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消費大国・中国の進化:購買動向と行動パターンから学ぶマーケティング

消費大国・中国は、常に大きな進化を遂げています。

半年前の中国マーケット情報は役に立たないと言われるほど、その進化は激しいです。

さらに、購買動向と行動パターンは、人口動向や経済状況などが複雑に影響するため、変化はより激しいものになります。

この記事では、中国消費動向、行動パターンから学ぶマーケティング、その成功事例について、紹介していきます。

目次

消費大国・中国の進化~中国消費動向~

人口動向の変化

世界第2位のGDPを誇る中国市場の進化は、とても激しいです。

日本にとって、中国は最大の貿易国でもあるのですが、海外ということもあり、中国消費動向に関する情報は古いものが多いです。

中国向けに商品販売を考えている方にとって、消費動向に関する最新情報を入手することは、ビジネス上で有利に働きますので、最近の中国消費動向に関する大きな動きについて、紹介したいと思います。

中国市場や中国消費動向の進化の根底には、人口動向の変化が関係しています。

人口動向の変化が、いわば中国進化の促進剤になっており、中国消費動向に大きな影響を与えているからです。

そして、直近の中国人口動態の大きな変化は、高齢化と出生率低下です。

急激に進む高齢化

まず、中国では日本と同様に、高齢化が進んでいます。

国連の統計データによれば、65歳以上人口が総人口に占める割合を示す高齢化率は、2022年で13.7%でしたが、2035年には22.5%、2050年には30.1%に達します。

中国は、既に高齢化率が14%以上の高齢社会になりつつあり、2035年には高齢化率が21%以上の超高齢化社会に突入するのです。

【中国の生産年齢人口と高齢化率の推移見通し ジェトロより抜粋】

さらに、中国政府による調査レポートでは、現在、60歳以上の高齢者人数は、2億8000万人で、中国総人口の19.8%を占めている規模に達しています。

中国マーケティングの世界では、中国高齢者は「银发族」(白髪族、50~90歳の消費者層)と呼ばれており、多くのブランド企業が巨大になりつつある中国高齢者層へのアプローチを模索している状態です。

出生率の低下が進む中国

さらに、高齢化率とも関係しているのですが、出生率低下も進んでいます。

下記の図は、49歳以下の女性が生涯で産む子どもの数の平均値を示した図です。

【中国出生率を示す図、中国統計局より】

上の図を見ると、1992年以降、49歳以下の女性が生涯で産む子どもの数は2人を下回り、下落トレンドが継続していることがわかります。

背景には、結婚しないという選択をする女性が増えていることや、仮に結婚しても子どもを育てる経済的余裕がない状況が関係しています。

実際に、中国の若い世代には、中国で一人前の大人と言われる定義である家を持つこと・家族を持つことをあきらめた「躺平派(日本語意訳:妥協派)」という層が一定数出てきており、それが一種の社会現象になっています。

中国では生涯所得額でも購入できないほどに不動産価格が上がり、男性の場合、家がなければ、基本的に結婚相手を見つけることは難しいです。

妥協してその状況を受け入れ、あまり頑張らず、最低限の生活を送ることができればいいと考える若者が、増えてきているのです。

中国消費者の行動パターン

中国消費者の行動パターンの変化

中国人口動態の変化や経済状況は、中国消費者の購買動向や行動パターンに大きな影響を与えています。

しかしながら、その影響の度合いや変化の特徴等は、世代ごとに全く異なります。

例えば、90年以降に生まれた中国Z世代は、貧困問題や中国が他国に後れを取っているといった劣等感などを感じることはなく、これまでの世代とは考え方や特徴が全く異なります。

つまり、中国全体の消費行動パターンをとらえるのではなく、世代ごとに行動パターンを見ていく必要があるのです。

ここでは、今後市場規模が大きくなると言われている、中国Z世代と、中国高齢者層の消費行動パターンを具体的に見ていきたいと思います。

中国Z世代の消費行動パターン

中国Z世代の消費行動パターンは、以下のような特徴があります。

  • コストパフォーマンスを重視
  • 体験的消費を好む
  • ネットワークを重視
  • アニメ・ゲームといったサブカルチャーへの関心が高い
  • 見た目を重視
  • 強い愛国心
  • インターネットに抵抗がない

一つ一つの項目に関しては、下記の記事で紹介していますので、ご興味のある方はご覧ください。

哔哩哔哩(bilibili)のマーケティング戦略とは?中国で若者を魅了する動画共有サイトの秘密と事例 | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン

