中国では、中国版TikTok抖音(Douyin)を使って、マーケティングやプロモーションを行うのが、主流になりつつあります。
その中でも、中国版TikTok抖音(Douyin)ライブコマースを活用したマーケティング戦略で成功している事例が出ており、非常に注目されています。
それでは、成功している会社は、どんなやり方で成功しているのでしょうか。
この記事では、中国版TikTok抖音(Douyin)ライブコマースを活用した中国マーケティング戦略、日本企業などの成功事例を紹介していきます。
中国版TikTok抖音(Douyin)でマーケティング
中国版TikTok抖音(Douyin)での中国マーケティング戦略
中国版TikTok抖音(Douyin)を使ったマーケティングは、中国では、今やメジャーな選択肢の一つとなりました。
中国版TikTok抖音(Douyin)には、主に、ショート動画とライブコマースの機能があり、それらを戦略的に使い、マーケティングを行うのが基本です。
最も一般的な使い方は、ショート動画で、ブランディングとプロモーションを行い、ライブコマースで中国消費者へ訴求することです。
中国版TikTok抖音(Douyin)のショート動画は、ブランディングとプロモーションの両方が行うことができると言われており、中国では、品効合一と呼ばれています。
品効合一とは、もともと品行方正な考え方と行動が備わった人を指す言葉ですが、中国マーケティングの世界では、ブランディングとプロモーションの両方が行うことができるという意味として使われています。
さらに、ショート動画コンテンツは、制作コストが他の手段と比較すると低く、一度投稿すれば、半永久的に配信されるため、大きな費用をかけることができない中小企業でも、ブランディングやプロモーションに適しています。
一方、ライブコマースは、インフルエンサーや店舗スタッフによるライブ配信を行うことにより、商品の解説や実際にデモンストレーションができますので、中国消費者へ商品の訴求に適しています。
また、2021年までの約6年間でライブコマースの市場規模は2.27兆元規模に達しており、今年2023年には5兆元超規模までに成長するとされています。
中国のライブコマースの詳細については、下記の記事で解説していますので、ご興味のある方は、ぜひご覧ください。
ライブコマース先進国中国に攻め込むには?ライブ配信の成長の背景と特徴を紹介 – CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
中国版TikTok抖音(Douyin)でブランディング
中国版TikTok抖音(Douyin)でのブランディングは、現在においては、中国マーケティングの第一歩とも言えるほど、非常に重要です。
特に、中国市場をこれから狙いたいと考えている日本企業にとって、日本ブランドというだけでは中国では勝負できない時代になっているため、しっかりとしたブランディングが必須なのです。
具体的に、中国版TikTok抖音(Douyin)で、どのようにブランディングしていけばよいのでしょうか。
一般的には、下記の手順で行います。
1, 現状認識
2, ブランドのコンセプトの明確化
3, ブランドの認知拡大
まず、自社や自社商品が、中国市場でどの立ち位置にいるのか、現状認識を行います。
その後、自社が目指しているブランドイメージを明確化し、コンセプト設計して、さらに、それをロゴ、キャッチコピー、会社カラーなどに落とし込んでいきます。
最後に、そのブランドイメージを認知してもらうために、中国版TikTok抖音(Douyin)を活用していくという流れです。
ブランディングのメリットや事例などについては、下記の記事で詳しく記載していますので、興味のある方はご覧ください。
ライブコマース先進国中国に攻め込むには?ライブ配信の成長の背景と特徴を紹介 – CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
中国版TikTok抖音(Douyin)でプロモーション
ブランディングができましたら、中国版TikTok抖音(Douyin)でプロモーションを行います。
実際、プロモーションを行う方法は、日本と同様、展示会、野外広告、インターネット広告などがあります。
しかしながら、最近の中国では、中国版TikTok抖音(Douyin)でプロモーションを行うのが、最もメジャーな方法と言えます。
Quest Mobile(中国市場調査会社)の2022年1-10月によれば、中国版TikTok抖音(Douyin)は、企業のインターネット広告において、中国でNo1を占めるようになっており、事実上、最もメジャーなプロモーションなのです。
ただし、中国版TikTok抖音(Douyin)でプロモーションを行うには、日本と中国の差異に気を付ける必要があります。
例えば、日本では、知名度のあるタレントを起用してプロモーションを行うのが一般的ですが、中国ではそれは受け入れられていません。
また、直近の中国では、各種ブランドが、小紅書(RED、中国発のソーシャルECプラットフォーム)で、中国消費者の購買意欲を刺激した後、中国版TikTok抖音(Douyin)や淘宝(タオバオ、アリババグループが運営する中国最大のECサイト)を使って、プロモーションや販売を行うという傾向が出てきています。
