WeChat(微信)は、世界中で10億人を超える利用者がおり、日本では「中国版LINE」とも呼ばれている中国発のメッセージアプリです。
中国と関係がある学生やビジネスマンは、一度は使ったことのあるアプリでしょう。
また、WeChat(微信)のミニプログラムを利用してネットショッピングや公共料金の支払い、動画再生、ライブなど、さまざまな機能が利用可能で、中国現地ではインフラツールの一部となっているアプリでもあります。
そんな便利なWeChat(微信)ですが、開発元が中国であることから、使用する際の危険性やセキュリティに対して不安を感じる方が多いのも事実です。
この記事では、WeChat(微信)の危険性やその検証、リスク対策について紹介していきます。
WeChat(微信)は安全なのか?
結論から言うと安全
結論から言えば、安全だと言えるでしょう。
安全だと言える主な理由は、以下の3つです。
- WeChat(微信)アプリは、アップルストアで厳しいチェックを受けている
- 電話番号登録が必須のため、匿名アカウントで登録できない
- WeChat(微信)システム内での安全管理や風紀管理が厳重
ただし、危険性が0というわけではなく、以下のリスクも考える必要があります。
- 情報漏洩のリスク
- 「近くの人検索」等を使うと居場所が特定され、ストーカー被害などの元になるリスク
- WeChat Pay(微信支付)に関する偽造QRコードによる詐欺トラブルのリスク
以下で、詳しく説明していきますね。
WeChat(微信)が安全な理由
WeChat(微信)アプリは、アップルストアで厳しいチェックと、中国政府によるチェックを受けて、リリースされています。
まず、アップルストアでは、アプリをリリースするために、厳しい基準が設けられています。
例えば、アプリの安全性、パフォーマンス、法的事項、デザインまで審査されています。
特に、現在のアップルでは、プライバシーの保護が最も重要視されています。
中国政府によるチェックでは、中国政府に関する法律や規則により、アプリの登録の際に電話番号登録が必須です。
この規制により、不正アカウントや匿名アカウントによる不正は一切できない仕様になっているのです。
このように、アップルストアと中国政府によるチェックを受けて、厳重にリリースされているため、アプリ自体は安全性が高いと言えるのです。
さらに、WeChat(微信)システム内では、安全管理や風紀管理などが厳しく行われています。
例えば、WeChat(微信)には購読サービスや動画視聴機能があり、その中ではニュースやインフルエンサーの投稿内容などを見ることができます。
そこでは、WeChat(微信)の開発元であるテンセント社と中国政府が協力して、投稿内容や運営者情報などをリアルタイムで管理監督しています。
国家機密管理や国家統制管理の側面が強いのですが、監視が行き届いていることから、結果としてそれが抑止力となり、不正などが起きにくい仕組みになっているのです。
WeChat(微信)には、WeChat Pay(微信支付)という決済機能もありますので、このような監視社会が浸透しているプラットフォームであれば、安心して使えるとも言えるでしょう。
WeChat(微信)の危険性の検証
情報漏洩のリスク
WeChat(微信)自体は、リリース時の厳重なチェックや風紀管理などがしっかりしており、概ね安全であることが理解できたと思います。
ところが、WeChat(微信)には危険性があると言われることがあるのも事実です。
それでは、なぜWeChat(微信)利用は危険性だと言われることがあるでしょうか?
ここでは、WeChat(微信)の危険性について、検証していきたいと思います。
1つ目は、WeChat(微信)には情報漏洩のリスクがあり、危険だという意見です。
具体的には、中国政府への情報漏洩の危険性と、通信暗号化がないという問題です。
まず、中国政府への情報漏洩について、基本的に、すべての情報は、中国政府によって検閲できる状態にあると考えていいでしょう。
中国政府には、中国のインターネット網を監視するチームがいることは非常に有名な話です。
例えば、「民主主義」など中国政府部門にとって不利な情報を検索しただけで、しばらく検索サイトが動かなくなり、その後もしばらく検索サイトの動きが遅くなります。
電話も同様で、中国政府にとって、少し敏感なキーワードを会話の中で使っただけで、その後の電話通信が悪くなることや、通信が途絶えることなどもよく起きています。
そのため、国家間に関する内容や中国政府に不利な政治関連の話題などは、避けておくのが無難です。
ただし、プライベートやビジネス目的で使うのであれば、それほど敏感になる必要はないでしょう。
なぜなら、中国政府に対して不利な内容でなければ、検閲の対象になることもほぼないと考えられるためです。
次に、WeChat(微信)は、通信の暗号化をする機能がなく、危険だという意見があります。
ここで、通信の暗号化とは、インターネットで送られるメッセージを暗号化し、受け取る相手だけがちゃんと理解できるようにする技術を指します。
これによって、他の人がメッセージを読み取ることができないようになるのです。
