日本の不動産は中国で根強い人気があり、不動産業界にとって、中国人富裕層は依然として大きな顧客です。
ところが、ネット広告や知人の中国コネクションを使った販売では、すでに売れない時代になってきています。
その背景にあるのは、中国不動産に興味を持っている層や中国人の情報の取り方などに変化が起きているためです。
そこで、今回は、不動産業界‐中国人富裕層集客でSNS運用を活用したマーケティング事例を紹介します。
中国人富裕層でSNS運用を活用する重要性
中国人富裕層の特性とマーケティングニーズ
中国人富裕層は世界的にも注目される購買力を持つ層であり、不動産投資は彼らにとって特に関心が高い分野の一つです。
日本の不動産市場は、経済的安定性、教育環境の充実、さらにはステータスシンボルとしても人気を集めており、特に東京や大阪などの都市部の高級マンションや投資物件は、教育目的や資産分散を求める中国人富裕層から支持されています。
また、最近では、中国不動産が売りたくても売れない、貸したくても借りる人がいないという事象が中国国内で起きています。
背景には、中国不動産価格が下落トレンドにあること、若年層が不動産購入に対して積極的ではないこと、中国経済の悪化などが関係しています。
このような状況を踏まえ、不動産業界におけるマーケティング戦略は単なる広告展開に留まらず、中国人富裕層の特性を深く理解した上で構築していく必要があります。
SNSが富裕層に影響を与える理由
最近の中国人富裕層は、伝統的な広告や人的コネクションよりもSNSを通じたリアルな情報や口コミを重視する傾向が出てきました。
実際に中国現地の中国人富裕層へヒアリングすると、伝統的な広告や人的コネクションは既に大きな販売促進費用や仲介費用が発生しており、かつ情報に限りがあることを熟知していることがわかります。
一方、小紅書(RED)やWeChatなどのプラットフォームは、中国人富裕層が日常的に使用するSNSであり、不動産に関する情報を大量かつ効率よく届けるための最適な手段と認識されています。
たとえば、小紅書(RED)では高級不動産のインテリアや周辺環境を美しい画像で紹介されていますので視覚的な理解が容易ですし、口コミ情報も得ることができます。
また、WeChatのようなプラットフォームでは、1対1でのコミュニケーションを通じて信頼関係を構築することができるため、中国人富裕層にとっては安心感を得ることができます。
SNS運用が不動産業界にもたらすメリット
不動産業界においてSNSを活用するメリットは多岐にわたります。
広告コストの削減
1つ目は、広告コストの削減が挙げられます。
従来の大規模な広告展開に比べ、SNSはターゲットを絞り込んだ効率的な集客が可能です。
たとえば、小紅書(RED)で特定のハッシュタグを活用すれば、富裕層に特化した広告配信が容易に行えます。
ターゲット層に対してブランド価値を直接伝える場となる
2つ目は、SNSはターゲット層に対してブランド価値を直接伝える場になります。
不動産物件のストーリー性や投資価値をわかりやすく訴求することで、富裕層の関心を引き、信頼を築くことができます。
特に、短期的なキャンペーンや限定情報の発信において、SNSはそのスピードと拡散力で大きな効果を発揮します。
継続的な関係構築が可能
3つ目は、SNSは継続的な関係構築を可能にします。
一度興味を持った顧客に対し、フォローアップの情報を提供することで、購入意欲を引き出し、リピートにつなげることができます。
こうした戦略を採用することで、不動産業界における集客力と収益性が飛躍的に向上するのです。
不動産業界におけるSNS運用の成功事例
中国人富裕層がSNSを重視する理由や、不動産業界における中国人富裕層集客でSNS運用の重要性について、理解できたと思います。
ここからは、不動産業界において、中国人富裕層集客でSNS運用を成功できた事例についてご紹介します。
秘密保持の関係から、ブランド名や会社名が特定されないように、解説します。
成功事例①:高級不動産のブランド価値を高めた小紅書(RED)活用
ある高級マンションブランドは、口コミ情報収集プラットフォームである小紅書(RED)を活用し、ブランディングと集客を強化しました。
このブランドは、物件のラグジュアリーな内装や都市景観を強調する高品質な画像や動画を投稿するだけでなく、「#海外高级房产(日本語:海外高級不動産)」や「#东京高级公寓(日本語:東京高級マンション)」といったターゲットを絞ったハッシュタグを設定します。
