中国最大の口コミ投稿サイトをご存じでしょうか。
それは、大衆点評(大众点评, 読み方:dà zhòng diǎn píng)です。
大衆点評(大众点评)とは、中国で2003年にサービス提供を開始した口コミ投稿サイトです。
ユーザー数は6億人、日次アクティブユーザー数は約5,000万人以上、全世界登録店舗数は3,000万件以上といった巨大な市場を有するサイトです。
訪日中国人観光客が増えている今、大衆点評(大众点评)日本文化や料理を紹介する手段として大衆点評(大众点评)を活用することが必要となるでしょう。
この記事では、大衆点評(大众点评)とその利用方法について、紹介していきます。
大衆点評(大众点评)とは?
大衆点評(大众点评)の基礎情報
大衆点評(大众点评)とは、冒頭で説明した通り、中国最大の口コミ投稿サイトです。
中国では、モノを買う時や何かを食べに行く時などの判断の際に、その評判を重視する傾向にあり、そのような背景で根付いたのが「口コミ」でした。
口コミは、他のユーザーの実際の体験に基づいていることから、信頼性が高いとされています。
日本においては、飲食系では「食べログ」や「ぐるなび」、「HOTPEPPERグルメ」などの口コミ投稿サイトが有名です。
また、旅行系では「トリップアドバイザー」や「Expedia」、「Booking.com」などの口コミ投稿サイトを挙げることができます。
大衆点評(大众点评)での取り扱いは、①各地域の飲食店(グルメ)、②商業施設やジムなどのサービス店、③宿泊施設やチケット、国内外ツアーなどの旅行分野、、、というように多岐にわたり、日本における各口コミ投稿サイトを連結したようなサイトです。
大衆点評(大众点评)で取り扱っているジャンルはかなり広く、大きく5つに分けると、それぞれ以下の通りです。
- グルメ :グルメ情報メディアでシェアNo.1
- サービス店 :ファミリー施設やフィットネスなどがシェアNo.1
- ホテル・交通 :ユーザー数7,000万人
- オンライン映画チケット:ユーザー数1.2億人
- フードデリバリー :単月オーダー金額が約60億元
さらに大衆点評(大众点评)は、そのユーザー数や全世界登録店舗数に伴う情報量の多さから、中国人に向けたマーケティング手段として使用することに適しています。
特に日本の飲食店やインバウンド事業を行っている方々にとって、訪日中国人観光客に対するアプローチ方法として注目されています。
大衆点評(大众点评)の利用方法
まずは実際に大衆点評(大众点评)のスマートフォンアプリをダウンロード、または、ウェブサイト( https://www.dianping.com/ )へアクセスをしてみましょう。
【大衆点評(大众点评)ウェブサイトの様子】
上に記載した通り、大衆点評(大众点评)ではグルメやサービス、旅行など、幅広いものについてその口コミを調べることが可能です。
アプリを開くと、画面上の段にイラストを添えたアイコンが並んでいることを確認できます。
これらが大衆点評(大众点评)を通して検索が可能な、全世界登録店舗数3,000万件以上の業種一覧です。
【検索が可能な業種は多岐にわたる】
今回は、最も使用頻度の高いであろう「グルメ」について、その検索方法を紹介していきます。
グルメ(飲食店)を検索したい場合には、まずアイコン左上の「美食」をタップします。
その後画面が移行し、スマートフォン内蔵のGPSによる位置情報検索により、周辺の飲食店の名称やその評価・口コミを確認できます。
【左上のアイコン“美食”から飲食店の検索が可能】
さらに、フードデリバリーの可能な飲食店については、配達までの所要時間や距離などの情報を確認できます。
【店舗によってフードデリバリーサービスも利用が可能】
また、検索結果の絞り込み機能もあり、上に記載したフードデリバリーの利用時はもちろん、日常生活のさまざまな場面で重宝される存在です。
【距離や駅、料理ジャンルなどで検索結果の絞り込みが可能】
他にもランキング機能や、アプリ上で座席予約をする機能があります。
この機能があることで、各ユーザーは、ランキング上位で人気のあるお店を、座席の予約機能で事前に押さえ、スムーズに食事を楽しむことができます。
【美食排行:ランキング,订座:座席予約】
各店舗のアカウント上には、割引券などのクーポンの掲載があり、そのクーポンを使用することで、ユーザーはお得に食事や体験を楽しむことができます。
