コロナ後、インバウンド市場は、どんどん大きくなっています。
中国インバウンドの回復は他国に比べて一足遅かったのですが、間もなく本格復帰することは間違いありません。
インバウンドビジネスに関わる方でしたら、このインバウンド市場の拡大トレンドにどのように乗っていけばよいのか、気になるところでしょう
この記事では、急成長する中国のインバウンドマーケット、小紅書(RED)と中国版TikTok抖音(Douyin)を活用した成功事例成功事例などを紹介していきます。
中国人観光客インバウンド前の情報源と現状
中国人観光客インバウンド現状
2023年8月から、ようやく中国は、日本行き団体旅行・パッケージツアー商品の販売禁止措置を撤廃しました。
中国観光研究院のデータによると、2023年上半期の中国の出国観光者数は、既に新型コロナウイルスの流行前(2019年)の41.6%までに回復しています。
中国人の海外の観光先は、アジア地域に集中しており、その比率はなんと93.95%(アジア地域/全世界)です。
その中で日本を訪れる中国人観光客の割合は12.05%に達し、これは2019年以来の初めての好転となります。
また、中国人の旅行に対するニーズ自体も徐々に大きくなっています。
例えば、Trip.com(携程网)という中国大手旅行代理店によると、2023年夏(7-9月期のデータ)の海外ホテルとチケットの予約件数は、すでに2019年比で約80%まで回復しています。
さらに、2023年8月から中国の水際対策の緩和が発表された後、中国人観光客の人気旅行先として、日本は2位にまでランクインされるようになりました。
ちなみに、中国旅行研究院の調査報告によれば、2023年上半期における、海外旅行先ランキングは下記の通りです(カッコは人気投票割合を示す)。
1位:タイ(16.24%)
2位:日本(12.05%)
3位:シンガポール(8.69%)
4位:韓国(7.60%)
5位:ミャンマー(4.99%)
このように、中国インバウンド市場は、上昇トレンドに入っているのです。
中国人観光客が最新の旅行情報を得る手段とは
中国人観光客の旅行に対するニーズが高まっていることは、理解できたと思います。
ここで、このニーズをインバウンドビジネスに転換するには、中国人観光客がどのように旅行情報を得ているのかを把握することが非常に重要です。
最近では、中国SNSが、中国人観光客の旅行に関する主な情報源になっています。
そして、中国SNSのなかでも、小紅書(RED)と中国版TikTok抖音(Douyin)が、最も人気です。
JNTO(Japan National Tourism Organization、日本政府観光局)によれば、数年前まで出発前に役に立った日本旅行情報源のトップは、1位が日本政府観光局ホームページ、2位が動画サイト、3位がSNSでした。
ところが、2023年4-6月の直近のデータを見ると、1位がSNS、3位も動画サイトになっています。
小紅書(RED)と中国版TikTok抖音(Douyin))はSNSであり、動画サイトでもありますから、最もよく使われる情報源であることは間違いないでしょう。
ちなみに、中国人含む全国籍の外国人観光客の情報源のトップは、動画サイトでした。
他の外国人と比較しても、中国SNSの人気は際立っていることがわかります。
【2023年4-6月国籍・地域と中国の比較、JNTOの訪日旅行に関する意識から抜粋】
中国SNSの影響力の背景
中国SNSがなぜこれほどまで影響力があるのか、気になっている方もいるのではないでしょうか。
その大きな影響力の理由は、大きく2つあります。
それは、スマホユーザーの多さと、中国の国策です。
まず、MarkeZineなどの調査によれば、2012年時点で中国都市部のスマホ普及率は、すでに93%に達していました。
一方、同時期の日本のスマホ普及率は47%でした。
つまり、中国ではスマホユーザーが10年前からかなり多くおり、中国人にとって生活インフラと言っても過言ではないほど、スマホが生活に浸透していたのです。
