo)や微信(WeChat)など様々な中国ソーシャルメディアがありますが、直近で最も効果的・効率的に成功できる方法は、小紅書(RED)と中国版TikTok抖音(Douyin)の活用です。
まず、小紅書(RED)は、中国版Instagramとも言われる、中国人女性に大変人気のプラットフォームです。
小紅書(RED)のユーザー層は8割女性・8割若者で、口コミサイトとしても利用されています。
20-30代の中国人女性は、気になる商品があれば、まずは小紅書(RED)で口コミ調べるという行動が、一般化しているほどです。
そのため、中国の女性をターゲットとしてマーケティングをしたい場合は、小紅書(RED)を活用するのが非常に有効です。
女性客が多い傾向にある食文化や観光スポットに携わる会社にとって、小紅書(RED)は非常に強力な販売促進のツールになるでしょう。
小紅書(RED)については、下記の記事で詳細を記載していますので、興味のある方はご覧ください。
小紅書(RED)とは? 中国人女性に人気のSNSについて解説!! | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
次に、中国版TikTok抖音(Douyin)は、日本でもお馴染みのショート動画プラットフォームです。
中国では8億人を超える利用者がおり、最も利用されているショート動画アプリでもあります。
中国版TikTok抖音(Douyin) の大きな強みは、多くの幅広い中国消費者層にアプローチできることです。
ユーザーの年齢層は、中国の年齢層とほぼ一緒で、老若男女問わず、多くの中国人に支持されています。
また、おすすめ動画として扱うかどうかの判定を行う仕組みであるアルゴリズムが、非常に特徴的で、強みにもなっています。
簡単に説明すると、中国版TikTok抖音(Douyin)では、動画コンテンツ自体が純粋に評価される仕組みがあり、一度高い評価を得ると、一気に拡散する爆発力を持っています。
例えば、中国において自分のお店の認知度が低い場合や、アカウントのフォロワー数が少ない場合であっても、ひとたび投稿した動画がヒットすれば、短期間で拡散していきます。
中国で知名度のある日本のお店などは限られているため、ほとんどの場合は、中国版TikTok抖音(Douyin)を使ったプロモーションが向いています。
インフルエンサーの活用
中国ソーシャルメディアを使ってプロモーションを行う場合、インフルエンサーの活用が非常に大事になります。
インフルエンサーの中国ビジネスへの影響は、日本と比較にならないほど、非常に大きいです。
実際、中国においては、インフルエンサーを活用したマーケティングはすでに主流になっています。
その背景には、中国消費者は、大きな組織による裏切りを経験してきた過去があり、会社自身による広告は信じていません。
結果として、ブランドに起用されている有名人よりも、一般庶民に近いインフルエンサーの情報の方が信じることができると評価されているのです。
そのため、中国では、知名度の高い有名人やトップインフルエンサーを使い、会社公認のアンバサダーとして広告を行う方式は人気がありません。
成功事例で紹介した、サマンサタバサ(Samantha Thavasa)についても、自社のアカウントではなく、多くの投稿がインフルエンサーや一般人によるものです。
ブランドや店舗と関係のない一般人が発信している情報は、中国消費者にとってより大きな信頼性のある情報として受け取る傾向があるのです。
最後に
以上、中国ソーシャルメディアの力を活用したショッピング業界の成功事例について、解説しました。
弊社は現在、中国版TikTok抖音(Douyin)・小紅書(RED)を活用した中国SNSの運用代行や、中国への越境ECの支援などのサービスを展開しております。
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小紅書(RED)運用代行
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