2023年はコロナが終息し、海外の往来がやっと自由になった年です。
多くの外国人が日本に訪問するようになり、インバウンドビジネスも復活しました。
ところが、訪日中国人観光客のみ復活していませんでした。
この記事では、2024年に訪日中国人観光客は復活するのか、そして訪日中国人観光客の最近の動向と課題について、紹介していきます。
2024年に訪日中国人観光客は復活するのか?
2023年の訪日中国人観光客の現状
2024年に訪日中国人観光客は復活するのかについては、インバウンドビジネスに関わっている方であれば、気になる情報だと思います。
2024年の予測をする前に、2023年の訪日中国人観光客の現状はどうだったか、見てみましょう。
結論から言えば、2023年の訪日中国人観光客は全くと言っていいほど復活していませんでした。
下記図では、1991年~2023年までの、年別・国ごとの訪日観光客の推移を示しています。
【年別 国・地域ごとの訪日外客数の推移、⽇本政府観光局より】
⽇本政府観光局の調査によれば、韓国、アメリカや台湾などでは、2019年の訪日外客数の水準を超えているのにも関わらず、中国だけが2019年の水準に全く達していません。
水準に達するどころか、2019年の約20%しか満たない状況なのです。
2023年の訪日中国人観光客のみが復活していなかった背景
2023年の訪日外国人観光客のうち、なぜ訪日中国人観光客のみが復活していなかったのでしょうか?
その主な原因は、国際問題です。
中国は、コロナ政策が解除された時期が最も遅い大きな国でした。
2023年5月ごろから多くの国がコロナ政策解除になる中、2023年8月10日に中国コロナ政策がようやく解除されました。
ところが、その2週間後には福島処理水の海洋放出バッシングが始まります。
さらには、中国政府による日本水産物の全面輸入禁止が実行され、風評被害により、日本渡航が再度自粛ムードになっているのが現状なのです。
福島処理水とインバウンドの関係については、下記記事で詳細を記載していますので、興味のある方はご覧ください。
福島処理水とインバウンド:その影響とは?訪日中国人の視点 | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
2024年に訪日中国人観光客は復活するのか
2023年の訪日中国人観光客の状況については、全く復活していなかったことが理解できたと思います。
それでは、今年、2024年に訪日中国人観光客は復活するでしょうか?
客観的に見て、復活する可能性は高いと言えます。
その理由は、2024年に訪日中国人観光客の復活する兆しがあるためです。
復活する主な兆しは、以下の通りです。
- 国際旅行者増加トレンドにある世界
- 消費が活発になりつつある中国
- 国際問題があっても日本観光は依然として人気
- 直行便の回復
次の章で、客観的なデータやグラフなどで説明していきますね。
2024年に訪日中国人観光客は復活する兆し
国際旅行者増加トレンドにある世界
まず、2024年に訪日中国人観光客が復活する兆しとして挙げられるのが、世界的に国際旅行を楽しむ人は増加トレンドになっていることです。
国連世界観光機関(UNWTO)の報道によれば、2023年の国際観光客数は、前年比で34%増の12億8600万人となったという発表がありました。
この数値は、コロナ流行前である2019年の88%の水準にまで達しています。
また、国連世界観光機関は、2024年にはコロナ前の水準に達するだろうと予測しています。
さらに、世界では、急激に国際観光客数が増えたことにより、オーバーツーリズムという新たな課題もあります。
オーバーツーリズムとは、観光客人数が観光地の受け入れ許容人数を超えてしまうことを指します。
結果として、観光地の環境汚染、治安の悪化、交通渋滞など、住民に対する被害につながっています。
2024年にオーバーツアーリズムが世界的な課題になるほど、国際旅行者が増加しているのです。
このような状況の下で、中国国民のコントロールが上手な中国政府であっても、世界的なトレンドには逆らうことはできず、国際旅行をオープンにせざるを得ないでしょう。
消費が活発になりつつある中国
2024年に訪日中国人観光客が復活する兆しの2つ目は、中国人の消費が活発になりつつあることです。
直近のニュースなどを見ていると、中国景気悪化などの報道が多いです。