特に、他の世代と際立っている消費行動パターンは、「体験的消費を好む」という特徴です。

例えば、中国Z世代は盲盒(日本語:ブラインドボックス)と呼ばれる、買って箱を開けてみないとわからない商品を好みます。

中身がはずれだったときのリスクを考えると、「コストパフォーマンスを重視」とは矛盾するようにも見えますが、箱を開けるまでの楽しみも体験的消費として、価値があると感じているのです。

実際、中国現地では、日本にあったガチャガチャのような自販機や、箱の中にグッツが入っており買って初めて中身がわかる商品が増えてきており、人気が高まっているのを感じ取れます。

また、金額は、20~150元(400~3,000円)くらいのものがあり、おもちゃグッツとしては、安くはない金額です。

中国高齢者の消費行動パターン

中国高齢者消費者層の消費行動パターンには、以下のような特徴があります。

  • 全体的にECコマースやSNSを利用する高齢者が増えている
  • 孫のために消費する傾向
  • 健康志向

詳細は、下記記事の「中国高齢者消費者層の特徴」で紹介していますので、興味のある方はご覧ください。

中国で成功するマーケティング!中国人消費者の心をつかむユニークな特徴と対策 | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン

直近で、中国高齢者向けの新しいマーケティング手法として、注目されているが、共同購入とKOLを活用した販売です。

共同購入とは、「グループによるまとめ買い」を意味し、中国では団購と呼ばれています。

日本でいうと、グルーポンなどの共同購入サイトの中国版です。

2022年3月~6月のロックダウン期間中、中国住民は、生活物資の調達が困難になり、生活居住区ごとで生活物資の共同購入を取りまとめる団長を中心として、まとめて生活物資を調達する共同購入が始まりました。

そして、ロックダウン解除でもなお、共同購入は利用され続けています。

その理由は、すべての商品が個人で購入するよりも、かなり安く購入できるため、高齢者を中心に人気があるためです。

実際、共同購入をしてみると、多くの場合、商品注文から到着まで2-3日以上要し、さらに、自宅まで郵送されることはなく、郵便物置場や、コンビニなどまで取り行く必要があります。

しかしながら、時間に比較的余裕のある中国高齢者層にとっては、あまり大きな問題にはなっていません。

中商产业研究院(中国ローカル市場調査会社)の調査によると、共同購入の市場規模は、年々大きくなっており、2021年は1,205 億元(約2兆4千億円相当)、2022年は見積もりですが2,100億元(約4兆千億円相当)です。

実際、中国現地では、共同購入の展示会が盛んに行われており、多くのブランドや企業だけでなく、団長、インフルエンサーなどが参加しています。

また、中国高齢者層向けマーケティングでは、KOL(Key Opinion Leader、キーオピニオンリーダー)を活用した販売も非常に有効です。

KOLとは、日本でいうとインフルエンサーが該当しますが、中国高齢者層にとってのKOLは、みなさんが知っているようなSNSで有名な中国人ではありません。

中国高齢者層にとってのKOLは、同じ地区に住む信頼のおける長老や人気者なのです。

中国高齢者層は、インターネットの利用が一般化しているとはいえ、完全に信用しきっているわけではなく、近所にいる信頼のおける人や親戚を信用する傾向があります。

そんな中国高齢者層の消費行動パターンを踏まえ、地区ごとのキーマンとコネクションを持とうとするブランドや、キーマンにお試しで商品を使ってもらい認知拡大をしていこうというマーケティング戦略が流行りつつあります。

成功事例

享佳健康

ここからは、中国消費者の購買動向や行動パターンの変化をうまくとらえ、成功した事例を紹介したいと思います。

1つ目は、享佳健康という、中国ローカルの高齢者向け商品・サービスを提供する会社です。

享佳健康は、1000万人の会員を抱え、顧客獲得コストは10-50元(200-1,000円相当)、リピート率は30%、顧客年間消費額は1,000元(2万円相当)を超える、中国高齢者ビジネスで最も成功している企業のひとつです。

同業界での顧客獲得コストは、チャネルによって異なりますが、50-300元(1,000-6,000円相当)、リピート率は10-20%ですので、享佳健康の指標は、非常に優秀です。

享佳健康が成功している要因は、商品分類を可能な限り多く・SKU(Stock keeping Unit)を少なくしていることと、顧客のステータスごとに適切に対応していることです。

