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間もなく春節! 春節における中国マーケティング

グローバルでビジネスができるようになった今、相手の顔や心が見えていなくても、モノやサービスの販売自体はできるようになりました。

ところが、相手国の文化や消費者行動や心理を理解しておくと、商品開発に役立てることや、改善活動に活かすことができます。

この記事では、間もなく始まる春節をテーマとして、中国マーケティング、中国SNSの活用とその事例を紹介します。

目次

春節とは

中国のお正月

春節とは、中国及び中華圏のお正月を指します。

旧暦のお正月を意味し、一年のイベントの中では、最も重要な中国のお祝い事です。

ちなみに、2023年の春節は1月22日です。

去年は2月1日でしたが、日本で採用されている太陽暦で見ると、毎年日付が異なります。

春節の間、中国の学校や企業などは休暇期間となり、多くの中国人は、地元に帰省して、家族や旧友たちとお正月を楽しみます。

また、先日までのコロナ規制で長期間帰省できなかった方が多くいました。

今回やっと帰省できるということで、すでに1月初旬ごろから前倒しで休暇を取り、約1か月間以上休んでいる方もいます。

中国SNSでのお年玉企画

そんな大きなイベントの中で、中国SNSプラットフォーム各社では、様々な企画を開催しており、このビジネスチャンスを活かそうと、一人でも多くの人を呼び込むことに必死です。

例えば、支付宝(アリペイ、中国アリババグループが提供するスマホ決済サービス)では、アリペイアプリに入り、ゲーム参加やある特定の動画視聴、「福」の文字をスキャンするなどのアクションを行っていくと、カードやポイントが付与され、最終的にお年玉がもらえます。

その支給されるお年玉総額は5億元です。

その他のメジャーな中国SNSにおいては、百度(Baidu、中国最大検索エンジン)は8億元、快手(Kuaishou、抖音と並んで人気が高い中国版Instagram)は、20億元のお年玉を出すと公言しています。

このように、日本では考えられない金額のお年玉企画があり、月収分以上のお年玉をもらっている人もいます。

年貨節-中国EC上でのセールキャンペーン

中国のお正月企画の中で、お年玉企画と同様に重要なのが、年貨節という中国EC上でのセールキャンペーンです。

中国EC上でのセールキャンペーンにおいては、双11(11月11日を「独身の日」のとして各店舗が大幅値下げを行う)が日本でも広く知られていますが、年貨節もそれと肩を並べるくらい大きなキャンペーンです。

年貨節とは、家族や故郷にいる両親・友達への年越し商品を、春節前に大量購入するという中国の習慣を見越してのセールキャンペーンです。

もともと、2016年にアリババが最初に企画したキャンペーンで、その後、东京(アリババに次ぐ中国シェアNo.2を誇る巨大ECサイト)や抖音などの他の中国ECサイトでも開催されるようになりました。

中国農村経済の発展を促進する上で積極的な役割を果たすことができるとされており、親孝行や年上を敬うことを重視する文化も相まって、中国では大いに歓迎されています。

年貨節のキャンペーン期間は、ECプラットフォームによって変わりますが、春節の3週間前くらいに始まり、春節直前まで続きます。

例えば、淘宝(タオバオ、アリババグループが運営する中国最大のECサイト)では、キャンペーン期間が、2023年1月2日~1月10日で、比較的短いです。一方、京东では、2022年12月26日~2023年1月28日で、比較的長期間に設定されています。