必須の機能ではないものの、LINE(ライン)やWhatsApp(ワッツアップ)などのメジャーなメッセージアプリでは、通信の暗号化が行われています。
この点において、WeChat(微信)に危険性があるというのは、一理あると言わざるを得ないでしょう。
現在のところ、通信の暗号化を行われるニュースなどは出てはいませんが、今後のリリースに期待したいところです。
「近くの人検索」などを使うと居場所が特定され、ストーカー被害などの元になるリスク
2つ目のWeChat(微信)に危険性があると言われる理由は、ストーカー被害などの元になるリスクがあるという話です。
具体的には、「近くの人検索」などの出会い系マッチング機能を使っていると、位置情報がオープンになります。
その結果、ストーカー被害などの危険性が出てくるのです。
WeChat(微信)には「近くにいる人」という機能があり、GPS機能を使い、近くの人を検索し、メッセージを送ることが可能です。
中国現地では営業や、異性への声掛け目的などでよく使われています。
ユーザーの中には、この機能を悪用し、ストーカーをするためのツールとして使っているケースがあるのです。
実際、WeChat(微信)での出会い系機能を使ったトラブルは、定期的に発生しています。
また、出会い系マッチング機能を使っていなくとも、WeChat(微信)には「居場所の共有」という機能があります。
この機能は自分の居場所を友達に共有し、待ち合わせや浮気をしていないかの確認などをスムーズにできるツールして使われています。
「居場所の共有」を不注意で他人に送った場合、住所などが公開されてしまい、それがきっかけとなって、ストーカー被害にあうケースも出てきているのです。
このようなストーカー被害の危険性については、対策がありますので、後ほど解説しますね。
偽造QRコードによる詐欺や両替えトラブルのリスク
3つ目は、WeChat Pay(微信支付)利用に関するトラブルの危険性です。
WeChat Pay(微信支付)は、WeChat(微信)の決済サービスです。
中国ではモバイル決済が普及しており、なかでもWeChat Pay(微信支付)は、「Alipay」に次いで利用者の多いメジャーなサービスです。
非常に便利なWeChat Pay(微信支付)ですが、様々なトラブルが発生しているのも事実です。
例えば、以下のようなトラブルが発生しています。
- 偽造QRコードによるフィッシングサイト読み込み
- 自分の支払QRコードを後ろからスキャンされ、お金を抜き取られる
偽造QRコードによる詐欺について、例えば、中国上海市ではシェアサイクルという自転車シェアリングのサービスが大人気ですが、その際に、自転車に貼ってあるQRコードを読み込んで、利用する必要があります。
具体的には、WeChat(微信)のスキャン機能を使うのですが、自転車に貼ってあるQRコードをスキャンしたら、不正ミニプログラムやウェブサイトが立ち上がり、WeChat Pay(微信支付)の残高が抜き取られたという事件がありました。
また、一時期、自分の支払QRコードを後ろからスキャンされ、お金が抜き取られるという事件も発生していました。
これは、コンビニなどで決済するために並んで、WeChat Pay(微信支付)のQRコードを表示させて待っていたら、後ろからそのQRコードをスキャンされ、お金が抜き取られるという事件です。
この事件が多発したのち、WeChat Pay(微信支付)では、自動で引き落とされる支払い上限設定などができるようになりました。
例えば、100元(2,000円相当)以上の決済の時は、QRコード読み取りとパスワード入力を求める設定にできるようになったのです。
コロナが終息して以降、中国からの旅行客も増えており、日本でもコンビニや百貨店、飲食店などでWeChat Pay(微信支付)導入が進んでいます。
このような決済上のリスクは、WeChat(微信)としても、重大な問題として受け止めており、決済後にメッセージを送るようにするなど安全性を高める施策を行っている状況です。
WeChat(微信)使用時のリスク対策
位置情報やGPS機能をオフにする
ここまで読んだ方の中には、WeChat(微信)の危険性は0ではなく、少し怖いなと感じた方もいるかもしれません。
ところが、事前の対策を行うことや注意することで、大部分の危険性はなくなります。
ここでは、その事前の対策や注意点について、紹介したいと思います。
1つ目の対策は、位置情報やGPS機能をオフにすることです。
WeChat(微信)の「近くの人検索」などの出会い系マッチング機能を使っていると、位置情報がオープンになり、ストーカー被害などの危険性が出てくると前述しました。
このリスクを0する対策が、位置情報やGPS機能をオフにすることなのです。
位置情報やGPS機能をオフにする方法は、2通りあります。
その2つとは、WeChat(微信)で位置情報を非公開にする方法と、スマートフォン上で位置情報機能をオフにする方法です。
スマートフォン上で位置情報をオフにすると、位置情報がどこにも公開されず、安全ではありますが、GPS機能に関するすべてのサービスが使えなくなってしまいます。
