中国市場向けマーケティングを行う際、中国版TikTok抖音(Douyin)の活用を検討するのが一般的になりつつあり、インフルエンサーを登用することがそのマーケティングの有効性を高めてくれます。
また、中国市場は日々変化しており、新たな市場の成長や消費性向の変化が著しいです。
実際に、中国市場進出で成功するには、中国市場の変化を理解しながら、マーケティングに有効な中国SNSやインフルエンサーを活用することが必須です。
本記事では、最近の中国市場の変化を紹介しながら、中国版TikTok抖音(Douyin)やインフルエンサー活用による最新成功事例を紹介します。
最近の中国市場の変化

変化の激しい中国市場について、最近の変化やトレンドを紹介しましょう。
見逃すことのできない下沈市場の成長
中国消費市場は、かつてない構造的転換点を迎えています。
長らく市場を牽引してきた上海や北京などの1線都市に代わり、広大な「下沈市場」が成長の主役になっています。
分かりやすく言うと、下沈市場とは、中国の地方市場を指します。
下沈市場は、中国総人口の63%以上を占めているのも関わらず、中国総消費額が約半分しかありません。
つまり、下沈市場は、中国都市市場に比べて大きな経済成長や消費拡大を期待でき、各ブランドがこの市場を狙っているのです。
Z世代が重視する感情消費
さらに、中国市場の変化の一つとして挙げられるのが、Z世代と呼ばれる1990年代後半以降生まれの若者たちが消費の中心的存在として台頭していることです。
Z世代は中国総人口の20%前後に関わらず、電子機器などあらゆる市場で30%近い消費占有率であり、その成長の伸びも激しいです。
彼らの特徴は、単なるモノの所有ではなく、感情的価値や体験そのものに対価を払うという新しい消費観にあります。
このような消費観は、すでに一つの市場カテゴリとして認識されており、中国では感情消費市場と呼ばれています。
中国の市場コンサルティング会社である艾媒咨詢のデータによれば、2025年の感情消費市場は2.72兆元規模に達しました。
Z世代の78%が「感情的共感」に対して20%以上の追加支出を厭わないという調査結果も出ています。
さらに、今後年率10%以上で成長していく市場として考えられており、5年以内には4.6兆元(100兆円相当)の市場に成長すると予測されています。

【感情消費市場の成長を表すグラフ(オレンジが市場規模『億元』、青が前年比成長率)、艾媒咨詢報告書より抜粋】
中国ECプラットフォームの変化
このような消費者の価値観シフトを背景に、中国マーケティングの最重要プラットフォームとして存在感を増しているのが、中国版TikTok抖音(Douyin)です。
かつては「短時間で次々と流れるエンターテインメント」の印象が強かった中国版TikTok抖音(Douyin)ですが、今やその姿は大きく進化しています。
もともと、中国版TikTok抖音(Douyin)は、中国で最も利用されている動画共有アプリのため、中国消費者性向の把握や集客を行うための中国マーケティングプラットフォームのひとつとして注目されていました。
ところが、2025年には中国版TikTok抖音(Douyin)のECプラットフォームである抖音电商の年間流通総額(GMV)は約4.2兆元(100兆円相当)に達し、中国EC市場におけるシェアは24%まで拡大しました。
伝統的な中国ECプラットフォームである淘天(タオバオ・天猫)、京東(JD)、拼多多の3強中国ECに続き、第4の巨大ECプラットフォームとして確固たる地位を築いています。
つまり、現在、中国版TikTok抖音(Douyin)は、中国マーケティング機能と中国EC機能を備えた最強のプラットフォームとして注目されているのです。
中国版TikTok抖音(Douyin)の活用

