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【クレソン株式会社】

中国人旅行客の獲得完全ガイド~飲食店業界~

2024年度の訪日中国人旅行者数は698万人を突破し、コロナ禍前を上回る勢いで回復しています。

日本における中国人観光客の消費が、大きなインパクトを与えているのは間違いありません。

このような状況において、飲食業界では「高単価志向」「トレンドに敏感」「デジタル決済依存」が特徴の中国人客が売上拡大の鍵です。

本記事では、消費動向から実践戦略、成功事例までを網羅し、効果的な集客方法を解説します。

目次

中国人旅行客の消費特性:高単価・トレンド・デジタル依存

中国人旅行客の消費行動は、他の国籍の旅行客と比べて際立った特徴があります。

高単価

まず、注目すべきは「高単価志向」です。

観光庁の2025年3月度調査によると、中国人旅行客の一人あたり平均飲食支出は5万円を超え、平均よりも少し高い傾向があります。

【国籍・地域別にみる訪日外国人1人当たり費目別旅行支出(全目的)、中国の飲食代支出が平均よりも少し高い、観光庁のホームページより抜粋】

実際に、特に人気を集めているのは、高級寿司店や和牛専門店です。

中国でもすしの神様として評判の高い「すきやばし次郎」では、特別コースを提供し、1人あたり5万円以上の売上を記録しています。

【小紅書(RED)で「すきやばし次郎」で食事をしたという素人ユーザーの投稿】

訪日旅行を「特別な体験」と位置付ける傾向が、高額支出を後押ししています。

トレンドに敏感な中国人観光客

次に、「トレンドへの敏感さ」が挙げられます。

中国人旅行客の80%以上が、小紅書(RED)や中国版TikTok抖音(Douyin)といった中国SNSで飲食店情報を収集します。

例えば、京都の老舗懐石料理店「菊乃井」は、中国版TikTok抖音(Douyin)で職人が季節の食材を調理する動画が投稿されたところ、予約問い合わせが数倍に急増しました。

動画内では「京都の庭園を眺めながら食事」という体験価値が強調され、「#一生に一度の食事」というハッシュタグがトレンド入りするほどでした。

SNSでの「共感」が、実際の来店行動に直結する好例です。

デジタル依存が強い傾向がある

さらに「デジタル決済への依存」は、飲食店のサービス設計を変えるほど強まっています。

AlipayやWeChat Payの利用率は100%近く、QRコードを使った注文や多言語対応アプリの導入が、中国旅行客向け対応の必須条件と言っても過言ではありません。

大阪・心斎橋の居酒屋「鳥貴族」では、中国語対応のタブレットメニューを導入後、中国人客の平均滞在時間が格段に延長したという成功事例があります。

さらに、注文のミスが減り、スタッフの負荷も軽減されたことで、顧客満足度と売上の両方が向上しました。

地域別ニーズの差異:都市部・地方・伝統文化圏で異なる戦略

中国人旅行客のニーズは、訪れる地域によって劇的に変化します。

この差異を理解し、地域ごとに最適化した戦略を打ち出すことが、飲食店業界にとって集客成功の鍵です。

都市部(東京・大阪):インスタ映えとプレミアム体験

東京や大阪などの大都市では、「写真映えする空間」と「非日常的な体験」を求める傾向が顕著です。

例えば、東京・六本木のスカイダイニングレストラン「THE MOON」は、夜景を背景にしたコース料理を提供しました。

中国人客の多くが「SNS投稿用」を目的に来店し、顧客が顧客を呼ぶ仕組みが構築されました。

【小紅書(RED)で素人ユーザに紹介された東京・六本木のスカイダイニングレストラン「THE MOON」、コメントで価格や場所などの質問が殺到】

また、有名シェフの店舗も人気を集めており、大阪のフレンチレストラン「La Cime」では、シェフが直接中国観光客対応するなど、おもてなしサービスを実施しました。

【小紅書(RED)で素人ユーザに紹介された大阪のフレンチレストラン「La Cime」、シェフ(写真真ん中)が直接対応してくれて感動!という投稿】

現在では、予約の多くが中国からの問い合わせで埋まる時期があるほどです。

地方(北海道・沖縄):地元食材と食文化体験

地方エリアでは、「その土地ならでは」の食材や文化を体験できるメニューが人気を集めています。

北海道・札幌のジンギスカン店「成吉思汗の羊」では、地元産の羊肉を使った食べ放題プランが、沖縄では、伝統料理「チャンプルー」の調理体験ワークショップが人気を博しています。