加えて、大衆点評(大众点评)のクーポンを使用して食事などをした場合、その時の内容が評価待ち/済み項目や注文履歴に反映されます。
評価された投稿は他のユーザーから確認できるため、新規顧客の獲得獲得のきっかけにもなります。
【各店舗にてクーポンを使用することが可能】
インバウンド集客ツールとしての“大衆点評(大众点评)”
回復傾向にある訪日中国人観光客
コロナ禍においてロックダウンや隔離政策を行っていた中国ですが、コロナ禍が終息し、その影響は訪日観光客の伸率に大きく表れています。
2024年1月度の日本政府観光局(JNTO)の統計によると、訪日中国人観光客は415,900人であり、2023年1月度の31,291人と比較すると1229.1%の伸率となりました。
コロナ禍前の2019年度(9,594,394人)と2023年度(2,425,000人)を比較すると、約75.7%の減少でしたが、着実にその数値が戻ってきていることが伺えます。
さらに中国ではコロナ禍での制限を経て、個人旅行がトレンドとなっており、インバウンド事業のマーケティング方法も見直す必要が出てきています。
【出典:日本政府観光局(JNTO) 国籍/年別 訪日外客数(1990年~2023年)】
【出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査 2023年7-9月期報告書】
大衆点評(大众点评)の利用範囲は中国国内だけではない
訪日中国人観光客が増え、個人旅行がトレンドになっている中で、キーになっているのが、口コミです。
大衆点評(大众点评)では、中国国内の口コミ検索だけではなく、中国国外にある飲食店やサービス店などの口コミを検索することもできます。
【中国国外の都市を選択することも可能】
中国政府提供データによると、日本を訪れる約45%の中国人が大衆点評(大众点评)を利用しています。
また、訪日中国人観光客の個人旅行者のみで統計を取った場合の大衆点評(大众点评)の利用率は約55%でした。
日本へ旅行する中国人にとって、なくてはならない情報ツールであることがわかります。
さらに、日本の観光庁が行った訪日外国人消費動向調査によると、訪日観光客が旅行前に情報収集をする際に役に立ったものとして挙げたものの中で、口コミサイトは「12.7%」でした。
【出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査 2023年7-9月期報告書】
つまり、情報収集の場として口コミ投稿サイトが重要なものであることが読み取れるのです。
特に訪日中国人観光客に人気な飲食店になりたいということでしたら、大衆点評(大众点评)への登録を検討するのがよいでしょう。
訪日外国人の消費ニーズと大衆点評(大众点评)との相性
2023年第三四半期の観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、訪日中国人観光客の目的は以下の通りでした。
(※複数回答あり)
第1位:日本食を食べること(80.6%)
第2位:ショッピング(61.0%)
第3位:繁華街の街歩き(50.5%)
第4位:自然・景勝地観光(47.8%)
第5位:日本の酒を飲むこと(33.1%)
【出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査 2023年7-9月期報告書】
本調査結果を踏まえると、美味しい日本食や日本酒といった「グルメ」と、ショッピングや繫華街の街歩きといった「サービス店 / 旅行」を楽しみたいと考える訪日外国人が多いことがわかります。
一方、大衆点評(大众点评)のユーザーは、まさにグルメやショッピングなどを楽しもうとしているユーザーが多く、訪日外国人のニーズとの相性がいいです。
また、アプリ上の人気店ランキングをよく見ており、ランキング上位のお店に行く傾向があります。
一度ランキング上位のお店になると、人気が人気を呼び、好循環となります。
大衆点評(大众点评)を利用したマーケティング
大衆点評(大众点评)導入のメリットおよびデメリット
訪日中国人観光客の誘致に向けて、大衆点評(大众点评)を利用するメリットは以下の通りです。
- 個人旅行の訪日中国人観光客を集客可能
- マーケティングツールとしての分析機能の活用
