中国ではインフルエンサーを活用したマーケティングが主流です。
特に、中国版TikTok抖音(Douyin)・小紅書(RED)におけるインフルエンサー費用は上昇し続けています。
今や、インフルエンサーは中国広告業界に対して、最も大きい影響を与えていると言えるでしょう。
この記事では、インフルエンサー費用相場や、インフルエンサーマーケティングを行う際の注意点について紹介します。
中国ではインフルエンサーマーケティングが主流に
インフルエンサーマーケティングとは
インフルエンサーマーケティングとは、インフルエンサーを活用したマーケティングを指します。
例えば、中国ソーシャルメディアで活躍しているインフルエンサーとコラボし、商品やサービスの感想を彼らのソーシャルメディアで発信してもらいます。
このように、インフルエンサーに一般ユーザーとして情報発信してもらうことにより、口コミ効果を狙うのです。
日本の場合、芸能人など知名度の高い人を広告塔としてマーケティングを行います。
ところが、中国では、大きな組織による広告を信用しない傾向があります。
身内を大切にする文化の影響もあり、有名人や大きな組織による情報発信よりも口コミを信じるのです。
KOLとは
インフルエンサーマーケティングで欠かせないのが、インフルエンサーです。
中国では、インフルエンサーという言葉はあまり使わず、KOLと言います。
意味はほとんど一緒なのですが、厳密には、インフルエンサーは、影響力のある人々全般を指し、芸能人や有名人、KOLなどを含むと言われています。
一方、KOLとは、「Key Opinion Leader」の略で、中国のソーシャルメディア上で強い影響力を持つリーダーを指します。
中国において、芸能人はあくまでエンターテインメント界の芸人を指し、KOLは専門領域がある特定領域で強い影響を与える人と定義され、明確に分かれているのです。
さらに、KOLはトップKOL、ミドルKOL、マイクロKOLの3つに分類され、これらの分類は主にフォロワー数に基づいています。
フォロワー数によって分ける場合は、下記のように分類されます。
トップKOL:フォロワー数100万以上
ミドルKOL:フォロワー数10-100万未満
マイクロKOL:10万未満
KOLはそれぞれ得意分野やジャンルを持ち、個性豊かです。
そのため、影響を与える層や範囲も異なります。
また、KOCという影響力が大きいインフルエンサーにも要注目です。
KOCとは、「Key Opinion Consumer」の略で、一般消費者に非常に近い存在でありながら、フォロワーに対して強い影響力を持つ人々を指します。
KOLと比較すると、知名度やフォロワー数、専門性では劣りますが、フォロワーとの関係が密接であるという特徴があります。
現在中国では、このKOCへの注目度や信頼度が高まっています。
実際、動画の視聴完了率(再生数の中で動画が完全に視聴された割合)は、KOLよりもKOCの方が高い傾向にあるのです。
インフルエンサーマーケティングの効果
例えば、自社の医療サービスを中国向けにプロモーションしたいと考えたとしましょう。
中国では、プロモーションを行う際、有名な女優を起用するよりも、医療や美容分野に知見のあるKOLを起用した方が、マーケティング効果が高いです。
しかしながら、医療や美容分野に知見のあるKOLを起用すれば、すべて成功するというわけではありません。
医療サービスと一言で言っても、年齢、体質、病気、悩みなどに合わせた各種サービスがあります。
一方、KOLは年齢や体質だけで分類できるわけではなく、特定地域にフォロワーが多くいるKOLもいます。
つまり、商品とKOLの親和性があってはじめてマーケティング効果が高まるのです。
インフルエンサー費用相場と報酬体系
インフルエンサー費用の相場
プロモーション効果の高いインフルエンサーマーケティングですが、気になるのがその費用でしょう。
日本でもインフルエンサーの活躍が目覚ましく、何億円と稼ぐインフルエンサーの年収を聞くと、「依頼費用は相当高いのでは?」と想像する方もいると思います。
ところが、プロモーション効果を無視して、影響力の小さいKOCに投稿依頼を行うとすれば、数千円から始めることができます。
一方、トップKOLに依頼しようとした場合、数百万~数千万円かかることもあります。
わずか数千円~数千万円のインフルエンサー費用の差はどこから生まれてくるのでしょうか?