中国現地に来るとすぐにわかりますが、通勤時間や休憩時間など、中国人は時間があればスマホを手にとり、SNSやショート動画を見ています。
例えば、地下鉄などの乗車席に乗っている人を眺めてみると、スマホでSNSを見ていない人を見つけるのが難しいくらい、スマホとSNSが普及しています。
もう一つの中国SNSの影響が大きい理由として、中国では世界のメジャーなSNSが使えないという中国のユニークな国策が挙げられます。
中国では、グレートファイヤーウォールという中国政府管理に基づく閲覧制限により、世界中のメジャーなSNSの利用が制限されています。
大部分の中国人は国際的にメジャーなSNSであるフェイスブックやX(旧ツイッター)、ラインなどへのアクセスができないのです。
一方、中国にはフェイスブックなどに対応するプラットフォームやアプリがあり、中国人が唯一利用できるSNSや動画プラットフォームになっています。
中国政府による国策が、結果として、中国SNSの影響力を高めているのです。
ちなみに、Quest Mobile(インターネット専門の中国大手市場調査会社)の最新調査によれば、2023年9月における中国インターネットSNS使用時間で、ランキング1位は中国版TikTok抖音(Douyin)でした。
【2023年9月メディアプラットフォームの1人あたりの利用時間、Quest Mobileより】
※図の翻訳:左から順に、中国版TikTok抖音(Douyin)、微博(Weibo)、快手(Kuaishou)、bilibili(ビリビリ)、小紅書(RED)
特に、一年前と比較すると、中国版TikTok抖音(Douyin)が約6.8分/1日、小紅書(RED)5.5分/1日使用時間が伸びており、今、最も伸びている中国SNSであると言えます。
インバウンドマーケットにおける小紅書(RED)と中国版TikTok抖音(Douyin)の活用方法
インバウンドビジネスにおいて中国SNSの活用は不可欠
中国人観光客の旅行に対するニーズが高まっていることや中国SNSの影響を鑑みれば、インバウンドビジネスにおいて中国SNSの活用は不可欠と言えるでしょう。
つまり、中国人観光客を多く引き寄せるためには、中国SNSの活用が必要なのです。
その中でも、小紅書(RED)と中国版TikTok抖音(Douyin)は、特にお勧めです。
中国人に人気ということもありますが、日本人にとっても使いやすいSNSだからです。
まず、小紅書(RED)のアカウント作成自体はとても簡単です。
小紅書(RED)は、基本的に中国語や英語で登録しなければなりませんが、日本語訳版もあります。
詳細は、下記の記事で紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
小紅書アプリを日本語で使うコツ:設定方法と快適に利用する方法
次に、中国版TikTok抖音(Douyin)のアカウント作成については、若干難しいです。
最も大きなハードルは、中国の携帯電話番号が必要なことです。
ところが、PC版を見ると使えるようになるなどの方法があります。
詳細は、下記の記事で紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
Douyin(中国版TikTok)の使い方完全ガイド:登録方法から使い方まで
さらに、企業として小紅書(RED)と中国版TikTok抖音(Douyin)を運用したいということでしたら、企業アカウント作成も可能です。
自社ブランドや自社商品を本気で販売促進していきたいという企業は、企業アカウントがお勧めです。
こちらも詳細は、下記の記事で紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
中国版TikTok抖音(Douyin)抖音の企業アカウントを利用して、中国で商品を宣伝し販売力アップ!
