WeChat（微信）ミニプログラムとは、WeChatの中で動く小さなアプリを指します。
インフラツールと言われるほど便利な機能で、中国では非常に人気があります。
現在、日本企業を含む多くのブランドがミニプログラムを活用し、中国マーケティングで成功しています。
この記事では、WeChat（微信）ミニプログラムの人気の背景、そして越境ECでの活用事例などを紹介していきます。
WeChat（微信）ミニプログラム
WeChat（微信）ミニプログラムとは
WeChat（微信）ミニプログラムとは、WeChat（微信）の中で動く小さなアプリを指し、中国では微信小程序と呼ばれています。
アプリのようにダウンロードする必要がなく、WeChatのプラットフォーム内で、そのまま簡易版のアプリプログラムが利用できることから、ミニプログラムと呼ばれています。
例えば、ラーメンを注文したいと考えたとしましょう。
その場合、スマートフォンで注文しようとすれば、まずラーメン店のアプリを検索して、ダウンロードする必要があります。
一方、WeChat（微信）ミニプログラムであれば、普段使っているWeChat（微信）の中でラーメン店を検索するだけで、そのラーメン店アプリが開き、アプリダウンロード不要で、すぐにラーメンを注文することができます。
このように、WeChat（微信）ミニプログラムを活用することによって、普段使っているチャットアプリ上で、出前や買い物が手軽にできるようになるのです
WeChat（微信）ミニプログラムが人気な理由
WeChat（微信）ミニプログラムが人気な理由は、アプリダウンロード不要で使えることです。
例えば、普段使う出前アプリなどであれば、あまり不便を感じることはありません。
ところが、たまにしか使わないアプリをダウンロードし、最初から登録やパスワード設定などを行うことは、非常に面倒です。
一方、アプリのダウンロードが不要で、毎日使うチャットアプリであるWeChat（微信）からそのままスピーディーに使えることは、中国消費者にとって非常に便利なのです。
また、中国人消費者は、スマートフォンのストレージ（記憶容量）が少ない人も多く、その場合、正式にアプリをダウンロードしようとすると、スマートフォンの動きが遅くなるなどの不具合が発生しています。
WeChat（微信）ミニプログラムであれば、WeChat（微信）上で立ち上げているため、ストレージをほとんど使いません。
そのため、多くの中国人消費者にとって、使い勝手だけでなく、スマートフォンのストレージ上でもメリットがあると感じているのです。
WeChat（微信）は中国で最もよく使われているメッセンジャーアプリであることから、利便性も高く、他プラットフォームのミニプログラムと比較しても圧倒的な人気を誇っています。
実際、WeChat（微信）ミニプログラムのアクティブユーザーは、2017年リリース以来、2018年には4億人を突破し、2023年にはおよそ9億人になっています。
【ミニプログラムユーザー数の推移、QuestMobileより】
2023年9月時点で、Alipay(支付宝)は6.54憶人、Baidu(百度)は3.51億人、中国版TikTok抖音(Douyin)は2.62億人です。
ほかのプラットフォームと比較しても、WeChat（微信）ミニプログラムの人気は圧倒的であることがわかると思います。
WeChat（微信）ミニプログラムについては、下記の記事でも紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
WeChat（微信）ミニプログラムの使い方と活用事例紹介 | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
WeChat（微信）ミニプログラムで越境ECの可能性が広がる！？
低い運用費用
WeChat（微信）ミニプログラムを活用することで、越境ECの可能性が広がる可能性を秘めています。
その理由は、WeChat（微信）ミニプログラムであれば、低い運用費用で、マーケティングもやりやすく、使いやすいというメリットを享受できるためです。
まず、WeChat（微信）ミニプログラムの運用費用は、他のプラットフォームに比べて非常に低いと言えます。
例えば、WeChat（微信）ミニプログラムの販売手数料は1％以下ですが、T-モールでは4％、小紅書(RED)では15%です。
保証金もWeChat（微信）ミニプログラムは5万元（100万円相当）ですが、他のプラットフォームでは扱う商品によって数百万円になることもあります。
資金がそれほど潤沢でない中小企業にとっては、越境ECをやりたい気持ちはあっても、越境ECプラットフォームにかかる費用や保証金が大きなハードルになっています。
WeChat（微信）ミニプログラムであれば、費用と保証金が比較的小さいため、ミニマムな費用で越境ECを始めたい企業にとって、ハードルが低く、開始しやすい設定になっています。