さらに、既存の中国人オーナーにインタビュー形式でレビューを投稿してもらい、信頼性を高めました。
これにより、中国人富裕層からの問い合わせが前月比で200%以上増加し、成約率が向上しました。
成功事例②:WeChatで構築したパーソナライズされたコミュニケーション
一方で他の高級不動産ブランドは、WeChatを活用して見込み顧客との1対1の関係を構築しました。
WeChat公式アカウントを通じて、物件に関する詳細情報や周辺施設の紹介を提供し、興味を示した顧客を専任の担当者に直接つなげるシステムを採用しました。
さらに、定期的にオンラインセミナーやバーチャルツアーを開催し、遠方にいる富裕層顧客に物件の魅力を伝えました。
この手法により、物件見学予約が前年比で150%増加し、WeChat経由の成約率が10%向上しました。
成功事例③:インフルエンサーとの連携による信頼性向上
ある不動産エージェントは、小紅書(RED)と微博(Weibo)などのインフルエンサーと提携して成功を収めました。
特に、小紅書(RED)で「海外不動産購入」をテーマに活動するKOL(Key Opinion Leader)を起用し、購入プロセスや資産価値を詳しく解説するコンテンツを作成しました。
また、現地での物件案内をライブ配信することで、視聴者がリアルタイムで質問できる環境を整えました。
このライブ配信は数万人の視聴者を集め、後日、視聴者の30%以上が問い合わせを行う結果につながりました。
インフルエンサーの発信により、不動産購入に対する信頼感が大幅に向上したのです。
これらの成功事例は、中国人富裕層に対するSNS運用の有効性を示しています。
中国人富裕層を引きつけるSNS運用の具体的な施策
不動産業界における中国人富裕層集客でSNS運用成功事例が分かったところで、具体的な施策やアプローチ方法について解説していきましょう。
施策①:ターゲット層に響くコンテンツ戦略の構築
中国人富裕層にリーチするためには、彼らが重視する「ステータス」「信頼性」「資産価値」にフォーカスしたコンテンツを作成することが重要です。
具体的には、以下のポイントを押さえた投稿を行います。
- ラグジュアリー感の演出:物件の内装や眺望、周辺エリアの高級感を引き立てるプロモーション動画や写真を制作します。
- 信頼性の高いデータ提供:近隣物件の価格推移、将来的な投資価値のレポート、口コミ情報も積極的に発信します。
- 購入後のライフスタイル提案:物件周辺の一流施設やサービス(高級レストラン、国際学校、医療施設など)を紹介し、実際に送る生活スタイルの魅力を伝えます。
また、小紅書(RED)やWeChatでの投稿では、個々の物件が提供する具体的な価値をわかりやすく視覚化することが成功の鍵です。
施策②:富裕層に向けた特別感を感じるアプローチ
中国人富裕層は、一律の広告ではなく、自分だけに提供される特別な体験を好みます。
そのため、実際のSNS運用では以下のような特別感を感じる施策を展開しましょう。
- WeChatでの専属チャットサービス:見込み顧客に対し、専属のアカウントマネージャーが直接対応し、個々のニーズに合った物件を提案します。
- 特別限定イベントの開催:富裕層向けに物件見学会やオンラインセミナーを開催し、VIP顧客としての待遇をアピールします。
- 客観的なデータをもとに分析してフォローアップ:SNS上で顧客の興味や行動データを分析し、そのデータに基づいて興味が高い物件を個別に案内します。
このように、顧客一人ひとりに合わせた体験を提供することで、他ブランドとの差別化を図り、顧客満足度と信頼感を高めることができるのです。
施策③:ライブ配信とインフルエンサー活用による拡散効果の最大化
ライブ配信は、リアルタイムで物件の魅力を直接伝えられるため、SNS運用の中で非常に効果的な手段です。
中国人富裕層を対象とする場合、以下のような施策が成功のキーです。
- 物件紹介のライブツアー:高級マンションや別荘の内覧を、ライブ配信で視聴者に届けます。また、質問に即時回答することで、安心感を与えます。
- KOL(Key Opinion Leader)の起用:不動産購入や投資に詳しいインフルエンサーを起用し、彼らの視点で物件の魅力を解説してもらいます。
- 限定オファーの提供:ライブ配信中に「今だけ」特別オファーを提示することで、購入意欲を刺激します。
これらの施策を実施することで、SNSを通じた集客効果が倍増し、成約率の向上につなげましょう。