参加者は完成品を食べられるだけでなく、調理体験をした動画をSNSでアップし、自然な情報拡散が起こっています。

伝統文化圏(京都・金沢):物語性と職人の技

京都や金沢などの伝統文化が根強い地域では、「職人の技」や「和食の物語性」に感動する中国人客が多く見られます。

京都の寿司店「鮨 ます田」は、職人が客の目の前で握る「カウンター体験」を全面に打ち出し、小紅書(RED)では「本物の日本」として紹介されました。

金沢の加賀料理店「つる幸」では、漆器を使った食事と地元の歴史を紐解くストーリーテリングを融合し、中国で大きく話題となりました。

【小紅書(RED)で素人ユーザに紹介された金沢の加賀料理店「つる幸」】

効果的戦略と実践事例:飲食店が中国人旅行客を獲得するための具体的手法

中国人旅行客の消費特性の概要が分かったところで、飲食店が中国人旅行客を獲得するための具体的手法を紹介していきましょう。

中国市場の競合環境は、日本と同様に非常に厳しく、差別化がキーです。

激化する競争環境の中、差別化を図るためには、「デジタルツールの活用」と「体験ワークショップ」、「利便性の最適化」、「データ駆動型経営の重要性」が不可欠です。

デジタルツールを活用した差別化

中国人客の購買行動はデジタルプラットフォームに大きく依存します。

そのため、中国SNSを軸としたデジタルマーケティングが必須です。

具体的には、中国人旅行客の購買行動は、小紅書(RED)、中国版TikTok抖音(Douyin)、微信(WeChat)の3大プラットフォームに強く影響されます。

これらの特性を理解し、戦略的に活用することで、ブランド認知を飛躍的に高めることが可能です。

小紅書(RED):トレンド発信と「共感」の醸成

小紅書は20~30代女性を中心に、ライフスタイルやグルメ情報が共有されるプラットフォームです。

飲食店が成功するためには、「視覚的インパクト」と「物語性」を兼ね備えた投稿が不可欠です。

成功事例として、京都・懐石料理店「菊乃井」が挙げられます。

同店は、職人が調理する過程が動画で投稿されました。

ハッシュタグ「#京都の四季を味わう」などで拡散し、1週間で再生回数が数万回を突破します。

その後、予約問い合わせは前月比数倍に増加し、中国人客の割合がも拡大しました。

【小紅書(RED)で紹介された京都・懐石料理店「菊乃井」】

中国版TikTok抖音(Douyin):短時間で中国人観光客の感情を揺さぶる

中国版TikTok抖音(Douyin)の15秒動画は、瞬時の感情共有が可能です。

飲食店は「食べる瞬間」の臨場感や「インスタ映え」を意識したコンテンツ制作が鍵となります。

成功事例として、東京の個人ラーメン店をご紹介します。

同店では、スープを麺にたっぷり絡める様子をスローモーションで撮影しました。

BGMにトレンド曲を使用し、「#東京の隠れた名店」タグなどを付けて投稿します。

中国版TikTok抖音(Douyin)での動画は数日間で数十万回再生され、週末の来店客数は数倍になりました。

微信(WeChat):顧客管理とリピート率向上の融合

微信は、情報発信から予約・決済まで一括管理できる強力なツールです。

飲食店は公式アカウントを活用し、顧客との継続的関係構築を図ることができます。

日本で大きな成功事例はまだないのですが、中国では大きく成功しているブランドが多く、例えば、上海の焼き肉店などは、WeChatアカウントでの先行予約を開始し予約者には利用できる「ポイント還元制度」を導入しています。

