日本観光マーケティングを行う際には、ターゲティングを行うことが大切です。
特に、コロナが収束した後は、外国人の日本観光が増加傾向にあり、外国人向けマーケティングの重要性が増しています。
最近では、日本観光マーケティング成功事例も多く出てきていますが、一つの共通点として、中国人観光客をうまく呼び込んでいることが挙げられます。
この記事では、中国人観光客の魅力、そして日本観光マーケティングの成功事例について、紹介していきます。
中国人観光客の魅力
中国人観光客は消費が旺盛
日本観光マーケティングにおいて、どの顧客層に対してアプローチするかという、ターゲティングを行うことが大事です。
特に、最近では外国人の往来が多くなり、日本でたくさんの消費をしてくれます。
あまり知られていない事実ですが、外国人の中でも、中国人観光客はVIP顧客層です。
その理由は、中国人観光客は、下記の3つの特徴があるからです。
- 中国人観光客は消費が旺盛
- 中国人観光客の人数が多い
- マーケティング戦略が立てやすい
まず、中国人観光客は消費が旺盛です。
⽇本政府観光局(Japan National Tourism Organization)の2023年暦年データ調査によれば、中国人観光客の消費総額の大きさは、台湾に次いで2位でした。
【国籍・地域別にみる費目別訪日外国人旅行消費額、⽇本政府観光局より】
台湾も同じ中国圏ととらえると、消費額が最も多い国と言えます。
「中国人は人数が多いから、当然なのでは?」と思われる方もいるかもしれません。
しかしながら、一人当たりの消費額を見ても、中国人観光客はトップクラスです。
【国籍・地域別にみる1人当たり旅行支出と訪日外国人旅行消費額、⽇本政府観光局より】
1人当たり消費額ランキング上位には、フランスやイタリヤ観光客などの欧米国が目立ちますが、中国人観光客は、アジア圏において断トツの1位であることがわかります。
また、中国人観光客の特徴として、買物代の消費が旺盛ということが挙げられます。
2つ前の図表「国籍・地域別にみる費目別訪日外国人旅行消費額、⽇本政府観光局より」をもう一度見てみましょう。
中国人観光客の買物代の消費額は、2,860億円であり、断トツの1位でした。
これは2023年に限ったことではなく、中国人観光客は昔から日本での買物消費が旺盛なのです。
具体的にどのような買い物をしているかについては、下記の記事で紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
インバウンド中国人観光客の行動傾向:旅行先での関心事と何を見ているのか? | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
中国人観光客の人数が多い
2つ目の中国人観光客の魅力として、中国人観光客の人数が多いことが挙げられます。
2023年度では、台湾や韓国に追い抜かれてしまいましたが、2015年~2019年までは、断トツでNo.1でした。
【年別 国・地域ごとの訪日外客数の推移、⽇本政府観光局より】
アメリカや台湾などでは、2019年の訪日外客数の水準を超えているのにも関わらず、中国だけが2019年の水準に全く達していません。
水準に達するどころが、2019年の 約20%にしか満たない状況なのです。
その主な原因は、国際問題です。
中国は、コロナ政策が解除された時期が最も遅い大きな国でした。
2023年8月10日に中国コロナ政策が解除されましたが、その2週間後には日本の処理水の海洋放出バッシングが始まりました。
さらには、中国政府による日本水産物の全面輸入禁止が実行され、風評被害により、日本渡航が再度自粛ムードになっているのが現状なのです。
一方で、グローバルな視点で情報を集めている一部の中国人観光客は、中国の報道をものともせず、訪日旅行を楽しんでいます。
2024年度以降は、このような中国人観光客は増加していくことでしょう。
さらに、中国国内では、日本観光の人気は依然として高いです。
2023年上半期で中国人が行った国外旅行先は、アモイ、香港、タイに続いて、日本が第4位でした。
【2023年上半期の中国人の海外旅行先分布、中国旅游研究院(文化和旅游部数据中心)より】
実際、中国国内のメディアでは、タイに行く中国人の報道が目立ち、日本旅行は見向きもされていない状況でした。
ところが、実際は、上の図表のように、日本へ行く中国人観光客は、多くいるのです。
まだまだ悲観的なニュースが多いですが、メディアに惑わされず、冷静な見極めが大事と言えるでしょう。
マーケティング戦略が立てやすい