小紅書(RED)企業アカウントのススメ:作成方法とブランドイメージを高めるテクニック
訪日インバウンドにおける小紅書(RED)と中国版TikTok抖音(Douyin)の活用方法
小紅書(RED)と中国版TikTok抖音(Douyin)のアカウント作成や、実際に視聴できることがわかりました。
一方で、実際にどのようにインバウンドビジネスで活用したらよいのか気になった方がいらっしゃるのではないでしょうか。
ここで、小紅書(RED)と中国版TikTok抖音(Douyin)を活用する際のポイントについて、3つ紹介しましょう。
- 独自性のあるコンテンツを作成すること
- トレンドをつかむこと
- インフルエンサーやクリエイターを活用
1つ目は、小紅書(RED)と中国版TikTok抖音(Douyin)にて動画などをアップする際は、独自性のあるコンテンツにすることです。
2016年ごろの中国SNSが流行り始めた当初であれば、動画をアップすること自体が独自性のあることでした。
ところが、現在では多くのブランドやクリエイターが、小紅書(RED)と中国版TikTok抖音(Douyin)にて動画をアップしています。
このような状況では、他のブランドと同じようなコンテンツを作成しても、大きな広告効果は期待できません。
自社ブランドや商品の特徴などに基づいた、独自性のあるコンテンツを作成することが大事です。
2つ目は、トレンドをつかむことです。
小紅書(RED)と中国版TikTok抖音(Douyin)では、トレンドがあります。
そして、そのトレンドを掴むのは決して難しいことではありません。
例えば、小紅書(RED)や中国版TikTok抖音(Douyin)の検索バーで自動表示されるキーワードがあります。
少し上級編にはなりますが、トレンドキーワードのランキングを見ることができるサイトもあります。
詳細は、下記の記事で紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
中国のSNSプラットフォーム、小紅書(RED)で話題のトレンドキーワードとは?
3つめは、中国インフルエンサーの活用です。
小紅書(RED)と中国版TikTok抖音(Douyin)を使ってインバウンドのプロモーションを行う場合、インフルエンサーの活用が非常に大事になります。
なぜなら、インフルエンサーの中国ビジネスへの影響は、日本と比較にならないほど、非常に大きいからです。
実際、中国においては、インフルエンサーを活用したマーケティングはすでに主流になっています。
その背景には、中国消費者は、大きな組織による裏切りを経験してきた過去があり、会社自身による広告は信じていないという事実があります。
結果として、ブランドに起用されている有名人よりも、一般庶民に近いインフルエンサーの情報の方が信じることができると評価されています。
ブランドや店舗と関係のない一般人が発信している情報は、中国消費者にとってより大きな信頼性のある情報として受け取る傾向があるのです。
中国のインバウンドマーケットにおける成功事例紹介
Hatcoffee(ハットコーヒー)
ここで、中国のインバウンドマーケットにおける成功事例紹介について、3つ紹介しましょう。
日本にいながら中国のインバウンドマーケットを本当に攻略できるのか、という不安を払しょくできる一つの材料になればと思います。
1つ目の成功事例は、東京都にあるHatcoffee(ハットコーヒー)です。
日本人のオーナーである松野氏が2019年に立ち上げたコーヒー店で、3Dラテアートが大変人気です。
具体的には、Hatcoffee(ハットコーヒー)は、とてもきれいなラテアートを小紅書(RED)にアップし、中国のラテアートファンから注目されました。
さらに、多くのラテアートファンにより、小紅書(RED)と中国版TikTok抖音(Douyin)を通して、Hatcoffee(ハットコーヒー)の詳細な情報が拡散されていったのです。
その投稿には、コーヒーの種類、ラテアート作りの動画などの詳細情報が含まれ、中国のコーヒー愛好家から多くの注目を浴びるようになりました。
【Hatcoffee(ハットコーヒー)の3Dラテアート、小紅書(RED)より】
【Hatcoffee(ハットコーヒー)の3Dラテアート、中国版TikTok抖音(Douyin)より】
現在、3Dラテアートはそれほど珍しいものではなくなりましたが、当時は非常に独創性のあるコンテンツでした。
