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【クレソン株式会社】

DeepSeekとは~使い方から中国ビジネスへ活用方法、成功事例まで紹介~

2025年に入り世界で大きな話題になっているのが、中国発のAIチャットサービスであるDeepSeekです。

世界的に有名なAIチャットサービスといえばアメリカ発のChatGPTですが、DeepSeekは価格面・性能面などでChatGPTを大きく凌駕していると言われています。

真相は専門家やユーザーなどによって、それぞれ意見が分かれていますが、DeepSeekは世界を変える大きな影響力を持ったAIサービスであることには間違いないでしょう。

そこで、本記事では、DeepSeekがなぜ大きな影響力をもっているのか、実際の使い方から中国ビジネスへの応用、中国ビジネスの最新成功事例まで一挙に紹介します。

目次

DeepSeekとは

DeepSeek(中国語:深度求索)は、中国発のAIチャットサービスです。

2023年に中国で誕生したAI企業によって開発され、低コスト・高性能で最もコストパフォーマンスが高いAI技術として、注目されています。

注目されている主な特徴は3つあります。

圧倒的な低コスト

1つ目の特徴は、圧倒的な低コストです。

比較されることが多いアメリカのAIチャットサービスであるChatGPTは、700億円以上の開発コストがかかっています。

一方、DeepSeekは約8〜9億円という約1/80の低コストで開発されています。

DeepSeekを自社システムなどに入れ込んで使用する際、同類AIチャットサービスと比較すると1/10以下のコストで利用することができます。

低コストで利用できる大きな理由は、「質問に応じて専門分野をいち早く判断し、専門範囲を絞りリサーチする」仕組みにあります。

例えば、従来のAIは、1つの病気に対して総合病院の窓口で一から病名などを調べるような最初から広範囲な検索を行う仕組みが一般的です。

一方DeepSeekは、いち早く患者の状態を理解し、病院で「心臓外科」「小児科」など症状に合わせて専門医師を直接呼ぶように、質問内容にぴったりの専門システムのみを動かす仕組みが構築されているのです。

この仕組みによって、効率的にシステムを動かすことができ、結果として低コストな開発・運用を可能にしています。

高性能な処理能力

2つ目の特徴は、高性能な処理能力です。

これも「質問に応じて専門分野をいち早く判断し、専門範囲を絞りリサーチする」仕組みなどが影響しています。

例えば、ChatGPTで4秒かかる回答が、DeepSeekでは1秒で返ってくるほど高性能です。

実際に使ってみた体感値としても、DeepSeekは他のAIチャットサービスよりも3~4倍のスピードがあります。

もちろん時間帯やネット環境によっても差がありますが、DeepSeekはフリーズすることはほとんどなく、気持ちいほどのサクサク感があります。

圧倒的な利用のしやすさ

3つ目の特徴は、圧倒的な利用のしさすさです。

ChatGPTは、基本有料です。

無料版もありますが、高グレードのAIチャットサービスは基本有料です。

一方、DeepSeekは基本的にすべて無料です。

また、長らくログインしていなくても、自動ログアウトされていることもなく、ユーザーにとっては使いやすい仕様と言えます。

2025年7月時点で利用では、日本語も違和感が全くなく、中国AIサービスとは感じさせないほどです。

DeepSeekの利用画面

DeepSeekの概要が分かったところで、実際の利用画面を見ていきましょう。

アカウント作成

まず、DeepSeekのアカウント作成をする必要があります。

中国電話番号やWeChat(中国版LINEとも呼ばれる中国最大級のメッセージアプリケーション)をお持ちであれば、そのままアカウント作成し、ログインすることができます。

【中国人は中国電話番号やwechatにて、DeepSeekのアカウント作成・ログインを行う】

中国電話番号やWeChatをお持ちでない場合は、グーグルアカウントでアカウント作成し、ログインします。

【グーグルアカウントにて、DeepSeekのアカウント作成・ログイン】

実際のDeepSeekのAIチャット画面

アカウント作成・ログインが完了しましたら、DeepSeekのAIチャットをすぐに利用できるようになります。

下記がDeepSeekのAIチャットの実際画面です。

【DeepSeekのAIチャット画面】

上記画面で、実際にAIチャットで聞いた質問は「DeepSeekは日本で使えますか?」でした。

最初、中国語で回答が来たので、「日本語で回答お願いします」と追加依頼すると、やっと日本語で詳細な回答が返ってきました。

「問題なく利用可能」という回答と、それに関する説明が詳しく述べられており、情報の正確性も問題ありませんでした。

日本語も非常に自然で、言語的な壁を感じることなく、使えます。

DeepSeekが中国ビジネスを大きく変える

DeepSeekが誕生したことにより、中国ビジネスを展開するブランドの経営戦略や営業戦略などに大きな影響を与えています。

その大きな影響は、下記の3つに分類することができます。

①中国消費者の情報収集方法の変化
②企業の情報量格差の均一化
③企業の情報技術格差の均一化

①中国消費者の情報収集方法の変化

まず、消費者の情報収集方法の変化が既に起き始めています。

中国消費者が何か調べたいことがあると、中国版TikTok抖音(Douyin)、RED(小紅書)、中国版グーグルと呼ばれる百度などを使って情報収集するのが主流です。

