中国からの訪日客の復活が秒読み段階になった今、中国人訪日観光客に人気の売れ筋商品には、どんなものがあるのでしょうか。
コロナ前後で消費性向の変化があったことも踏まえると、絶対に見逃せない情報だと思います。
この記事では、中国からの訪日客に人気の売れ筋商品、そしてその理由について、中国現地の情報も交えながら、紹介していきます。
インバウンド中国観光客の消費性向
一人当たりの消費額が高い
人気の売れ筋商品を紹介する前に、インバウンド中国観光客の消費性向について、解説したいと思います。
現在の売れ筋を知ることも大事ですが、今後どんな商品が売れ筋になりそうかについて、検討することも大切だからです。
インバウンド中国観光客がどんなものを好んで買うのかを知ることで、今後の対策や将来見通しなどが立てやすくなるでしょう。
まず、訪日する中国人の消費の特徴として、他の国に比べ一人当たりの消費額が高いことが挙げられます。
JNTO(Japan National Tourism Organization、⽇本政府観光局)によれば、2023年1-3月における、全国籍・地域の1人1泊当たり旅行平均支出額は、28,291円でした。
一方、中国からの訪日客の旅行平均支出額は42,541円であり、他国平均と比べると、約1.5倍(=42,541円/28,291円)日本で多く支出しているのです。
【JNTO 2023年1-3月速報版 一般客1人1泊当たり費目別旅行支出調査より抜粋】
1人1泊当たり旅行支出額の国別ランキングでも、もちろん1位です。
2023年1-3月は、中国人の日本入国が制限されており、個人ビザを申請できる裕福な中国人だけ来ているから、支出額が大きいのだという反論がありそうですが、そうでもありません。
コロナ前の2019年JNTOによる調査でも、全国籍・地域の1人1泊当たり旅行平均支出額は25,042円、中国人の旅行支出額は35,706円で、ダントツの1位でした。
【JNTO 2019年一般客1人1泊当たり費目別旅行支出調査より抜粋加工】
消費額の内訳
インバウンドビジネスで最もお金を落としてくれる中国観光客は、何に対して消費しているのでしょうか。
中国観光客の消費の特徴は、ずばり「買い物」に対しての消費が盛んなことです。
JNTOの調査によれば、2023年1-3月における、全国籍・地域の1人当たり旅行支出のうち、「買い物」代に占める割合は、25.2%です。
一方、中国観光客の「買い物」代に占める割合は、42.8%です。
旅行支出構成でいうと、宿泊費、飲食代、交通費にお金を使っていないように見えますが、買い物代に占める割合が極端に大きいのが原因であって、中国観光客の宿泊費などは、他の外国人と同等額です。
【JNTO 2023年1-3月速報値 費用別にみる一般客旅行消費額から抜粋加工】
つまり、中国観光客は食事代などを節約しているわけではなく、単純に、他国の訪日観光客に比べて、1.7倍ほどのお金を「買い物」代に使っているのです。
「買い物」に対してお金を使う消費行動は2019年、2022年の調査でも同じ結果が出ており、直近でもこの消費行動に変化はないということが言えます。
次に、「買い物」代の内訳を見ていきましょう。
JNTOの調査によれば、42.8%のうち、15.6%が衣類、8.6%が靴・鞄・革製品、時計・フィルムカメラが7.3%、化粧品・香水が5.5%でした。
また、調査対象期間で変わる部分が多少ありますが、購買率(日本訪問時に何割の人が購入に至ったかを示す指標)を見ていくと、中国人は全体的にどんな品目でも購入する傾向があります。
例外として、伝統工芸品に対する購買率が比較的低いことが特徴のひとつです。
売れ筋商品の特徴
次に、売れ筋商品には、どんな特徴があるのか、見ていきましょう。
3つ挙げるとすれば、下記のような特徴があります。
- 安全性が高い
- 日本で安く購入できる
- 中国で認知度が高い
1つ目の安全性の高さについて、多くの中国観光客は、日本ブランド全体に対しての信頼性が高く、同時に安全性も高いと評価しています。
過去の中国企業による食料品質問題などがある一方で、日本ブランドは問題が起きたとしてもまじめに取り組んでいるニュースを見ている影響があるのでしょう。
そのため、安全性が求められる化粧品やアマニティーグッツ、医薬品などは、特に人気があります。
2つ目の日本で安く購入できるものについて、大部分の商品は日本で購入すると安くなるため、よく買われる大きな要因になります。
中国人は中国国内ECマーケットにて、日本商品を購入できるようにはなっていますが、関税・消費税・ぜいたく税など含めると、やはり高いです。
例えば、日本酒の場合、関税10%、消費税(過去日本にあったぜいたく税に該当する税)20%、増値税(日本の消費税に該当する税金)13%課税されます。