年貨節のキャンペーン内容は、双11などのキャンペーンとほとんど一緒です。

买一送一(1つ商品を購入すると、もう1つが無料になる割引)などの各種割引、送料無料、24期分期免息(最大24か月無利子で分割払い購入ができる)などです。

一方、年貨節の最大の特徴は、日用品、お菓子類、パーティーグッズなどの正月用品の割引率が高いことです。

物やお店によっては、双11よりも割引率が高いです。

抖音(Douyin)お年玉企画のマーケティング戦略

抖音(Douyin)のお年玉企画過去最高額は2021年の20億元

抖音(Douyin)のお年玉企画は、過去、中国SNSプラットフォームの中でも、盛大に行われていました。

最も盛んに行われていたのは、2021年の20億元でした。2022年には12億元。2023年は4億元です。

2021年が最も盛んであったことには、理由があります。

「抖音」は2021年1月にDouyin Payという決済機能をリリースしたばかりで、お年玉企画を機に、決済機能の普及を狙っていたのでした。

そして、Douyin Payの知名度を高め、「抖音」のアクティブユーザーを増やすという戦略です。

実は、お年玉企画を利用したマーケティングをしたのは抖音がはじめてではありません。

はじめてでかつ大きく成功したのは、微信(WeChat、中華圏最大級のメッセンジャーアプリで、中国版LINEとも言われる)です。

もともと、中国でモバイル決済といえば、アリペイが主流でした。

ところが、2014年に微信は、春節に合わせてグループチャット内でお年玉を送れる機能をリリースしました。

お年玉企画が大きな話題になり、アクティブユーザー数の増加につながり、アリペイと肩を並べるほどになったのです。

抖音(Douyin)のお年玉企画の内容詳細

抖音(Douyin)のお年玉企画は、中国文化にちなんだとても面白い企画ですので、2023年のお年玉企画の内容詳細を紹介します。

企画内容は、二十四節気に関連したカードを集めて、お年玉を受け取るというゲームです。

 ここで、二十四節気とは、1年間を24等分し、その分割点の日に対して季節を表す名称を付けたというものです。日本では、立春・立夏・立秋・立冬が有名ですが、もともと二十四節気から来ており、中国で考案されました。

お年玉企画の中のゲームでは、二段階構成になっています。

一段階目では、二十四節気の中でも、8節と呼ばれる大きな分岐点の日の名称である、“立春”“立夏”“立秋”“立冬”“春分”“夏至”“秋分”“冬至”のカードを入手します。

8枚のカードを入手すれば、この段階でお年玉がもらえます。さらに、除夕(中国で1年の最後の日、陰暦でいう大晦日)でゲットできるお年玉抽選会の資格も入手できます。

二段階目では、二十四節気すべての分岐点の名称が付いた各24枚のカードを入手して、さらなるお年玉をゲットできます。

ゲットできるお年玉金額は、早い者勝ちで、早ければ早いほど、金額が大きくなります。

早ければ、1万元以上(20万円相当)ゲットすることができますが、遅ければ数元になってしまうこともあります。

ルール通りゲームを攻略したにもかかわらず、お年玉をゲットすることができず、微博(中華圏最大級のソーシャルメディア。中国版Twitterと言われている)で、話題になるなど、中国全土でお祭りのような活気が出ています。

抖音(Douyin)自身が企画するお年玉企画のほか、企業とのタイアップしている企画もあります。

例えば、泡泡玛特(POP MART、王寧によって創業された中国のフィギュア)、中国邮政(中国国営の郵便局)、海马体(中国大手の写真館)、乐高(LEGO)とタイアップしています。

具体的には、抖音アプリの中で遊べる仮想のお正月遊園地会場で、各企業が企画している様々なキャンペーンに参加することができます。

春節における中国マーケティング

中国人の消費行動-性別

春節での中国人の消費行動について、具体的にどのようなものなのでしょうか。

日本にいると中国の状況や消費パターンがつかみにくいところもあると思います。

ここで、春節のビックイベントである年貨節から垣間見える中国人の直近の消費行動を分析し、紹介してみたいと思います。

中国人がどのような思考で、どんなパターンで消費行動しているのかが、少しでもイメージできればうれしいです。

中国大手の市場調査会社である艾瑞咨詢の「2022年货节-新春生活消费趋势报告(2022年年貨節-新春生活消費トレンド報告)」によれば、まず、男女別の消費行動が異なっていたことが示されています。