3つ目の中国人観光客の魅力として、マーケティング戦略が立てやすいことが挙げられます。
日本観光マーケティングを行う際は、どの国、どのような顧客層を狙っていくかという、ターゲティングが大切です。
ターゲティングができましたら、ターゲット層はどのように情報収集し、どのような消費パターンがあるか、事例などを調査する必要があります。
ここで、中国人観光客をターゲット層とした場合を考えてみましょう。
中国人の情報アクセススポットや消費パターン、成功事例・失敗事例などの情報は、他の国に比べて多いことに気がつくと思います。
一方、例えば、アフリカ人やインド人をターゲティングしようとした場合、情報をほとんど見つけることができず、調査結果や予測の精度が低く、戦略が立てにくい面があるのです。
日本観光マーケティングの成功事例
令和彩東京和服体验店
ここからは、日本観光マーケティングで成功した事例について、紹介したいと思います。
1つ目の成功事例は、令和彩東京和服体验店という、和服のリースをしているお店です。
東京浅草にあるお店で、小紅書(RED)を活用して、日本観光マーケティングで中国人の呼び込みに成功しています。
【令和彩東京和服体验店の小紅書(RED)のページ】
令和彩東京和服体验店の小紅書(RED)のフォロー数は約1800人ほどおり、多くはありません。
ところが、定期的に投稿数を行っており、1.3万以上の「いいね」があり、多くの中国人観光客の興味を引いています。
和服を着て日本の街中を観光することは、日本へ訪れる中国人女性の定番コースです。
実際、和服の着付けの投稿は小紅書(RED)が多いですが、中国版TikTok抖音(Douyin)でも人気動画の一つです。
【中国版TikTok抖音(Douyin)での和服を着る中国人女性】
令和彩東京和服体验店は、そのトレンドにうまく乗っているお店のひとつでしょう。
また、令和彩東京和服体验店は、中国からの観光客を受け入れるため、中国語を話すスタッフを配置し、カスタマーサポートを提供しています。
このように、言語の壁を取り扱うことで、中国人観光客のニーズにうまく応えているのです。
池袋スタークリニック デンタル&メディカル
2つ目の日本観光マーケティングの成功事例は、池袋スタークリニック デンタル&メディカルです。
池袋スタークリニック デンタル&メディカルは、複数の中国KOCにより、小紅書(RED)で紹介されることにより、中国人患者の呼び込みに成功しています。
【日本語ができなくても大丈夫という小紅書(RED)の投稿、住所までコメントでしっかり記載している】
実は、中国では、日本医療の評価が高く、日本への医療ツーリズムの人気があります。
医療目的で日本へ訪問する中国人観光客は一定数おり、日本の健康診断や美容整形サービスは特に人気があります。
コロナ以後、医療ツーリズムが少なくなってしまいましたが、現在では復活の兆しがあります。
詳細は下記記事でも紹介していますので、ご興味のある方はご覧ください。
小紅書(RED)・中国版TikTok抖音(Douyin)を活用した医療観光・インバウンド集客クリニック事例3選 | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
センタラグランドホテル大阪
3つ目の日本観光マーケティングの成功事例は、センタラグランドホテル大阪です。
センタラグランドホテル大阪は、タイを代表する高級ホテルチェーンの大阪店で、小紅書(RED)を活用して、中国人の集客に成功しています。
具体的には、中国台湾のミドル級インフルエンサー「Shuuu🐰吃喝玩乐在日本」や「Alice」により、小紅書(RED)投稿により、多くの中国人の呼び込みに成功します。
【Shuuu🐰吃喝玩乐在日本による小紅書(RED)の投稿画面】
【Aliceによる小紅書(RED)の投稿画面】
【中国台湾のミドル級インフルエンサー「Alice」の小紅書(RED)ホーム画面】
実は、センタラグランドホテルは、中国でとても人気のあるホテルの一つです。
周杰伦など中国有名人の御用達のホテルで、センタラグランドホテルにとっては、中国人はメインの顧客の一つでもあります
そのような背景もあり、中国人向けのプロモーションは効果があると考えたのでしょう。
【1.2万の「いいね」を集めるほど人気なセンタラグランドホテルの紹介動画、中国版TikTok抖音(Douyin)より】
日本観光マーケティングの成功のポイント
中国SNSの活用
日本観光マーケティングの成功事例を見てきましたが、ここで彼らがなぜ成功したのかについて、ポイントを整理していきましょう。