加えて、日本から中国への物流費用や通関費用などのコストがかかるため、多くの日本酒の価格は、日本の2倍以上の価格で販売されています。
日本における販売価格を知ると、中国人観光客は多少荷物になっても、日本で買いたいと思うのです。
3つ目の中国で認知度が高い商品について、最近では、これが売れ筋商品の最も大きな特徴です。
中国人観光客は、日本に来る前に、買うものを中国SNSで情報収集しています。
特に最近では、小紅書(RED)や大衆点評(Dazhong Dianping、日本の食べログに似た口コミサイト)などで、事前に情報集しています。
マーケティングの観点からすると、中国人が日本に来る前に勝負が決まっている面があり、中国SNSを使ったプロモーションなどの重要性が日に日に高まっているというのが、直近の状況です。
中国ローカル旅行会社調査から見る売れ筋商品
売れ筋商品ランキング
売れ筋商品の特徴がわかったところで、いよいよ売れ筋商品ランキングを見ていきましょう。
売れ筋商品ランキングは、いくつか見方があるのですが、情報元が異なるとランキングも異なります。
今回は、中国ローカル旅行会社調査から見る売れ筋商品と、中国ローカル口コミサイトから見る売れ筋商品を見ていきたいと思います。
まず、马蜂窝(Mafengwo)という、中国ローカル旅行会社の調査から見る売れ筋商品を紹介していきます。
马蜂窝(Mafengwo)は、中国の若い世代に特に人気で、様々なものをランキング形式で紹介しています。
马蜂窝(Mafengwo)のサイト上で紹介されている、日本に行った時の必ず買うべきもの10選は、下記の通りです。
- 1位:雪肌精
- 2位:サンテFX
- 3位:龍角散
- 4位:伊势半(ISEHAN)
- 5位:アミノ酸ナイトダイエット(ORIHIRO)
- 6位:大麦若葉 (山本漢方製薬株式会社)
- 7位:冷えピタなどの冷却シート
- 8位:魔法瓶
- 9位:無印良品
- 10位:アネッサ
売れ筋商品の背景
まず、基本的に、化粧品やサプリメント、直接肌につけるものなど、すべて安全性が求められる商品が、売れ筋商品にランクインされていることに気づくと思います。
冷えピタなどの冷却シートも、安全性を重視するのかと思いがちですが、中国では小さい子どもがよく使う商品でもありますので、特に安全性が重視されています。
次に、日本人にとってはわかりにくいですが、ほとんどすべての商品は、中国で購入しようとすると、1.5~2倍くらいの価格になります。
例えば、「薬用 雪肌精(500mLディスペンサー付きボトル )」は日本で購入すると定価で9,900円(税込)です。
一方、中国のタオバオ上の雪肌精正規店で買うと、750元(1.5万円相当)です。
参天製薬 サンテFXネオ 12mlは日本の薬局ですと税込292円くらいですが、中国のタオバオ正規店では、36元(720円相当)です。
価格の大小関わらず、日本で安く購入できるものはやはり人気があることがわかります。
最後に、売れ筋商品すべては、もれなく中国で認知度が高い商品です。
1位の雪肌精は、中国の女性がよく使う口コミSNSである小紅書(RED)では、フォロワーが約7万人もいるほど人気です。
サンテFXもグローバルT-mallはじめ、中国の様々なECで常にランキング上位です。
サンテFXだけではなく、日本のアイケアー商品は非常に人気で、ランキング上位は、すべて日本のブランドです。
また、アネッサは、2021年初期までは、中国では無名と言ってもいいくらいの認知度でした。
ところが、2021年4月頃から、中国版TikTok抖音(Douyin)や小紅書(RED)を戦略的にうまく活用して、中国での認知度を上げました。
その結果、中国国内のECコマースでの売上だけでなく、日本で中国観光客によく買われる商品にもなり、日本の売上にも大きく貢献しているのです。
中国ローカル口コミサイトから見る売れ筋商品
売れ筋商品ランキング
次に、中国最大の口コミサイトである大衆点評(Dazhong Dianping、日本の食べログに似た口コミサイト)から見る売れ筋商品を見ていきたいと思います。
大衆点評では、地域とジャンルごとに人気ランキング店舗が公開されています。
大衆点評は中国人が最もよく見る口コミサイトですので、中国マーケティングを行う際は、非常に役に立つサイトです。
実際にサイトに入るとすぐわかりますが、中国人独特の視点で評価されており、食べログと同じように評価されているお店がある一方で、食べログでは決して脚光を浴びることのないお店が高評価されています。
今回は、中国人含む外国人が、最もよく訪れる東京でのランキングを見ていきます。
東京-お菓子