簡単に言えば、インフルエンサーの影響力によって、その費用の差が生じています。
それでは、インフルエンサーの影響力は何で測ればよいのでしょうか。
最もわかりやすい指標はフォロワー数です。
小紅書(RED)であれば、約2円/フォロワーが相場です。
例えば、小紅書(RED)で10万人のフォロワーがいるKOLへ投稿依頼をお願いする場合、その報酬額は、約20万円(=10万人フォロワー×約2円/フォロワー)です。
1000人のフォロワーがいるKOCへ投稿依頼をお願いする場合、その報酬額は、約2千円(=1000人フォロワー×約2円/フォロワー)となります。
ただ、注意が必要なのは、この料金相場は、あくまで目安であるということです。
実際は、フォロワーの質、広告依頼主との契約内容などによって、価格が大きく変化します。
10万人のフォロワーを持つインフルエンサーでも、そのフォロワーの購買能力が高くて、影響力が大きい場合は、数百万円の依頼費用がかかることもあります。
日本のインフルエンサーは2〜3円/フォロワーがかります。
それと比較すると、小紅書(RED)のインフルエンサー費用は、ほぼ一緒とみることができます。
弊社の経験上、小紅書(RED)のインフルエンサー費用が最も高く、中国版TikTok抖音(Douyin)は小紅書(RED)の半分以下です。
それほど、小紅書(RED)でのインフルエンサーマーケティングの効果は高く、高い広告効果が期待できるのです。
インフルエンサーの費用体系
インフルエンサーの費用相場の概要は分かったと思いますが、次にインフルエンサーの費用体系を見ていきましょう。
インフルエンサーの費用体系は、主に3つに分類できます。
- 固定報酬額
- 売上に応じた出来高制
- 出来高制と固定報酬額の混合
固定報酬額
まず、固定報酬額について、売上高などの成果に関係なく、お互いに同意した固定の報酬額で決める方法です。
ケースバイケースで報酬額は大きく異なりますが、フォロワー数が報酬額を決める一つの基準になる傾向があります。
売上に応じた出来高制
次に、売上に応じた出来高制について、売上金や売上個数に応じて、報酬が決まる契約形態です。
報酬と売上高の比率や、販売個数あたりの報酬については、業界や商品種類などによって大きく異なります。
出来高制と固定報酬額の混合
3つ目の、出来高制と固定報酬額の混合について、出来高制の報酬と固定報酬額をあらかじめ決めておき、高い方を報酬額とする、或いは両方を合計した金額を報酬とする形態です。
例えば、1つの動画を作成する際、最低報酬額を2万元(約40万円相当)と定め、出来高制報酬を100元(2,000円相当)/販売個数とし、高い方を報酬額とすると決めたとします。
100個売れた場合、報酬額は2万元(最低報酬額2万元>出来高制報酬額1万元)。
300個売れた場合は、報酬額は3万元(出来高制報酬額3万元>最低報酬額2万元)というように計算します。
実力のあるKOLやKOCほど、出来高制を好む傾向があります。
もしKOLやKOCより、出来高制による追加報酬など提案された場合は、多少値が張ったとしても受けいれることがお勧めです。
弊社の経験上、いい結果に結びつくことが多いためです。
最適なインフルエンサーの見つけ方
インフルエンサーの費用相場と報酬体系がわかると、予算はある程度組めることができます。
次の課題は、どのようにしてインフルエンサーを見つけていくかです。
インフルエンサーの見つけ方は、主に下記の方法があります。
- マッチングサイトで見つける
- インフルエンサーに一人一人に問い合わせる
- 関係者からの紹介
- 代行会社に委託
- マッチングサイトで見つける
中国SNSではそれぞれ広告主とインフルエンサーをマッチングするプラットフォームがあります。
例えば、中国版TikTok抖音(Douyin)では、抖音星图(DouyinXingtu)というマッチングプラットフォームがあります。
ところが、そのプラットフォームを使うと、インフルエンサー費用として5%の手数料がかかってしまいます。
中国SNS全体のトレンドとしては、インフルエンサーへ依頼する際は、マッチングプラットフォーム利用のルール化する動きがあるのですが、完全な実用化には至っていない状況です。
- インフルエンサーに一人一人に問い合わせる
人海戦術的にインフルエンサーに連絡し、反応があったインフルエンサーに投稿依頼をする方法です。
時間がかかる上に、警戒心の高いインフルエンサーからは強い拒否反応があります。
一つの方法ではありますが、効率性からいうと、あまりいい方法ではないでしょう。
- 関係者からの紹介
インフルエンサーを活用したことのある同業者や、インフルエンサーと関係がある友人からの紹介してもらう方法です。
同業者であれば、自社ブランドとインフルエンサーとの相性も合うことが多く、効率的にインフルエンサーを見つけることができます。
- 代行会社に委託
中国インフルエンサーキャスティングサービス会社や中国SNSの運用代行へ委託する方法です。
代行会社には、インフルエンサーを芸能事務所の所属タレントのように管理し、案件にあったインフルエンサーの手配や管理を行っているところもあります。