実際に、中国景気指標や株価などが低迷しており、景気のいい話はあまり聞かないです。
ところが、中国景気指標や株価などは、時に実態を正確に表しておらず、大衆を惑わす数になることがあります。
ここではインバウンド関連の情報をもとに、中国消費動向を探ってみましょう。
例えば、2024年2月9日から8日間は、旧正月であり、中国で最も大きな休暇期間でした。
実は、この旧正月では、多くの中国出稼ぎ労働者が故郷へ戻り、最も消費をする期間でもあります。
中国文化和旅游部データ中心によれば、2024年旧正月8日間の中国人の国内旅行消費額は、2019年に比べて47.3%上昇し、6,326.87億元(12兆円相当)に達しました。
8日間の間に中国国内旅行を楽しむ中国人の数も、2019年に比べて34.3%増加し、4.74憶人に達しています。
つまり、2024年2月の中国人消費額動向を見ると、観光データ関連データを見る限りは、非常に活発になっていたことが分かるのです。
国際問題があっても日本観光は依然として人気
訪日中国人観光客が復活する兆しの3つ目は、国際問題があっても日本観光は依然として人気であることです。
中国人が海外に行っていないのは、中国の国策が大きく影響しています。
中国文化和旅游部データ中心によれば、2017年の海外旅行に行った中国人は、13,051万人でした。
2023年上半期(1~6月期)では、4,037万人です。
仮に、2023年の下半期の数値が上半期と同じであったとしても、2017年の半数しか海外旅行に行けていないのです。
そして、海外旅行に行った中国人の行先を見てみると、香港とマカオが約80%を占めます。
【2023年上半期に海外旅行に行った中国人の行先の図、中国文化和旅游部データ中心より】
香港とマカオは中国人にとって、同じ中国語圏内でかつノービザで行けるため、非常に敷居が低いです。
中国人にとっては、国内旅行といっても過言ではないでしょう。
では、それ以外の海外旅行先を見てみましょう。
中国人の海外旅行先の比率(各国海外旅行に行った中国人/海外旅行に行った中国人)のは急激に下がり、トップが3.27%でタイ、2位が2.42%で日本がランクインします。
【2023年上半期に海外旅行に行った中国人の行先リスト、中国文化和旅游部データ中心より】
ここで注目なのは、2023年上期において中国で日本への旅行制限があったにも関わらず、依然としてNo.2の海外旅行先として日本が選ばれていることです。
国際問題やニュースでは大きくバッシングを受けたとしても、日本の人気は根強いことが分かります。
直行便の回復
2024年に訪日中国人観光客が復活する兆しの4つ目は、日本と中国の直行便の回復が期待できることです。
国土交通省の国際就航状況によれば、日本と中国間の直行便は、2019年冬ダイヤでは192便/週でした。
一方で、2023年冬ダイヤでは99便/週であり、2019年の約半分です。
【中国から日本への直行便回復状況、公益財団法人日本交通公社より】
日中直行便数と訪日中国人観光客には相関関係があり、日中直行便数が増えると訪日中国人観光客が増える傾向があります。
その証拠に、韓国では100%以上、アメリカや台湾ではほぼ100%回復しており、訪日観光客の回復率とほぼ一緒です。
未だ2019年の半数に満たない日中直行便数から判断するに、まだまだ訪日中国人観光客が増える見込みがあるのです。
さらに、2024年1月22日に、今後中国観光客が伸びそうなニュースがありました。
それは、日本国内大手の航空会社であるANAが、中国大手旅行サービスプラットフォーム運営会社である携程集団と戦略的提携を結んだという報道です。
ANAと携程集団は、商品開発・プロモーション・LIVEコマースに加え、WEBサイト・アプリ内のANA専門店(旗艦店)の開設などを含めた提携を開始しました。
この提携により、中国人の日本への呼び込みや、訪日中国人観光客への利便性が向上し、日本インバウンドが盛んになることが期待できるのです。
当然ながら、ANAとしても日本と中国間の直行便を戦略的に増やしたい意図がありますので、2024年に訪日中国人観光客が復活する兆しとしてとらえて間違いないでしょう。
詳細の提携内容などについては、下記のニュースをご覧ください。
ANAと携程集団/Trip.com Group 中国からの訪日旅行拡大に向けた戦略的提携を締結|プレスリリース|ANAグループ企業情報 (anahd.co.jp)