ちなみに、中国の若者たちに人気の飲み物は、コーヒーです。
2022年時点では、中国上海市にはおよそ8000店舗あります。
上海市は中国国内で最もカフェが多い都市ですが、世界でも1位になっています。
例えば、スターバックスは、2023年1月時点で、東京都市内でおよそ389店、上海市では約1000店です。
このようにスターバックスの店舗数を比較するだけでも、中国人は本当にコーヒーが好きであり、カフェ市場は非常に大きいことがわかります。
Hatcoffee(ハットコーヒー)は、中国の大きな市場をインバウンドビジネスにうまく転換した成功事例と言えるでしょう。
大阪中崎町の各店舗
2つ目の成功事例は、大阪中崎町の各店舗です。
大阪中崎町の各店舗は、旅行系の中国インフルエンサーにより紹介してもらうことにより、多くの中国人観光客を呼び寄せることに成功します。
具体的には、中国インフルエンサーが、中国で人気急上昇のキーワードである「シティウォーク」をテーマとして、大阪中崎町に関する内容を小紅書(RED)で投稿しました。
ここで「シティウォーク」とは、英語の 「city」と 「walk」を組み合わせた合成語です。
簡単に言えば、都市の歴史を探索し、都市の文化やセンスを感じることを意味します。
2022年に小紅書(RED)が発表した「2022年の生活トレンドトップ10」では、「シティウォーク」が第5位になるほどのパワーワードです。
日本では大阪や東京など、歴史がある都市がたくさんあます。
中国人観光客にとって、日本の歴史場所や神社などは「シティウォーク」の対象であり、「シティウォーク」というワードをテーマに入れるだけで、その投稿が大きく伸びます。
【小紅書(RED)で「シティウォーク」として大阪中崎町の各店舗が紹介されている】
中国の若者達にとって、「シティウォーク」は新しい旅行スタイルであり、同時に新しいライフスタイルでもあると考えられています。
流行しているキーワードは、若者の中国生活スタイルや思考に根差したものが多く、それに関連した投稿は一気に拡散します。
トレンドを見極めるうえでも、大事なものですから、投稿前に流行っているキーワードはチェックしておくとよいでしょう。
Natural Kitchen(ナチュラルキッチン)
3つ目はNatural Kitchen(ナチュラルキッチン)です。
Natural Kitchen(ナチュラルキッチン)は、大阪にある雑貨屋の一つで、100円という価格で本当の価値のあるものを作りたいという思いから生まれたブランドです。
店には色々な小物がそろっており、多くの中国インフルエンサーにより、主に小紅書(RED)にて投稿されます。
そして、中国インフルエンサーは、フォローが数万人越えるような有名なKOL(Key Opinion Leader)ではありません。
フォロワーが数千人レベルですが、小物などの特定分野の見識が深く、フォロワーに近い存在として人気のあるKOC(Key Opinion Consumer)と呼ばれるインフルエンサーにより、紹介されているという特徴があります。
直近では、フォロワー数が多く、知名度の高い有名人KOLよりも、フォロワーから信頼を得ているKOCの方が中国消費者の信頼を得やすく、広告効果が大きいと言われています。
【Natural Kitchen(ナチュラルキッチン)、小紅書(RED)より】
このような中国消費者心理の動きもうまくとらえて、Natural Kitchen(ナチュラルキッチン)は、中国人の女性若者に大人気なお店になっているのです。
最後に
以上、急成長する中国のインバウンドマーケット、小紅書(RED)と中国版TikTok抖音(Douyin)を活用した成功事例成功事例などを紹介しました。
弊社は現在、中国版TikTok抖音(Douyin)・小紅書(RED)を活用した中国SNSの運用代行や、中国への越境ECの支援などのサービスを展開しております。
ぜひご気軽にご相談ください。
クレソン株式会社 HP
クレソン株式会社 サービス一覧
クレソン株式会社 お問い合わせ
今後ともクレソン株式会社を何卒よろしくお願い申し上げます。
小紅書(RED)運用代行
【 こんなお悩みありませんか??】
- 動画で中国人向けに訪日を促したい
- 中国進出するため製品をプロモーションしたい
- 中国向けに動画を再編集したい
クレソンの小紅書(RED)運用代行なら、丸投げで運用が可能です!お気軽にお問合せください。
\まずは、お気軽にご相談ください!/