小紅書(RED)は、コンテンツ作り、ファン層やコミュニティの形成に最適と言われており、コミュニティを形成後に、中国版TikTok抖音(Douyin)等でプロモーションを行うと非常に効果的なことがわかってきたためです。
実際、中国の20-30歳代の女性は、まず、小紅書(RED)を見て、商品の評判や詳細を確認してから、中国版TikTok抖音(Douyin)や淘宝(タオバオ)で、商品を購入するというのが一般化しています。
中国の特徴は、これだけではありませんが、中国版TikTok抖音(Douyin)でプロモーションを行う際は、日本と中国の差異を意識しながら実行していくことが大切です。
中国版TikTok抖音(Douyin)ライブコマースで訴求
中国版TikTok抖音(Douyin)ライブコマース開始前にやること
中国版TikTok抖音(Douyin)でのプロモーションがうまくいった後は、いよいよ、ライブコマースで中国消費者に訴求していきます。
中国版TikTok抖音(Douyin)ライブコマースでは、いくつか注意すべきことがあります。
ここでは、ライブコマース開始前と開始後に分けて、ポイントを解説していきたいと思います。
まず、ライブコマース開始前では、以下のポイントを押さえておく必要があります。
- テーマを設定し脚本を事前に作成
- ライブコマースの告知
- ライブコマースの設備の確認
1つ目の、テーマ設定と脚本作成について、多くの中国消費者を引き付けるテーマ設定や脚本を事前に作成します。
例えば、”0108 见证奇迹(日本語:1月8日に奇跡を目撃)”など、ライブに参加したくなるようなテーマが、中国では人気です。
脚本については、ライブで話す内容や時間、どのタイミングでキャンペーンの告知を行うかなども、事前に細かく作成します。
2つ目の、ライブコマースの告知について、あらゆるプラットフォームで、ライブの告知を行います。
例えば、中国版TikTok抖音(Douyin)や小紅書(RED)の他、微博(ウェイボー、中国版 Twitter とも言われる)、微信(WeChat、中国の無料SNSアプリで、中国版LINEとも言われる)などのプラットフォームで、ライブの告知を行います。
3つ目の、ライブコマースの設備の確認について、ライブを行う上で必要な設備やスタッフを事前に確認します。
実際、スマートフォン一台と出演者1人いれば、ライブは可能ですが、照明などの各種設備、紹介商品の手配をしてくれるアシスタントなどがいれば、ライブコマースをよりスムーズに進めることができます。
中国版TikTok抖音(Douyin)ライブコマース開始後にやること
中国版TikTok抖音(Douyin)ライブコマース開始後にやるべきことは、以下の通りです。
- 臨場感のある商品紹介
- 消費者との一体感のある雰囲気づくり
- キャンペーン
1つ目の、臨場感のある商品紹介について、ライブコマースでは、これが最も重要なことになるでしょう。
中国消費者がライブコマースで商品を購入する大きな理由は、リアルな購買体験ができることだからです。
ライブでは、広告写真と異なり、加工ができないため、中国消費者は商品の色味やサイズ感、そして使用感などを確認でき、安心して購入できるのです。
また、リアルな購買体験をしてもらうためには、臨場感のある商品紹介が必須で、実際に商品を様々な角度から見せることや、実際に箱を開けて商品を使用する過程まで見せることが、ポイントです。
2つ目の、中国消費者との一体感のある雰囲気づくりについて、消費者とのインタラクティブなコミュニケーションや、一緒にカウントダウンをするなどし、ライバーと視聴者との一体感を作ることが大事です。
例えば、口紅をライブコマースで案内する際、視聴者から「その口紅の成分は?」や「高齢の女性でも合いますか」などの質問が来ます。
それらの質問に対して、消費者の求めていることを理解した上で、スピーディーに、わかりやすく回答できるようにすることが求められます。
3つ目の、キャンペーンについて、安く買えることが、ライブコマースが中国で流行った大きな理由です。
うまくいっているライブコマースでは、商品価格は最安値、或いは付属景品が豪華です。
また、キャンペーンのタイミングも非常に重要で、時間や商品数に制限も設けるなど、消費者心理も考慮した上で、実施するのが良いでしょう。
成功事例
アクアレーベル
ここからは、中国版TikTok抖音(Douyin)ライブコマースを活用して、成功した事例をいくつか紹介していきたいと思います。
1つ目は、アクアレーベルです。
アクアレーベルは、資生堂が展開しているスキンケアブランドで、中国でも人気がある化粧品ブランドです。
もともと資生堂は、小紅書(RED)や中国版TikTok抖音(Douyin)にて、定期的に多くの動画を投稿し、しっかりとブランディングしています。
実際、小紅書(RED)では31万人、中国版TikTok抖音(Douyin)では、43万人以上のファンがいます。
ライブコマースでも、一か月に数回定期的に行い、毎回一定の成果を出しています。