ところが、現在、時間効率を重視する経営者やビジネスマン、若年層を中心に、DeepSeekで調べる中国人が増えてきています。

DeepSeekでは、ChatGPTと同様に、公式ドキュメント・研究論文・権威性の高いメディア記事を優先的に参照します。

これまでの一部のプラットフォームでのSEO対策や広告費投入だけでは太刀打ちできなくなり、真の有益な情報提供が求められる時代になりつつあるのです。

2025年1月にオープンしたばかりのAIチャットサービスのため、半年しか経過していませんが、今後この影響はますます大きくなることでしょう。

②企業の情報量格差の均一化

次に、DeepSeekが中国ビジネスを大きく変える要素として挙げられるのが、企業の情報格差の均一化です。

DeepSeekは「安価で高性能なAIの普及」を既に現実化させています。

例えば、多くの中国企業では、DeepSeekを使って経営戦略や販売戦略を検討をしています。

実際に使ってみるとわかるのですが、経営コンサルタント顔負けの幅広い視点で、わかりやすく回答してくれます。

これまで、資本力や経験を有するブランドが優位な立場にありましたが、小さいブランドでも大企業並みの知識や経験、システム構築を有することができるようになりました。

企業の情報技術格差の均一化

3つ目として、情報技術格差の均一化を挙げることができます。

DeepSeekの特徴のひとつは、既にあるプラットフォームやITシステムへの導入費用が安いことです。

このコスト削減により、小さいブランドや企業であっても、DeepSeekを活用することにより、自社システムやプラットフォームを高性能なものにグレードアップすることが可能になりました。

結果として、多くの中小企業で、効率的に顧客ニーズ分析、コスト分析や業務効率化などを行うことができるようになったのです。

DeepSeekを活用した成功事例紹介

DeepSeekの影響力がわかったところで、DeepSeekを活用した成功事例を紹介したいと思います。

中国消費者の潜在ニーズ分析~スポーツブランドFILA~

中国消費者の商品に対する評価や潜在ニーズは、中国のSNSなどに情報が集中しています。

ところが、中国SNSは中国版TikTok抖音(Douyin)・RED(小紅書)など各種ありますし、情報量がかなり多いため、分析にはかなり時間がかかるとともに一定費用がかかっていました。

ここで、スポーツブランド「FILA(中国語:斐楽)」は、DeepSeekを活用することで、効率的に情報収集・分析を行い、新たな潜在ニーズの発見まで行いました。

具体的には、DeepSeekにRED(小紅書)の口コミ情報10万件などをDeepSeekに読み込ませて、潜在ニーズを教えてくれるようにDeepSeekへ質問します。