施策④:中国SNSを深く理解する
中国SNSを深く理解することも、マーケテイングにおいて非常に大事です。
以下、詳しく見ていきましょう。
プラットフォームごとの特性を理解する
SNSプラットフォームは、それぞれ利用目的やユーザー層が異なります。
中国の主要なSNSの特徴を見ていきましょう。
- 小紅書(RED)
中国富裕層や高級志向の消費者が多く、ライフスタイルやブランドストーリーを視覚的に伝えるのに適している。 - WeChat
中国における最大のチャットツールで、クローズドな環境で個別対応が可能。専属アカウントを設けて1対1のコミュニケーションを展開。 - 中国版TikTok抖音(Douyin)
中国最大のショート動画プラットフォームで、最も広く中国人にアプローチでき、一度ヒットすると大きな広告効果が期待できる。 - 自社開発アプリ
アットホーム、スーモなどが行っている自社開発アプリ。ある程度日本語がわかる中国人が利用している。 - 神居秒算
中国人向けの日本不動産検索アプリ。元楽天のボードメンバーであった何書勉氏が2017年にローンチされて以降、日本通の中国人の多くが利用されている。
【神居秒算の実際のアプリ画面、中国語で不動産の関連税金含めた詳細情報が閲覧できる】
プラットフォームごとに適したコンテンツを用意し、ターゲット層に合った運用を行いましょう。
コンテンツの「現地化」を徹底する
中国市場では、日本的な表現をそのまま持ち込むと、ターゲットに響かない可能性があります。
例えば、自動翻訳ではなく自然な中国語で、ターゲットの価値観や習慣に合わせた表現を使用する必要があります。
また、中国富裕層が関心を持つ「ステータス」や「投資価値」を強調する内容だと、効果的です。
さらに、中国は地域ごとに経済力や文化が異なります。
北京や上海の富裕層向けにはラグジュアリー志向、深圳や広州では実用性や資産価値を重視するなど、ターゲット地域を明確にすることが重要です。
信頼性を重視したマーケティング
中国人富裕層にとって、ブランドや企業の「信頼性」は重要な判断基準です。
例えば、成功しているブランドは、以下のポイントを押さえています。
- 実績の提示:
過去の成功事例や、日本国内外での不動産販売実績を具体的なデータで示している。 - KOLやKOCの活用:
信頼できるインフルエンサーを通じて、物件の品質や投資価値を保証するメッセージを発信する。 - 公的認証や賞の取得:
政府や業界団体からの認証や受賞歴をアピールすることで信頼を強化できる。
法規制やインターネット規制への対応
中国のインターネット環境や法律規制に適応することが重要です。
特に、最近の中国では、個人情報保護法の強化や不動産業界に対する規制強化が行われています。
例えば、2023年終盤頃から、不動産業界に対する規制強化が中国版TikTok抖音(Douyin)や小紅書(RED)で行われてるようになりました。
具体的には、中国の不動産事業免許を持たないアカウントによる不動産の案内を行うと、コンテンツの公開取り下げやアカウントがバンされるなどが起きています。
現在、日本の不動産会社が中国SNSで広告を行う手段としては、中国の不動産事業免許保有業者と提携、コンサルティング会社として情報発信、中国インフルエンサーへ依頼などを行うのが主流です。
例えば、現在小紅書(RED)で活躍しているアカウントを見ていきましょう。
【中国の不動産事業免許保有業者(中国語:房地产中介)のアカウント】
【中国のコンサルティング会社(中国語:咨询公司)のアカウント】
2つ目に紹介した铃美咨询のコンテンツを見てみると、具体的な不動産物件の紹介は行わず、自分が購入した不動産の紹介や、日中の不動産購入の違いなどを解説しています。
中国側の規制が厳しくなっても、それに対応するマーケテイング手法や対策はあります。
日本企業が中国富裕層向け不動産マーケティングで成功するためには、現地市場に適応した戦略と細やかな顧客対応が鍵と言えます。
また、常に最新の市場動向や顧客ニーズを把握し、柔軟に戦略を調整していくことが成功への近道と言えるでしょう。
最後に
以上、不動産業界‐中国人富裕層集客でSNS運用を活用したマーケティングを紹介しました。
弊社は現在、中国版TikTok抖音(Douyin)・小紅書(RED)を活用した中国SNSの運用代行や、中国への越境ECの支援などのサービスを展開しております。
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