アクアレーベルについては、インフルエンサーとパートナーシップを築き、中国消費者へ上手にアプローチすることで、新たに350万⼈の顧客へアプローチし、売上400万元(おそよ8,000万円)の増加を達成しています。
アクアレーベルは、中国マーケティング戦略を考えるうえで、模範とも言える日本ブランドです。
伊利(Yili)
2社目は、伊利(Yili)という、中国ローカルの乳製品会社です。
伊利(Yili)は、中国版TikTok抖音(Douyin)ライブコマースで、1日で500万元(1億円相当)の売上を達成するなど、大きな成功を収めています。
この大きな成功の背景は、伊利(Yili)自身の様々な企業努力によるものですが、3つに絞ってお伝えすると、下記のようにまとめることができます。
- ライブコマースを始める前の徹底した現状分析
- ライブ時間・ライバー・ライブ設備との親和性
- キャンペーンや消費者との相互性を重視
1つ目の、事前の徹底した現状分析について、伊利(Yili)は、自社の顧客層と中国版TikTok抖音(Douyin)のユーザー層を徹底的に比較しました。
具体的には、性別、年齢層、地域分布などを比較検討することで、伊利(Yili)はどのように消費者へアプローチしたらよいのかを研究したのです。
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2つ目のライブ時間・ライバー・ライブ設備との親和性について、どのようにライブを実施したらよいか、各種要素の親和性を見ながら検討しています。
ライブ時間については、朝・昼・夕方・夜で4つに分け、それぞれの時間帯の年齢層、視聴者数、視聴者の傾向などをつかみます。
さらに、各ライブ時間に合わせて、ライブ時の出演者であるライバー、ライブ設備の一部である背景(店内撮影、工場撮影、バーチャル背景等)の親和性を重視し、ライブ中・ライブ後に、継続して分析・改善を行っています。
3つ目の徹底したキャンペーンや消費者との相互性について、伊利(Yili)は、これらの重要性を最初から理解していました。
ライブ中には、消費者への声掛けだけでなく、カウントダウンや抽選など、消費者が一体感を感じるような施策を意識して行っています。
巴拉巴拉(Balabala)
3社目は、巴拉巴拉(Balabala)という中国ローカル子どもファッション店です。
巴拉巴拉(Balabala)は、中国版TikTok抖音(Douyin)の約1 週間のキャンペーン期間で、再生数7億5000万を超え、取引総額は4100万元(8億円相当)を突破し、さらに5日間業界ブランドランキングTOP 1にランクインするほど、大きく成功しています。
巴拉巴拉(Balabala)が中国版TikTok抖音(Douyin)で成功している要因は、3つに整理できます。
- トレンドに乗っていること
- ライブのテーマを工夫していること
- 支店ごとに中国版TikTok抖音(Douyin)アカウントがあること
1つ目のトレンドについて、巴拉巴拉(Balabala)は、常に中国市場を徹底的に調査し、潮流に非常に敏感です。
現在、中国では、中国国産の商品や、漢服などの古代中国を思わせる商品が、一つのトレンドになっています。
巴拉巴拉(Balabala)も、真っ先にそのトレンドに乗り、中国古代風の子ども服を全面に押し出して、キャンペーンを行い、注目を集めました。
2つ目のライブのテーマの工夫について、巴拉巴拉(Balabala)は、ライブを行う際は、常にテーマの工夫をし、集客を行っています。
例えば、中国古代風の子ども服のキャンペーンを行った際には、“上潮了我的宝(日本語意訳:私の子どもは流行っている服を着ている)”というテーマがキーワードでした。
このテーマは、日本人にはわかりにくいと思いますが、表現がとても美しく、中国語しては非常にセンスがいいです。
さらに、「上潮」と「上朝(日本語:家臣が君主に謁見する)」が中国語で同じ発音をすることから、中国人ならではのツボにうまくはまり(一種のダジャレ)、中国消費者の心をつかんだのです。
3つ目の支店ごとに中国版TikTok抖音(Douyin)アカウントがあることについて、巴拉巴拉(Balabala)の本店と支店のアカウントがそれぞれあり、各支店がそれぞれライブを実施しています。
同じブランドにもかかわらず、時間帯によっては、30以上の支店が同時に、ライブコマースを実施していることもあり、積極的に、ライブコマースを活用していることがわかります。
また、実際にライブコマースを見てみるとすぐわかりますが、どのアカウントも女性ライバーが商品紹介し、カメラ後ろにいるアシスタントが「いいね!」や「今が買い!」といったあいづちを打つという独特のスタイルです。
統一感のあるライブから、ライブコマースの管理も行き届いていることが感じ取れます。
最後に
以上、中国版TikTok抖音(Douyin)ライブコマースを活用した中国マーケティング戦略、日本企業などの成功事例について、解説しました。
弊社は現在、抖音(Douyin)・小紅書(RED)を活用した中国SNSの運用代行や、中国への越境ECの支援などのサービスを展開しております。
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