女性はオンライン売上金額全体の61%を占めており、また取引成約人数も男性の1.8倍であり、年越しグッズの購入に特に積極的です。

購入する物については、レディースファッション、化粧品、ベビー・マタニティ用品が多く購入される傾向があります。

さらに、女性は男性よりもライブコマースで購入することを好む傾向があることがわかりました。

一方、男性は、オンライン売上金額全体での比率は39%と小さいものの、取引件数で見ると女性の1.2倍です。

また、パソコンやスマートフォンなどの通信機器の購入の傾向があります。

中国人の消費行動-年代別

次に、年代別に見ていくと、さらに面白い傾向をつかめることができます。

まず、00年後生まれの消費者は、パソコンやスマートフォンなどの通信機器、レディースファッション、化粧品への興味が高いです。

90年後生まれになると、食品やベビー・マタニティ用品・インテリア用品への興味が高い傾向が出てきます。

80年後生まれは、ベビー・マタニティ用品、子育てやインテリア用品という家庭を持つ際に必要な商品がメインになります。

70年後生まれは、インテリア用品やレディースファッションや食品への興味が顕著に高まる傾向がありました。

90~70年後生まれは、ライブコマースで宝飾品をよく買う傾向があるという、面白い分析もあります。

中国人の消費行動-2022年時のトレンド‐物質的

最後に、2022年の年貨節でのトレンドを紹介します。

2021年との比較で、ライブコマース上でどのくらい売上が伸びたのかも示しますので、中国マーケティングの参考にしみてください。

物質的と精神的な需要トレンドでそれぞれ5つあります。

まず、物質的な需要トレンドのキーワードは、在宅家電、健康、フィットネス、デジタル技術、自炊です。

精神的な需要トレンドのキーワードは、自国文化への自信、地元商品の再発見、大事な思い出の記録、癒し系-植物、癒し系-動物、開運です。

物質的な需要トレンドでは、住宅家電のうち、前年比で掃除機は434%、ドライヤーは87%、衣類乾燥機173%、プロジェクター59%の伸びでした。

背景には、コロナ規制で外出が制限され、自宅での生活時間が増えたため、自宅での生活を重視することにつながり、充実感、スマート化や新鮮さを求めるようになったことが挙げられます。

健康のうち、健康診断カードは359%、血糖値検査機78%、プレバイオティクス製品(食べることにより腸内の善玉菌を増やしてくれる食品)59%、メラトニン(睡眠のリズムなどを調節していると考えられている脳から分泌されるホルモン)44%、血圧計が39%の伸びでした。

背景にはコロナにより健康意識が高まり、健康グッツなどを自分で使うことやプレゼントして親に送ることが増えたことが関係しています。

フィットネスのうち、ヨガ関連は254%、エリプティカルトレーナー(ウォーキング、ジョギングなどができる固定型のトレーニング用器具)43%、スキー用品が271%の伸びでした。

背景はコロナの影響で、在宅でのフィットネスが好まれるようになったことがあります。また、スキー用品は冬の北京オリンピックが影響しています。

デジタル技術のうち、スマートグラス・VR関連商品は530%、スマートフォンは26%、パソコンは21%、イヤホンは31%の伸びでした。

背景にはコロナにより、デジタル技術関連商品が勉強や仕事に適していることが認識されたことがあります。また、そのような商品を使うことにより、自分の稼げる能力を高めたいという希望も出てきたことが大きく影響しています。

自炊のうち、ノンフライヤー調理器(油を一切使わずに揚げ物が作れる調理家電)308%、レトルト食品148%の伸びでした。

背景にはコロナの影響で自炊が多くなったことや健康意識が高まったことなどが挙げられます。

また若い層では、調理技術は高くないが、自炊したいというニーズからレトルト食品の人気が高まっています。

中国人の消費行動-2022年時のトレンド‐精神的

精神的な需要トレンドでは、自国文化への自信のうち、中国伝統商品81%、チャイナドレス105%、漢服(漢民族の伝統衣装)64%の伸びでした。

背景には、若い層が自国文化や歴史、民俗に対して強い意識を持つようになったことが挙げられます。

地元商品の再発見のうち、火鍋やソーセージなどの地元の特産物商品が最高で18,431%伸びました。

コロナの影響で、自分の住んでいる場所や故郷へ意識が向き、文化理解が進んだことが背景としてあります。

大事な思い出の記録のうち、写真撮影サービスは95%、チェキカメラは66%伸びました。写真撮影サービスのうち、家族撮影サービスの伸びは916,825%という驚異的な伸びでした。