インフルエンサーの選任や管理を一括で任せることができるため、ほとんど手間がかからずに進めることができます。
一方で、料金が非常に高くなることや、商品やサービスによっては、所属しているタレントとうまく調和しないリスクがあることがデメリットです。
中国SNSの運用代行へ委託であれば、代行会社によりますが、広告主のニーズに合わせて、様々なネットワークを使い、中国インフルエンサーをキャスティングしてくれるところがあります。
代行会社へ依頼する際は、安さだけではなく、どんな提案をしてくれるのかを見定め、決めるのが良いでしょう。
中国SNSの運用代行会社については、下記の記事でも解説していますので、興味のある方はご覧ください。
中国SNS運用代行の成功への道: 最適な中国SNS運用代行パートナーの探し方 | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
インフルエンサーマーケティングを行う際の注意点
自社でインフルエンサーをキャスティングするにしても、代行会社に任せるにしても、インフルエンサーマーケティングをどのように行うかを知っておくことが大事です。
ここでは、インフルエンサーマーケティングを行う際の3つの注意点を紹介します。
- 費用対効果の分析をしよう
- インフルエンサーの分析を忘れずに
- インフルエンサーのビジネスや立場も理解しよう
費用対効果の分析をしよう
まず、インフルエンサーマーケティングを行う上で、費用対効果の分析をすることが何よりも重要です。
中国では、インフルエンサーを活用すれば、高いプロモーション効果が得ることができるという話を聞くと、分別なくインフルエンサーマーケティングを実施する方がいます。
インフルエンサー活用によるプロモーション効果は、ブランドとインフルエンサーとの相性、トレンド、タイミングなどによって大きく変わります。
また、あまりにも期待値が高すぎると、結果が期待以下であったときに落胆も大きいです。
そのため、発生する費用と期待できる効果について、客観的に分析しておくのが大切なのです。
インフルエンサーマーケティングにおいては、費用対効果を測定することは難しいのですが、ある程度見定めることができます。
例えば、自社の医療サービスについてインフルエンサーに投稿してもらい、中国人を自社の医療機関へ呼び込むケースを考えてみましょう。
インフルエンサー費用が20万円だった場合に、想定される効果は下記のように測定することが可能です。
期待される案件成約数(期待される効果)
=閲覧数 × エンゲージメント率(インフルエンサー投稿による問い合わせ数/閲覧数) × 案件成約率(案件成約数/問い合わせ数)
仮に、過去のインフルエンサーの投稿の閲覧数が10万回、エンゲージメント率が0.025%、案件成約率が20%だった場合、期待される案件成約数(期待される効果)は下記の通りです。
案件成約数(期待される効果)
=閲覧数10万回 × エンゲージメント率0.025% × 案件成約率20%
=5件
さらに、分析を進めていくと、案件1件につき、4万円(=インフルエンサー費用が20万円/案件成約数5件)かかったことがわかります。
このように、概算でもある程度分析ができるのです。
なお、中国の美容整形業界では、施術内容により異なりますが、一人当たり2,000元(4万円相当)が妥当な広告費として認識されています。
インフルエンサーの分析を忘れずに
次に、インフルエンサーの分析を忘れずに行うことも大事です。
フォロワー数が多く見えても、実際分析してみると、フォロワーの半数以上がアクティブユーザーではないことなどがあります。
またフォロワー数を多く見せようと、インフルエンサーがフォロワー数を購入しているケースもあり、そのようなインフルエンサーは、広告効果の割に合わない高い報酬費用を求めてきます。
インフルエンサーに依頼する際は、過去の案件やフォロワー数の分析などをしっかり行いましょう。
インフルエンサーのビジネスや立場も理解しよう
実際、フォロワー数を水増しして、高い報酬を得ようとするインフルエンサーが多くいる中、水増しは決して行わず、自分についてきている一部の熱烈なフォロワーのために、本当にいいと感じた商品のみ、投稿依頼を受けるといった強い信念をもったインフルエンサーもいます。
事実上、インフルエンサー関連のビジネスは、まだ発展途中で、フォロワー数が報酬額の基準として扱われており、フォロワー数が多ければ、仕事の依頼の問い合わせが多くなる傾向があるのです。
そのため、水増ししてでもフォロワー数を増やしたいと考えるインフルエンサーがいるのは、やむを得ないところがあります。
水増ししているインフルエンサーが悪なのではなく、過去の投稿の分析や、こちらの要望を理解してしっかり対応してくれる人かどうかの見極めが大事です。
最後に
以上、インフルエンサー費用相場やインフルエンサーマーケティングを行う際の注意点について、解説しました。
弊社は現在、中国版TikTok抖音(Douyin)・小紅書(RED)を活用した中国SNSの運用代行や、中国への越境ECの支援などのサービスを展開しております。
ぜひご気軽にご相談ください。
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