そのため、現実的な方法は、WeChat(微信)での位置情報を非公開にする方法になるでしょう。
それでは、早速、WeChat(微信)で位置情報を非公開にする方法から、紹介していきますね。
作業手順としては、下記の画面のように、左から右に作業を行うだけで、作業が完了します。
まず、WeChat(微信)をアプリを開き、右下にある「自分」をタップします。
次に、一番下の段落にある「設定」に入ります。
次の画面が表示されましたら、「全般」をタップします。
その後、下から二番目にある「発見を管理」をタップします。
次の画面にて、下から3番目の「付近」に入り、「近くにいる人を非表示」を選びます。
このような作業を行うと、WeChat(微信)の「近くにいる人」機能で他人に検索されても、自分は表示されないようになります。
なお、ここでは、WeChat(微信)を日本語表示させています。
日本語表示にさせる方法については、下記の記事で詳細を紹介していますので、ご覧ください
次に、スマートフォン上で位置情報をオフにする方法を紹介したいと思います。
作業手順としては、下記の画面のように、左から右に作業を行うだけで、作業が完了します。
まずは、アイフォンの「設定」を開けます。
次に、検索バーで「Wechat」を入力します。
「Wechat」が出てきましたら、それをタッブします。
そうすると、次の画面にて、「位置情報」をタッブします。
中に入ると位置情報の利用を許可「しない」を選択します。
さらに、下の「正確な位置情報」もオフにします。
この作業が完成しましたら、位置情報の漏洩を防ぐことができます。
一方で、近くのお店の検索など、WeChat(微信)上の位置情報に関する便利な機能が使えなくなりますので、この設定を行う際は注意して行うようにしましょう。
WeChat Pay(微信支付)に関するリスク対策
WeChat Pay(微信支付)には、偽造QRコードによる詐欺などの危険性が潜んでいることを紹介しました。
WeChat Pay(微信支付)に関するリスク対策について、紹介したいと思います。
一言でいえば、支払いに関する注意力を上げることです。
具体的には、QRコードをスキャンする場合は、そのQRコードが信頼できるかどうかを確認するようにしましょう。
まずは、路面にある不審なQRコードは絶対にスキャンしないことです。
また、シェアリング自転車であっても、適正なQRコードの上に、偽造QRコードのシールが貼られている場合があります。
少しでも不審に感じることがある場合や、いつもと違う感じを受けた場合には、スキャンをしないようにしましょう。
自分の支払QRコードを後ろからスキャンされる事例への対策は、決済直前までは、後ろの人に見られないよう、QRコードを手で押さえることが最も効果的です。
そのほか、スマートフォンの画面の覗き見防止フィルターシートを使うのも有効です。
また、WeChat Pay(微信支付)とリンクさせる銀行口座は残高を常に少なくしておくなど、最悪のケースも考えた対策をしておくと、より安心です。
WeChat(微信)乗っ取りへの対策法
最後に、WeChat(微信)乗っ取りへの対策法を紹介します。
LINE(ライン)の乗っ取り事件が日本で多発し、大きなニュースになっていましたが、WeChat(微信)でも起きていました。
WeChat(微信)の場合は、情報が漏洩されるだけでなく、WeChat Pay(微信支付)を使っていた場合は、金銭も抜き取られるリスクもあります。
WeChat(微信)乗っ取りへの対策法は、パスワードを適切に設定し、セキュリティを管理することが重要です。
まず、複雑な文字を組み合わせたパスワードにし、定期的に変更しておきましょう。
このように運用することで、不正ログインされるリスクが軽減され、セキュリティを強化することができます。
次に、スマートフォン自体のセキュリティを強化しておくことも大事です。
例えば、スマートフォンを画面を開くときのパスワード設定だけでなく、最新のセキュリティソフトウェアを入れるなどして、万全のセキュリティ対策を行うことをお勧めします。
アイフォンはソフトウェア自体が頻繁に更新され、マルウエアなどの対策が比較的厳しく行われていますので、日々のソフトウェアの更新は怠らないようにしましょう。
また、基本的ではありますが、WeChat(微信)を使っていて、知らない人から友達申請が届いても、拒否することが重要です。
WeChat(微信)を使う時に個人情報を共有する際は、相手が信頼できるかどうかを慎重に判断しましょう。
不必要な情報の開示を避け、必要最低限の情報のみを提供することが大切です。
仮にアカウントが不正アクセスされた場合は、WeChat(微信)のサポートセンターへすぐに連絡し、問題を報告するようにしましょう。
早期発見であれば、被害は最小限に抑えることが多いです。
最後に
以上、この記事では、WeChat(微信)の危険性やその検証、リスク対策について、解説しました。
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