結果として、「Z世代が運動靴に求めるのは見た目以上に『通気性』と『足圧分散(足全体の圧力分散)』」という隠れたニーズを発見します。

このニーズを元に開発した新商品は、発売後数週間で他商品を数十パーセントを上回る販売数を記録しました。

このように、スポーツブランドFILAは、DeepSeekを駆使したマーケットリサーチの有効性を実証したのです。

【潜在ニーズを分析してデザインされたスポーツシューズ】

新ニーズのスピーディーな発見~中国ローカル漬物メーカー~

先ほど紹介した事例は大きなブランドの成功事例でしたが、中小規模のブランドでも、DeepSeekを活用して成功しています。

中国山東省の小さな漬物メーカーがその典型です。

【中国山東省の漬物メーカー】

その漬物メーカーは、DeepSeekに「都市部30代女性の健康食品トレンド」を分析させ、「減塩需求」が急伸している事実を発見します。

そこで、低塩分の新商品を開発し、RED(小紅書)で中国インフルエンサーと組んでプロモーションを展開しました。

その結果、EC売上は6倍に跳ね上がりました。

業務効率化に大きく貢献~百世集团など

社内システムにDeepSeekを導入することにより、大きな業務効率化につなげたブランドも多く出ています。

例えば、百世集团などの中国ローカル物流会社は、もともとあった自社の物流システムにDeepSeekを組み込むことで、業務効率化につなげました。

具体的には、DeepSeekに、貨物の量や道路混雑状況などの情報をリアルタイムに読み込ませることにより、最適な配達経路などを分析できるようにしました。

【貨物の量や道路混雑状況などのリアルタイム情報をDeepSeekに読み込ませ業務効率化に成功】

結果として、配送効率向上を実現し、コンサルタント顔負けの業務効率化を実現させています。

業務効率化を成功させている業界は、物流業界に限りません。

金融業界や情報を扱うメディア業界など多くの業界で、DeepSeekを活用し、日々新たな成功事例が出ている状況です。

DeepSeekの利用における注意点

中国ビジネスに大きな影響を与えているDeepSeekですが、利用時の注意点も把握しておくことが大事です。

ここからは、簡単に注意すべきこと5選を紹介します。

具体的には、「情報の鮮度管理」「精度検証」「機密情報保護」「倫理ガバナンス」「中国特有」という5つの点に注意が必要です。

①情報の鮮度管理~知識ベースの限界~

DeepSeekのデータはバージョンによっても異なりますが、最新情報はデータベース化されていません。

つまり、最新の市場動向・法規制変更・技術進化への調査対象には不向きなのです。

例えば、下記のような情報を調べる際は、最新情報が入手できないため、注意が必要です。

〇直近の税制改正や業界規制
〇新興テクノロジー(量子コンピューティング等)の商用化動向
〇競合他社の最新製品リリース情報

こうした経営判断の根幹に関わる情報を扱う際は、必ず官公庁公式発表・信頼できる業界レポート・自社調査データで補完しましょう。

特に、新規商品開発、新規事業立上げのような戦的意思決定では、DeepSeekの情報のみを単独根拠とせず、経営企画部門や知見のあるコンサルタントとの連携が不可欠です。

②情報精度の検証~専門家による正確性検証は必須~

医療診断・法務契約・金融商品設計など高い専門性と正確性を求められる領域では、DeepSeek活用によって間違いを起こす可能性がある点に注意が必要です。

具体的に注意すべき事例としては、下記の通りです。

〇医療機器認証要件の確認
〇契約書条項の生成
〇投資リスク分析

対応策としては、DeepSeekを「初期ドラフト作成ツール」と位置付け、専門家による検証プロセスを組み込むフロー設計が推奨されます。

医療機器認証要件の確認であれば、規制当局の一次情報との突き合わせ必須とすることが大事です。

契約書条項の生成であれば、自社法務チームによる人的文言精査を別途実施することなどが考えられます。

実際に使用していると、基本的に正確性は高いのですが、最新情報を参照していないことによる参照不足や、参照データの読み込み間違いによって、不正確な回答をしてくることがあります。

さらに、その回答がとてもロジカルで分かりやすく書いているため、専門家でない限り、正確性を判断するのは難しいです。

③情報セキュリティ~機密データ保護の徹底~

顧客リスト・財務予測・特許出願前技術など経営機密情報の入力は厳禁です。

DeepSeekに限らず、他のAIチャットサービスにも言えることなのですが、仮に、データ非保存を宣言していたとしても、意図せぬ漏洩リスクなどはあり得ます。

また、入力内容が第三者API(Application Programming Interface、DeepSeekを自社システム内等に組み込む際に使われる通信方法)経由で処理され、他人へ情報漏洩される可能性も十分にあります。

現実的な対策として、公開可能な汎用情報に限定した利用や、抽象化した仮想ケーススタディへの適用など、情報選別プロセスの構築が必要です。

セキュリティ部門との事前協議も有効でしょう。

④倫理的ガバナンス:人間主体の意思決定維持

採用選考・取引先評価・IR開示資料作成などコンプライアンスが求められる業務では、DeepSeekで出力されたデータをそのまま採用することは非常に危険です。

倫理や法律の専門家による判断を介在させる必要があります。

具体的な不具合としては、下記が考えられます。

出力された内容に潜む偏見(性別・人種・年齢など)
著作権侵害リスク(他社コンテンツの無断転用)

効果的な運用方法は、DeepSeekを「情報整理ツール」と明確に位置付け、最終判断者は常に専門家や最終責任者が担う体制を構築することが大切になるでしょう。

特にESG(環境・社会・ガバナンス)に関連する決定では、DeepSeek利用ポリシーの策定をすることがお勧めです。

⑤中国発のAIサービスの特徴を理解

DeepSeekは、中国で開発されたAIチャットサービスですので、中国独特の問題点にも注意が必要です。

例えば、中国に不利な内容や政治に関する内容を質問すると、突然システムの動きが止まることや、回答内容がおかしいことが多々あります。

中国政府に関する少し敏感な内容について質問したところ、一度は回答が表示されましたが、数秒後に回答内容が表示されなくなったこともあります。

まだまだ明らかになっていない部分が多いDeepSeekではありますが、あくまで中国発のAIサービスであることを忘れずに利用すると良いでしょう。

最後に

今回の記事でご案内した内容は、あくまで現時点の弊社の分析に基づくものです。

実際に自社ブランド商品を売り込みたい場合は、自社ブランドの特徴や中国市場状況に合わせて、マーケティングを行うことがおすすめです。

弊社は現在、中国版TikTok抖音(Douyin)・RED(小紅書)を活用した中国SNSの運用代行や、中国への越境ECの支援などのサービスを展開しております。

ぜひご気軽にご相談ください。

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