- 1位:ナンバーシュガー(表参道)
- 2位:白い恋人(銀座店)
- 3位:カルビープラス東京駅店
- 4位:Tokyo Milk Chinese Factory(成田空港)
- 5位:ロイズ(成田国際空港店)
- 6位:キットカットファクトリー(銀座本店)
- 7位:舟和(本店)
- 8位:シュガーバターフリー(上野)
- 9位:Sunny Hills(東京駅)
- 10位:二木の菓子(ビック館店)
東京-お土産店
- 1位:ドラえもん未来デパート
- 2位:駿河屋(新宿マルイアネックス店)
- 3位:ディズニーストアー(渋谷公園通り店)
- 4位:Sanrio now(ルミネエスト新宿店)
- 5位:ポケモンストア(成田空港店)
- 6位:サンリオギフトゲート(浅草店)
- 7位:どんぐり共和国(墨田区)
- 8位:Traveler`s Factory(東京駅地下一階)
- 9位:ルピシア(池袋)
- 10位:銀座熊本館
売れ筋商品の背景
まず、基本的に、お菓子についてはカルビーやロイズなど有名ブランド店が売れ筋商品にランクインされていることがわかると思います。
しかしながら、有名店だけではなく、10位の二木の菓子(ビック館店)のように、日本全国ではそれほど有名ではないのにかかわらず、長年経営していることが、安全性の評価につながっている面も見逃せません。
大衆点評の評価コメントを見ると、「二木の菓子(ビック館店)は70年の歴史があり、寄ってみる価値があるお店」と高評価されています。
次に、商品価格について、キットカットでは、キットカット ミニ 12枚で日本だと 213 円(税込)くらいですが、中国で購入しようとすると27元(540円相当)で、2倍以上します。
そのほかの商品についても、同じような価格帯であり、日本で購入すると、安くなるという特徴があります。
ただし、ドラえもんやポケモンなどのキャラクターグッツを見てみると、その傾向はありません。
日本のお土産店で購入する場合と中国の正規店で購入する場合とでは、ほとんど価格は変わらないのです
ドラえもんやポケモンは中国では大変人気があり、中国独特のニックネームがつけられるほど、中国市場に深く浸透しています。
日本だけ極端に売れるのではなく、中国でもよく売れるよう、価格設定していることが垣間見えます。
最後に、大衆点評で評価されている売れ筋商品も、もれなく中国で認知度が高い商品です。
特に注目すべきなのが、多くの大衆点評のコメントを見てみると、小紅書(RED)の影響が非常に強いことです。
例えば、東京-お菓子1位のナンバーシュガー(表参道)の大衆点評では「小紅書(RED)で紹介されていたのを見て来てみました」というコメントが非常に多く見られます。
【ナンバーシュガー(表参道)の大衆点評の画面、画像右上に「私も小紅書(RED)を見て来た」ととうコメントがある】
さらに面白いのが、小紅書(RED)でのナンバーシュガー(表参道)の紹介内容を見てみると、有名なインフルエンサーが紹介しているのではなく、フォロワーの決して多くない一般人が紹介している点です。
【小紅書(RED)でフォロワーが50人くらいの一般人の紹介が、人気のトリガーになっている】
最新インバウンド情報:中国からの訪日客に人気の売れ筋商品とその理由のまとめ
中国からの訪日客に人気の売れ筋商品は、日本人が好む商品とは異なり、中国人独特の視点で見ていく必要があることが分かったと思います。
現在、多くの中国人は、日本に訪問する前に、購入する物を入念に調べて、リストアップしています。
日本の現場でどのように売り込むかを検討するのも大事ですが、中国SNSを使って、日本へ訪れる準備をしている中国消費者に対して、どのようにアピールするかも非常に大切なポイントになるでしょう。
最後に
以上、中国からの訪日客に人気の売れ筋商品、そしてその理由について、解説しました。
弊社は、日本と世界を更に近づけるために、訪日外国人向けのインバウンド事業や、日本製品を海外に展開するアウトバウンド事業を展開しています。
インバウンド事業においては、訪日外国人の富裕層やVIP向けに豊富なコンテンツを全てオーダーメイドで企画・制作からサポートしております。
ぜひご気軽にご相談ください。
クレソン株式会社 HP
クレソン株式会社 サービス一覧
クレソン株式会社 お問い合わせ
今後ともクレソン株式会社を何卒よろしくお願い申し上げます。
小紅書(RED)運用代行
【 こんなお悩みありませんか??】
- 動画で中国人向けに訪日を促したい
- 中国進出するため製品をプロモーションしたい
- 中国向けに動画を再編集したい
クレソンの小紅書(RED)運用代行なら、丸投げで運用が可能です!お気軽にお問合せください。
\まずは、お気軽にご相談ください!/