大きく3つに整理すると、下記の通りです。
- 中国SNSの活用
- インフルエンサーの活用
- 中国人観光客のニーズに対応した各種対応
まず、日本観光マーケティングの成功しているブランドや企業は、漏れなく、中国SNSを活用しています。
なぜ成功している企業は、中国SNSを重視しているのでしょうか。
それは、中国人観光客がどのように情報収集し、どのような消費パターンがあるのかを分析してみると、すぐにわかります。
情報収集方法について、中国人観光客にとって、中国SNSが最もメジャーな情報源になっています。
JNTO(Japan National Tourism Organization、⽇本政府観光局)の訪日旅行データハンドブック2023年度版によれば、中国人が訪日で最も役立った旅行情報源はSNSでした。
【中国人が訪日で最も役立った旅行情報源、訪日旅行データハンドブック2023年度版より】
注目すべきは、この中国SNSの重要性が日に日に高まっていることです。
中国SNSの重要性や活用方法については、下記記事で詳細を解説していますので、興味のある方はご覧ください。
中国向けSNSインバウンドマーケティングの秘訣:成功のための戦略解説
インフルエンサーの活用
中国SNSを使ってマーケティングを行う際は、インフルエンサーの活用は必須です。
その理由は、まず、中国人は、大きな組織による裏切りを経験してきた過去があり、会社自身による広告は信じていません。
結果として、ブランドに起用されている有名人よりも、一般庶民に近いインフルエンサーの情報の方が受け入れられています。
また、中国SNSマーケティングにおいては、インフルエンサーを活用した成功モデルが確立されつつあります。
例えば、小紅書(RED)における成功マーケティングモデルは、KFSモデルと言われています。
【KFSモデルを図解した表】
このKFSとは、KOL、FEEDS、SEACHの頭文字から来ています。
KOLは中国インフルエンサーを指し、フォロワー数に基づいてトップKOL(Key Opinion Leader)、ミドルKOL、マイクロKOL、KOC(Key Opinion Consumer)に分類され、重要な役割を果たします。
FEEDSは、口コミマーケティングを指します。
SEACHは、検索キーワードの精査の重要性を示しています。
このように、小紅書(RED)での成功モデルでは、中国のインフルエンサーが全てのプロセスに関与しているのです。
詳細は、こちらの記事でも紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
小紅書(RED)のKOL人気ランキング2023:最も影響力のある中国KOLたち | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
中国人観光客のニーズに対応した各種対応
日本観光マーケティング成功の最後のポイントは、中国人観光客のニーズに対応した各種対応です。
成功事例で紹介した、令和彩東京和服体验店などでは、中国語対応でかつスピーディーに反応し、中国人観光客のニーズにうまく対応しています。
また、令和彩東京和服体验店は、浅草に位置していますが、浅草という場所自体が、中国人観光客のニーズにうまく対応しているスポットです。
【小紅書(RED)でバズっている浅草三神祭の投稿】
浅草の仲見世商店街では、伝統的な和菓子やお土産品を販売する店舗が多くあり、中国人観光客に人気を集めています。
さらに、日本の文化体験を提供する施設やイベントも充実しており、浅草寺でのお参りや浴衣での散策など、日本の伝統を実感できるプログラムが用意されています。
浅草では中国語を話すスタッフも多く配置されており、観光案内やサポートにおいて円滑なコミュニケーションが図られています。
電子決済サービスや中国のSNSでの情報発信も積極的に行われており、中国人観光客が旅行中に便利に利用できる環境が整備されているのです。
浅草の成功は、中国人観光客のニーズを的確に把握し、それに合った観光体験を提供することで成り立っています。
これからビジネスや町おこしとして、日本観光マーケティングを行う際は、非常に参考になる成功事例です。
最後に
以上、中国人観光客の魅力、そして日本観光マーケティングの成功事例について、解説しました。
弊社は、日本と世界を更に近づけるために、訪日外国人向けのインバウンド事業や、日本製品を海外に展開するアウトバウンド事業を展開しています。
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