マーケティングしやすい
WeChat（微信）ミニプログラムでは、マーケティングしやすいという面もあります。
通常、WeChat（微信）ミニプログラムでマーケティングを行う際は、WeChat（微信）上で公式アカウントを作成し、WeChat（微信）ミニプログラムとの連携を行います。
そのWeChat（微信）上での公式アカウントは、顧客からの評価が高くなければ、自らフォロワーになってくれる人はいません。
中国版TikTok抖音(Douyin)や小紅書(RED)であれば、投稿した一つの動画に話題性があるのみで、フォロワー増加や「いいね」などの反応があります。
一方、WeChat（微信）は、エンゲージメントを獲得するハードルが明らかに高く、一時的な面白さや話題性ではなく、ブランドのコンセプトや軸に共感してもらえない限り、フォロワーが増えることはありません。
その分、いったんWeChat（微信）でフォロワーになってくれた顧客は、ロイヤルティーが非常に高いことが知られており、他のプラットフォームに比べてプロモーション効果が非常に高いです。
マーケティングを行うブランドにとって、ブランディング戦略の結果が如実に表れてくるため厳しい面がありますが、非常にマーケティングしやすいとも言えます。
さらに、ブランド側は、WeChat（微信）内で広告を打つこともできます。
WeChat（微信）内での広告種類は非常に豊富で、30-600元（600-12,000円相当）/1000回表示という良心的な価格設定です。
アプローチしたい層や場所によって価格が変動しますが、ブランディング戦略に応じて、さまざまなプロモーションを実施可能です。
使いやすい
3つ目のWeChatミニプログラムの活用によるメリットは、WeChat（微信）の機能をそのまま利用できるため、使いやすいことです。
もともとWeChatミニプログラムは、WeChat（微信）の一機能であり、他の機能との統合が可能です。
例えば、WeChatミニプログラムでは、シングルサインオン（SSO）機能が利用可能です。
シングルサインオンとは、一度の認証操作で複数のサービスにログインできる仕組みを指します。
インターネット上で、あるサービスを利用開始する際、グーグルやフェイスブックのIDとPWが出てきて、認証を求められたことがあると思います。
あの認証作業は、グーグルが提供しているシングルサインオンであり、グーグルのID・PWで、他のインターネットサービスが利用できるようになっているのです。
WeChat（微信）もグーグルと同様に、ユーザーは既にWeChat（微信）でログインしているため、WeChatミニプログラム利用時には、ワンタップでシームレスに登録ができるのです。
また、WeChat（微信）のチャット機能もそのまま利用することができます。
メール設定など細かいコミュニケーション設定は不要なため、運用管理は非常にやりやすいです。
最後に、WeChat（微信）にはWeChat公式アカウントを作成することができ、WeChatミニプログラムとの連携もしやすいです。
WeChat公式アカウントを利用してコンテンツマーケティングを行い、ユーザーをミニプログラム内のECサイトに誘導することも簡単にできます。
ミニプログラム内で公式アカウントから発信した記事を掲載するなど、相互の連携で顧客を獲得し、売上につなげることができます。
WeChat（微信）ミニプログラムの利用方法と活用事例
WeChat（微信）ミニプログラムの利用方法
WeChat（微信）ミニプログラムは、中国で人気があり、ブランド側にとっても利用価値があることが分かったと思います。
ここからは、WeChat（微信）ミニプログラムの利用方法や、ブランド活用事例などを紹介していきますね。
まず、WeChat（微信）ミニプログラムの利用方法について、まず立ち上げ方法を紹介します。
いろいろなWeChat（微信）ミニプログラムの立ち上げ方法があるのですが、チャット画面から検索する方法や、ミニプログラム専用の画面から立ち上げる方法が最も良く使われています。
チャット画面からWeChat（微信）ミニプログラムを立ち上げる方法について、紹介しましょう。
WeChatアプリに入り、左画面のチャット画面で上から下へスワイプ（赤矢印の先を指で押さえながら下に移動）すると、右画面のような「最近」の画面が表示されます。
右の画面では、上から「音楽とオーディオ」、「最近使ったミニプログラム」、「マイミニプログラム」が表示されます。
普段使っているWeChat（微信）ミニプログラムを立ち上げたい場合でしたら、この方法が最も手っ取り早いでしょう。
また、上記右側画面のうち、「最近」画面の右上の「検索」バーを使い、WeChat（微信）ミニプログラムを検索することも可能です。
2つ目は、WeChat（微信）ミニプログラム専用の画面から立ち上げる方法です。