- Eコマースとしての販売機能の活用
〇1.個人旅行の訪日中国人観光客を集客可能
こちらは、上で説明をした通り、コロナ禍を経て旅行者の傾向が団体旅行から個人旅行に移行していることがポイントです。
中国人の個人旅行は、事前に口コミが充実している大衆点評(大众点评)やその他SNSを通じて情報収集を行うと言われているため、個人旅行の訪日中国人観光客に対して有効であると言えます。
また大衆点評(大众点评)では、座席の事前予約機能やその店舗で使用可能な独自の割引クーポン券が発行されます。
そのため、「人気店を、座席予約機能で事前に押さえ、クーポンを使ってお得に楽しみたい」といったニーズを満たし、生の声である「口コミ」により個人旅行者に対して「安心感」を与えることができます。
〇2.マーケティングツールとしての分析機能を活用
大衆点評(大众点评)では、アカウント運営側でマーケティング分析機能を活用することができます。
この機能を活用することで、自社の商品やサービスページに来訪した人数やその客層、成果の出やすい商品やサービスを数字で追うことができます。
結果として、自社のページにおける改善事項を見つけることで、売上向上に繋がる施策を打つことが可能になり、PDCAサイクルも回しやすくなる効果が期待できます。
ここで、 PDCAサイクルとは、品質管理などの業務管理における、Plan→ Do→ Check→ Actionの4段階を繰り返して業務を継続的に改善する方法です。
〇3.Eコマースとしての販売機能を活用
こちらは、大衆点評(大众点评)において、サービスや食事などの予約場面で、その予約と同時に決済が可能な機能のことを指します。
これにより、支払いトラブルを未然に防ぐだけでなく、スムーズな会計を実現することもできます。
また、インバウンド事業を行う上で、よくボトルネックになってしまうのが「言語の壁」です。
しかしながら、大衆点評(大众点评)を使用することにより、専用のサイト上で注文したいメニューやクーポン内容の決済まで完了させることも可能なため、そういった障壁を取り除くことができます。
さらに、掲載店舗の住所をタップすることで、店舗までナビゲートしてくれる機能も付いています。
目的地の名称や口コミを調べたうえで、別途地図アプリで検索する手間を省くとともに、店舗の場所がわからないことで来店を諦めるなどの機会損失防止にも効果があります。
〇導入のデメリット
大衆点評(大众点评)導入のデメリットとして、大衆点評(大众点评)が中国語のみに対応していることから、言語の壁を挙げる方がいます。
しかしこの点については、各店舗で中国語のメニューを作成したり、中国語対応の可能な従業員を雇用したりすることで、うまく対応しているお店が多いです。
大衆点評(大众点评)のランキング上位の傾向
大衆点評(大众点评)のランキングには4つの分野があります。
人気ランキング(热门榜)
味ランキング(口味榜)
環境ランキング(环境榜)
サービスランキング(服务榜)
例えば、大衆点評(大众点评)のランキング機能を使用して、東京にある人気飲食店を調べると、以下の情報を確認することができます。
【東京の人気飲食店ランキング,大衆点評(大众点评)より,2024年3月時点】
人気ランキング(热门榜)の上位2店舗は海鮮料理が並び、味ランキング(口味榜)の上位は肉料理が独占しています。
さらに、環境ランキング(环境榜)やサービスランキング(服务榜)については、懐石料理などの日本料理屋が多いことがわかります。
実際に、このランキングを見ているユーザーは多く、初めて行くお店の選ぶ基準になっていることも多いです。
飲食店で、特に肉料理や日本料理を取り扱う場合には、大衆点評(大众点评)を使用し、訪日中国人観光客に対する店舗のマーケティングを検討することをお勧めします。
最後に
以上、大衆点評(大众点评)とその利用方法について、解説しました。
弊社は、日本と世界を更に近づけるために、訪日外国人向けのインバウンド事業や、日本製品を海外に展開するアウトバウンド事業を展開しています。
インバウンド事業においては、訪日外国人の富裕層やVIP向けに豊富なコンテンツを全てオーダーメイドで企画・制作からサポートしております。
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