ここからは、中国で最も注目されている中国版TikTok抖音(Douyin)について、深堀していきましょう。
中国版TikTok抖音(Douyin)とは
中国版TikTok抖音(Douyin)は、中国で7.8億人以上の月間アクティブユーザーを誇るショート動画プラットフォームです。
圧倒的な影響力
中国国内に限定すれば、ユーザーの約7-8割が35歳以下という圧倒的な若さが特徴であり、Z世代へのリーチ手段としてこれほど効果的なチャネルは他にありません。
中国版TikTok抖音(Douyin)の影響力を如実に示すのが、ユーザーの使用頻度と購買行動です。
ユーザーの64%が毎日アプリを開き、平均使用時間は1日95分です。
これは全ソーシャルメディアの中で最も長い時間です。
購買行動と直結している
そして重要なのは、その時間が単なる娯楽消費ではなく、購買行動と直結している点です。
中国版TikTok抖音(Douyin)ユーザーの36%が商品の閲覧や検索を中国版TikTok抖音(Douyin)で行い、54%が何らかの形で商品情報やブランドにリーチしています。
中国版TikTok抖音(Douyin)ユーザーの消費行動と購買傾向——2026年最新トレンド
中国版TikTok抖音(Douyin)ユーザーの購買行動を理解する上で、2026年に明確になったいくつかの重要なトレンドがあります。
感情消費が活発に
第1に、「衝動買い」から「意図的な感情消費」へのシフトです。
中国版TikTok抖音(Douyin)が発表した2026年トレンド予測によれば、消費者は単なる衝動ではなく、購入に「意味」を求めるようになっています。
例えば、「なぜこれを買う価値があるのか」「自分の生活やアイデンティティにどうフィットするのか」を重視しています。
つまり、価格だけでなく喜びや意味、コミュニティとのつながりを優先する感情的消費が購買決定の鍵となりつつあるのです。
購買プロセスの非線形化
第2に、購買プロセスの非線形化です。
消費者は「認知→検討→購入」という直線的なルートをたどらず、興味の赴くままに偶然の出会いから深掘りへと進む「好奇心による寄り道」購入が常態化しています。
例えば、あるユーザーが旅行情報を探し始め、気づけば全く別の商品カテゴリーの深い知識を得ようとしています。
こうした行動が当たり前になっているのです。
中国版TikTok抖音(Douyin)が情報源として使われている
第3に、情報源としての中国版TikTok抖音(Douyin)の定着です。
特に若年層では、商品情報の第一次ソースとして検索エンジンではなく中国版TikTok抖音(Douyin)が使われるケースが増えています。
例えば、「中国版TikTok抖音(Douyin)でバズっている」「中国版TikTok抖音(Douyin)が評判がいい」という事実自体が、購買の強力なトリガーとなっているのです。
インフルエンサー活用の新戦略と活用成功事例

中国版TikTok抖音(Douyin)マーケティングにおいて、2025年から2026年にかけて最も劇的に変化したのがインフルエンサー戦略です。
かつてはフォロワー数百万人の「トップKOL」を起用すれば万全と考えられていましたが、今やその前提は完全に崩れています。
それでは、実際にどんな変化があったのかについて、具体的な変化を3つに分けて説明しましょう。
トップKOLの役割変化
まず、トップKOLの役割変化があります。
トップインフルエンサーの直接的な販売力は、2024年以降顕著に低下しています。
その背景には、店舗自社配信を優先的におススメとしてユーザーへ表示させるというプラットフォームの政策変更、トップKOLの高額なコミッションへの不満、そしてブランド自身の配信力向上があります。
しかしながら、トップKOLの価値が失われたわけではなく、「大量受注を生む販売チャネル」から「新商品の立ち上げ支援」「ブランド認知の起爆剤的な位置づけ」へとその役割をシフトさせています。
特に新商品の市場投入時には、トップKOLの影響力を借りることで、自社配信よりも効率的かつ迅速な立ち上げを実現できることが多いです。
ミドルKOLの台頭
次に、ミドルKOLの台頭です。
現在の中国版TikTok抖音(Douyin)マーケティングで実際の販売を牽引しているのは、フォロワー数1万人から100万人規模の「ミドルKOL」です。
中国版TikTok抖音(Douyin)データ分析をサイトである巨量引擎のデータによれば、2024年8月から2025年8月の期間、フォロワー100万人以下のミドルKOLが全体のインフルエンサー販売額の85%以上を占めています。
ミドルKOLの強みは、「圏層」とよばれる「特定の趣味や関心で結びついたコミュニティ」との強い信頼関係にあります。
彼らとの継続的な協業、特に定期的な専用ライブ配信が、2026年のスタンダードとなりつつあります。
KOC(キー・オピニオン・コンシューマー)の新たな価値
3つ目として、一般消費者でありながら影響力を持つKOC(キー・オピニオン・コンシューマー)の活用です。
直接的な販売力ではトップやミドルKOLに及びませんが、全く別の価値を発揮します。
それはKOCのフォロワーである購買層の関係の強さと、生の声に基づく口コミ情報の供給です。
同様の商品であれば、KOCが制作した口コミ情報はブランド自社制作の広告よりも投資収益率が10〜30%高く、かつ長期間にわたって効果を持続させる力があります。
ブランドはKOCと深く連携し、質の高い口コミ情報を安定的に供給してもらう体制を構築することが、競争力の源泉となっています。
中国におけるインフルエンサーマーケティングの成功事例
インフルエンサー活用の新戦略が分かったところで、ここでは、中国版TikTok抖音(Douyin)を効果的に活用し、実際に成果を上げた最新の成功事例をご紹介します。
usmile——ユーザー層の変化を捉えた逆転の発想
中国ローカルの電動歯ブラシブランドusmileは、バレンタインデーキャンペーンにおいて、競合がひしめく小紅書(RED)ではなく、あえて中国版TikTok抖音(Douyin)を主戦場に選びました。
その判断の背景には、中国版TikTok抖音(Douyin)ユーザー層の変化に対する鋭い洞察がありました。
従来は男性中心だった抖音において、直近1年で女性ユーザーが35%増加し、しかも大卒以上の高学歴層が増えているというデータを捉えたのです。
usmileの主力商品は、スマートフォンアプリと連動して自分好みの歯磨きができる電動歯ブラシです。
知的好奇心の高いスマートな若年女性にぴったりの商品です。
彼女たちはまさに、中国版TikTok抖音(Douyin)に新しく流入してきた高学歴女性ユーザー層と重なります。
usmileは、この層に響く女性インフルエンサーを起用し、商品紹介動画を投入しました。