背景にはコロナの影響で、家族への意識が高まったことが挙げられます。

癒し系-植物のうち、花の宅配が64%、植木植物が34%の伸びでした。

背景には不確定なことが多い生活で焦りや無気力感を感じる人が多くなり、植物への癒しを求めるようになったことが挙げられます。

癒し系-動物のうち、ペット用品では40%、ペット衣類は65%の伸びでした。

背景は癒し系-植物と同様で、生活上のストレスを軽減したいというニーズが、若い人の間で特に強くなっています。

開運のうち、赤色の商品が58%、錦鯉の形をした宝飾品が5,321%伸びました。赤色・錦鯉は、財運や仕事運を高めると中国では認識されており、ともに開運商品です。

背景には、不確定な世の中を意識するようになり、少しでも運気を高めたいというニーズが出てきたことが挙げられます。

抖音(Douyin)での成功事例

春節を活用して、中国マーケティングで成功した、抖音(Douyin)の事例をお伝えします。

足力健は、中国における高齢者用の靴製品のリーダー的存在ですが、年貨節でうまくマーケティングを行い、大成功しました。

足力健は、まず、お店や商品カタログや各種動画の補正・作成を早々に行い、「年货到家新潮到家(年貨が家に来て、新しい波が家に来る)」というテーマでキャンペーンを始めました。

2022年12月初めという早い時期から、公式ページで郎平(元中国バレーボール選手、1984年五輪で優勝に導いた実績がある)をブランドアンバサダーとして発表しました。

その後、冬での保温効果や春節の親へのプレゼントと足力健ブランドを連想させるように、抖音で話題が上がるように仕掛けを行い、田姥姥(抖音人気ランキングTOP8にも選ばれ、中国のおばあちゃんとして人気が高い)、张若宇(抖音で1847万人のフォローがいる有名人で、お笑い系の動画をアップしている)などのネット上の人気者からも商品の広告をするよう促しました。

4時間限定のキャンペーンでは、650万元を超える売上金額を達成しました。年貨節の期間では、3000万元の売上金額を達成し、100万元を超えるヒット商品を生み出しました。

次に紹介するのは汉服です。汉服は漢民族の伝統衣装を指しますが、春節をイメージさせる商品です。

抖音のおすすめ商品ランキングTOP6に選ばれたのをきっかけに、钟灵记汉服、十三余旗舰店、重回汉唐旗舰店(すべて汉服などの中国古来の服装を扱うお店)などの多くの汉服を扱うお店がこの波に乗りました。

日当たりの支払額が平均時より70%以上伸び、また新商品の売れ筋も通常時の100%以上の伸びを示していました。

最後に紹介する蜜雪冰城は、中国で人気の高いロイヤルミルクティーやソフトクリームのお店です。

その蜜雪冰城は、2023年1月1日から、15元以上消費すると、1つ福袋をプレゼントするという企画を実施しました。

その福袋の中には、“迷你对联”というめでたい句を書いた掛け物に似せたミニシールが入っているのです。

その紹介動画が春節前に大ヒットし、抖音で1.2万以上のいいね、微博・抖音動画合わせて6千万を超える閲覧数を獲得しました。

結果として、お店への集客にも大きく貢献しました。

最後に

以上、中国春節や中国人の消費行動、抖音(Douyin)をはじめとするSNSについて解説していきました。

弊社は現在Douyinをはじめとした中国SNSの運用代行や、中国への越境ECの支援などのサービスを展開しております。

ぜひご気軽にご相談ください。

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