その結果、リピート率上昇に大きく貢献しています。

また、AIチャットボットで中国語対応を24時間化も可能で、会員限定の「バーチャル試食会」を開催し、オンラインとオフラインを連動させている飲食店もあります。

日本の成功事例が少ないことから、先駆けて今すぐ始めることで大きな差別化につながります。

体験ワークショップを活用した差別化

次に、体験ワークショップを活用した差別化に関する成功事例を紹介しましょう。

食文化体験ワークショップ:自分で作る楽しみ

中国人旅行客は「単なる食事」ではなく、「SNSで共有できる体験」を求めています。

料理教室や調理体験は、帰国後の話題作りに最適です。

事例として、大阪のある寿司店での寿司の握り体験ワークショップがあります。

同店は30分の寿司握り体験を1人5,000円で提供し、参加者には職人との記念写真と「寿司マイスター証明書」を贈呈しました。

体験後は握った寿司をその場で食べられるため、満足度が高く、中国SNSでも一定の反響がありました。

地域限定メニュー:その土地でしか味わえない価値

「日本でしか手に入らない」という希少性は、中国人客の購買意欲を刺激します。

成功事例として、北海道・スイーツ店「LeTAO」の「雪ミルクパフェ」をご紹介します。

【小紅書で紹介された北海道・スイーツ店「LeTAO」の「雪ミルクパフェ」】

冬季限定で、地元の雪解け水を使用したパフェを開発。小紅書(RED)で「#北海道の冬を食べる」で大きくヒットし、中国からの予約が殺到しました。

利便性の最適化:デジタルツールでストレスフリーを実現

中国人客は「待ち時間の短縮」と「言語障壁の解消」を強く求めます。

デジタル技術を活用し、顧客の不便を解消することが信頼獲得に直結するからです。

成功事例として、あるスイーツ店は、テーブルごとにQRコードを設置、中国語メニューから注文でき、AIが料理の説明を音声で提供します。

導入後、注文ミスが激減し、中国人客の満足度もアップし、平均滞在時間も大幅に延長しました。

データ分析型経営の重要性

SNSの口コミ分析や購買データを活用した需要予測が、競争優位性を生み出します。

北海道のあるスイーツ店は、小紅書(RED)での「冬のスイーツ」関連キーワードをAIで分析しました。

12月に向けて「チーズタルトとホットワインのセット」を開発し、事前にプロモーションを展開した結果、冬シーズンの売上は急増し、SNS上で「北海道の冬を味わう定番」として定着しました。

リスク管理:信頼を守るための基盤づくり

中国市場攻略には攻めだけではなく、守りも大切です。

ここからは、リスク管理について、お伝えしましょう。

食品安全とトレーサビリティ

近年、中国人旅行客の間で「食品安全」への意識が急速に高まっています。

例えば、ある寿司チェーンは、食材の産地情報を公開しています。

QRコードをスキャンすると、マグロの漁獲海域から輸送経路までが可視化され、安心感をアピールしました。

さらに、アレルギー表示を中国語で明記するなど、細かい配慮が信頼獲得に繋がっています。

このようにすべてをオープンにすることで、顧客の安心感につながるだけでなく、企業内にも緊張感が生まれ、良い循環が構築されています。

アレルギー表示の多言語化とスタッフ教育

アレルギー事故を防ぐため、メニューの多言語表記とスタッフの知識向上が必須です。

大阪・イタリアンレストランでは、メニューに中国語のアレルギーアイコン(例:卵・小麦・乳製品)を導入しました。

さらに、スタッフ向けに「アレルギー対応トレーニング」を月1回実施しています。

結果として、中国人客からのクレームが大幅に減少し、「安心して食べられる」という評価が定着しました。

政策変化と法規制への対応

個人情報保護法(PIPL)が整備されるなど、中国では、法的コンプライアンス意識も高まっています。

例えば、個人情報保護法対策も万全にしておく必要があります。

具体策としては、予約システムのデータ暗号化や日本国内でデータ管理を行うなどがあります。

仮に中国側の監査が入り、個人情報保護が不適切と判断された場合は、ホームページが中国側ユーザーからアクセスできなくなるなどの措置が実施されるリスクがあるため、十分に注意しましょう。

予約販売や顧客情報データを扱うお店は、関連の政策や法規制の最新情報をチェックしておきましょう。

最後に

中国人旅行客の獲得競争は「スピード」と「独自性」が鍵です。

飲食店業界がリスクを最小限に抑え、大きく成長するためには、今日の成功事例に甘んじず、常に未来のトレンドを先読みする姿勢が求められます。

今回の記事でご案内した内容は、あくまで現時点の弊社の分析に基づくものです。

実際に自社ブランド商品を売り込みたい場合は、自社ブランドの特徴や中国市場状況に合わせて、マーケティングを行うことがおススメです。

弊社は現在、中国版TikTok抖音(Douyin)・RED(小紅書)を活用した中国SNSの運用代行や、中国への越境ECの支援などのサービスを展開しております。

ぜひご気軽にご相談ください。

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