具体的な手順としては、下図のように、左画面から右画面の順番に操作していきます。
まず、左画面のうち、下の「発見」をタップします。
そうしましたら、最下位に表示されてある「ミニプログラム」をタップします。
すると、真ん中の画面に表示が変わり、最近使用したWeChat（微信）ミニプログラムや、お勧めのWeChat（微信）ミニプログラムが表示されます。
さらに、右上の虫メガネのマークを押すと、右画面のように検索バーが出てきますので、新たにWeChat（微信）ミニプログラムを検索することもできます。
例えば、「瑞幸咖啡」という中国で流行っている、コーヒー店のWeChat（微信）ミニプログラムを検索したいと考えたとしましょう。
その場合、検索バーの中で、「瑞幸咖啡」を入力し「検索」をタップします。
すると、「瑞幸咖啡」のWeChat（微信）ミニプログラムが表示されます。
より詳細な使い方については、下記の記事でも紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
WeChat（微信）ミニプログラムの使い方と活用事例紹介 | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
WeChat（微信）ミニプログラムの作り方
WeChat（微信）ミニプログラムの使い方が分かったところで、実際に自社でWeChat（微信）ミニプログラムを作る方法を紹介しましょう。
WeChat（微信）ミニプログラムを作るプロセスは2つです。
まずアカウント開設をし、その後にミニプログラム開発です。
アカウント開設については、下記のWeChat（微信）のHPページから申請できます。
申請する際に必要な資料は、以下の通りです。
会社登録する場合
- 代表押印済みのWeChat（微信）ミニプログラム申込申請書
- 現在事項全部証明書
- 商標登録証明（もしあれば）
個人登録する場合
- パスポートや運転免許証の裏表コピー
- 過去6か月の固定電話あるいは携帯電話の請求書
- 携帯電話番号
資料提出する際には、99ドル（15,000円相当）の審査料を支払い、1週間ほどで審査完了の通知が来ます。
審査が通れば、次はミニプログラム開発を行います。
WeChat（微信）ミニプログラムは、インターネットウェブサイトと同じHTML+CSS+JavaScriptというプログラミング言語で構成されています。
プログラミング言語を理解しているプログラマーが必要ですが、WeChat（微信）ミニプログラムを専門で開発してくれるサービスや代行業者もいます。
自社でリソースがないということでしたら、外部委託することをお勧めします。
WeChat（微信）ミニプログラムの開発に関する情報は、すべてオープンになっており、それほど難易度の高いものではありません。
そのため、外部へ委託する際であっても大きな費用はかかりません。
プログラム開発のオープン情報について、興味のある方はこちらをご覧ください。
https://developers.weixin.qq.com/miniprogram/en/dev/devtools/devtools.html
WeChat（微信）ミニプログラムの活用事例
WeChat（微信）ミニプログラムの使い方が分かったところで、日本ブランドの活用事例2つを紹介しますね。
1つ目はドン・キホーテです。
ドン・キホーテは、皆さんが知っている日本の大手総合ディスカウントストアです。
現時点では、中国国内にドン・キホーテの店はありませんが、WeChat（微信）ミニプログラムを活用して、中国消費者に日本製品販売に成功しています。
特に、中国ではあまり買うことができない日本の特産物などを越境ECにより、中国へ販売しています。
【ドン・キホーテのWeChat（微信）ミニプログラム画面と購買画面】
2つ目の活用事例は、２０２１年にWeChat（微信）ミニプログラムをリリースした京都优品跨境商城です。
京都优品跨境商城は、WeChat（微信）ミニプログラムを活用して、京都の陶器・焼き物、お土産、加工食品・調味料、抹茶、酒、インテリア・小物などを販売しています。
また、京都优品跨境商城はインフルエンサーや投稿記事、動画を積極的に活用しています。
主に、日本文化の理解を促し、フォロワーを一定数抱えることにより、フォロワーによる二次拡散でも成功しています。
【京都优品跨境商城のWeChat（微信）ミニプログラム画面と購買画面】
【「既に完売しました」と表示されている商品もある】
最後に
以上、WeChat（微信）ミニプログラムの人気の背景、そして越境ECでの活用事例などを紹介しました。
弊社は現在、中国版TikTok抖音(Douyin)・小紅書(RED)を活用した中国SNSの運用代行や、中国への越境ECの支援などのサービスを展開しております。
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