2024年の訪日中国人観光客の復活に向けた対策
中国に特化した戦略的なマーケティング
ここまで読んだ方は、2024年に訪日中国人観光客が復活する可能性があることを理解できたと思います。
ここからは、2024年の訪日中国人観光客の復活に向けた対策を紹介したいと思います。
まず、中国に特化した戦略的なマーケティングが大事です。
なぜなら、中国人は情報の収集などから購買行動まで、他の外国人とは全く異なる性質を持つためです。
例えば、情報収集において、中国人はグーグルやFacebookなどの国際的に有名なSNSを使いません。
中国人は、中国政府規制があるため、中国SNSを使って情報収集を行います。
また、購買傾向も非常に特殊であり、訪日外国人の中で、中国人の買い物消費額は断トツでNo1です。
このように、どのような方法で中国人へアプローチし、何にお金をつかってもらうのかについて、しっかりとしたマーケティングが必要なのです。
中国SNSの活用
先ほども少し紹介しましたが、中国人は中国SNSを使って情報収集を行います。
JNTO(Japan National Tourism Organization、⽇本政府観光局)の訪日旅行データハンドブック2023年度版によれば、中国人が訪日で最も役立った旅行情報源はSNSでした。
【中国人が訪日で最も役立った旅行情報源、訪日旅行データハンドブック2023年度版より】
注目すべきは、この中国SNSの重要性が日に日に高まっていることです。
中国向けインバウンドビジネスで成功しているブランドや企業は、このような中国人の行動パターンを熟知しているため、中国SNSを活用しています。
適切な中国ビジネスパートナー選び
適切な中国ビジネスパートナー選びも大事です。
外国人観光客の対応に慣れている方でも、中国人に特化したマーケティングやSNS運用が得意な人は少ないです。
大企業であれば、人的リソースが豊富なため、大きな問題ではありませんが、多くの中小企業が中国人に特化したマーケティングを行うのは難しいです。
そこで大事になってくるのが、中国ビジネスパートナー選びなのです。
例えば、中国SNS運用代行には、さまざまな業者やサービスがあるため、選択肢が多くあり、サービスのクオリティも異なります。
そのため、どのサービスを選べばよいか迷ってしまうこともあるでしょう。
中国SNS運用代行会社の探し方のポイントをおさえながら、選ぶのが大切です。
- 依頼したい業務に対応できるか
- フォロワー増加数や取引実績が豊富か
- 中国人と日本人のスタッフがそれぞれ在籍しているか
詳細は、下記の記事でも紹介しておりますので、興味のある方はご覧ください。
中国SNS運用代行の成功への道: 最適な中国SNS運用代行パートナーの探し方 | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
オーバーツアーリズムへの対策
最近のインバウンドビジネスの課題は、オーバーツアーリズムです。
観光客がいないことに比べて贅沢な悩みにも見えますが、深刻な問題です。
対応を間違えてしまうと、悪い評判となり、将来の見込み客の減少につながることになりかねないため、しっかりとした対策を事前に練りましょう。
まず、オーバーツアーリズムは、地元や周辺コミュニティとの協力が第一です。
自分が属しているコミュニティや自治体への接触を増やし、どのような活動や規則があるか調べてみることをお勧めします。
例えば、自治体によっては、観光客の少ない時期や時間帯などにキャンペーンを開き、観光客の分散化を図っています。
また、予約制、入場料や観光税を導入して、観光客人数をうまくコントロールしている事例もあります。
観光地域や都市が持続可能な観光産業を確立し、地域の文化や環境に負荷をかけずに観光を受け入れることを目指す必要があります。
チームワークが必須な対策ですので、地元を一緒に盛り上げる仲間を作る意味でも、積極的にコミュニティへ参加するようにしましょう。
最後に
以上、2024年に訪日中国人観光客は復活するのか、そして訪日中国人観光客の最近の動向と課題について、解説しました。
弊社は、日本と世界を更に近づけるために、訪日外国人向けのインバウンド事業や、日本製品を海外に展開するアウトバウンド事業を展開しています。
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