【KOLに紹介されているusmile商品、中国版TikTok抖音(Douyin)より】
単なる機能説明ではなく、スマートなライフスタイルの一部として商品を位置づけるストーリー展開が功を奏し、動画は大きな話題を集めました。
この事例が示すのは、プラットフォームのユーザー構成変化をいち早く察知し、既成概念にとらわれないチャネル選択を行うことの重要性です。
Duracell(デュラセル)——検索行動分析が切り拓いた意外な市場
世界的電池ブランドのDuracell(デュラセル)は、中国版TikTok抖音(Douyin)内での検索行動分析を通じて、全く予想外の市場セグメントを発見しました。

【世界的電池ブランドのDuracell(デュラセル)の広告、中国版TikTok抖音(Douyin)より】
同ブランドが注目したのは、「K-popファン層」と「電池」の意外な関連性です。
多くのK-popファンがコンサートで使用するペンライトに、なんとDuracellの電池が使われているという事実が、検索データから浮かび上がったのです。
この発見を基に、DuracellはK-popファン層を新たな優先ターゲットとして設定しました。
従来の「家庭用電池」という固定的なイメージから脱却し、若年層のカルチャーと結びついたコミュニケーションを展開しました。
さらに、K-popファン層は、「電池の液漏れ」というワードで検索することが分かっていたため、安全性などを強調した広告をK-popファン層向けに届くようにしたのです。
結果として、新しい顧客層の獲得をし、売上に大きく貢献しました。
この事例が示すのは、中国版TikTok抖音(Douyin)の検索データを分析することで、自社商品と消費者との想定外の接点を発見し、新たな市場を開拓できるという可能性です。
BKT——多様な顧客層に同時アプローチ
人体工学チェアブランドのBKTは、中国版TikTok抖音(Douyin)の多様な顧客層へそれぞれ顧客層に合ったインフルエンサー活用やメッセージを作成し、成果を上げています。
同社は同一商品の低単価商品168元(3,000円前後)でありながら、商品タイトルや商品画像、配信する動画のシチュエーションを細かく分岐させることで、全く異なる顧客層に同時にアプローチすることに成功しました。
具体的には、中国有名女優である楊冪(ヤン・ミー)のファン向け、オフィスワーカー向け、子育て中の母親向け、妊娠中・授乳中の母親向け、といった具合に、それぞれのセグメントに最適化されたインフルエンサーの選定及びメッセージを設計しました。
ライブ配信のシチュエーションや配信者のトーンもターゲットごとに変えることで、アルゴリズムが「この配信は誰に届けるべきか」を正確に判断できるようにしました。
結果として、多様な新しい顧客層を獲得し、売上に大きく貢献しました。
最後に

今回の記事でご案内した内容は、あくまで現時点の弊社の分析に基づくものです。
実際に自社ブランド商品を売り込みたい場合は、自社ブランドの特徴や中国市場状況に合わせて、マーケティングを行うことがおススメです。
弊社は現在、中国版TikTok抖音(Douyin)・RED(小紅書)を活用した中国SNSの運用代行や、中国への越境ECの支援などのサービスを展開しております。
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