まず、享佳健康は、可能な限り、商品分類を増やす一方で、SKUは抑える努力をしています。

ここで、SKUとは、商品の最小単位で、同じ機能を持つ商品でも、色の違いで異なる商品として扱うような単位です。

商品分類を増やすことで、商品機能面で顧客ニーズを満たし、顧客の趣向に関する部分は切り捨て、最低限のニーズを満たす戦略を採用しています。

さらに、顧客のステータスごとに適切に対応していることも注目に値します。

享佳健康の肖俊方氏によれば、顧客ステータスを5段階に分け、下記の方針で適切に対応しています。

  • 興味型顧客:単に興味を持って購入している顧客、安い商品を勧める際も商品の質は低くしてはいけない
  • 試用型顧客:商品やサービスをお試し使用中の顧客、ここでも安い商品を勧める際も商品の質は低くしてはいけない
  • 確認型顧客:お試し期間が過ぎ購入量が増えていく段階にある顧客だが、ここでは利益を出すことを焦ってはいけない
  • 信用型顧客:商品やブランドを信用している顧客、利益を出すことを考えていいタイミングで、利益水準は5-10%
  • 週間型顧客:商品を購入することが習慣化した顧客、生涯会員顧客として、終身するまで一生の顧客となり、安定的に利益を出せるようになる

5段階に分けている理由は、中国高齢者は、商品品質に対して、非常に敏感であることが関係しています。

低価格商品であっても、品質が悪いと判断されると、それ以降購入されることはありません。

一方で、中国高齢者はひとたび信頼すると、終身するまで、多少価格が高くとも、購入し続ける傾向があるのです。

享佳健康は、中国高齢者の消費行動パターンを熟知しているため、最初のタイミングでは、利益を出すことができなくても、信用型顧客になるまで、利益度外視で対応しているのです。

ポップマート

ポップマートは、中国ローカルのフィギアメーカーで、中国では「泡泡玛特」と呼ばれています。

2010年には一介の個人雑貨店でしたが、香港市場にも上場しており、2022年度では、46.2億元(1,000億円相当)の売上を計上するほど、大きく成功しています。

ポップマートが成功した要因は、中国Z世代に人気なブラインドボックスを採用したことです。

実は、2010年までポップマートは赤字続きでした。

2016年初めに、ポップマートは、微博(Weibo)にて、コレクションしたいキャラクターは何かと聞いたところ、多くのフォロワーから「Molly」という回答をえました。

【Mollyのフィギア】

ポップマートは、その後すぐに、「Molly」の中国販売独占権を取得し、中国でブラインドボックス形式での販売を開始します。

それが、狙い通り大ヒットし、連日商品売り切れになり、転売サイトで元値の40倍以上で取引されるほど人気になったのです。

【左写真がポップマートの小紅書(RED)、右写真が微信(Wechat)上のポップマートサイト】

SK-II

3つ目の成功事例は、SK-IIです。

SK-IIは、中国Z世代の消費行動パターンのひとつである「強い愛国心」をうまくとらえて、中国マーケティングに成功しています。

SK-II自身で中国風を取り入れて商品開発を行い、化粧品を販売しました。

具体的には、SK-IIは中国の七夕セールの際、パッケージを中国風にして限定品を販売します。

当時、中国現地のメディアでは、中国ローカル企業でない化粧品会社の「中国風」商品を中国は受け入れるのか、といった記事が多くありました。

ところが、SK-IIの化粧品売れ行きは非常に好調でした。

中国ローカル企業ではなくても、中国Z世代の消費行動パターンをうまくとらえれば、中国消費者は受け入れてくれることを示す格好の成功事例です。

ちなみに、中国Z世代の消費者は、「国潮」を好むとよく言われます。

「国潮」とは、中国要素を取り入れたトレンド商品を意味します。

「国潮」のうち、「国」は中国を意味し、「潮」はトレンドを意味します。

ただし、「国潮」は、ブランドやキャンペーン時期などによって、意味が多少異なることがあります。

実際、「国潮」は、中国国産品を示すことがあれば、中国古典文化要素が入った商品、中国ファッションブランドを指すこともあるのです。

中国ブランドや中国ローカル広告会社側は、「国潮」は中国ブランドのみを指すことが多いですが、SK-IIの事例のように、日本ブランドであっても、「国潮」というトレンドに乗ることはできることは証明されています。

中国現地のZ世代にヒアリングしてみると、中国風であれば「国潮」と認識しています。

中国Z世代は、海外ブランドに対しては、他の世代に比べて非常にフラットな目で見ています。

中国を敬う姿勢があれば、海外ブランドであっても、受け入れてくれる世代ということなのでしょう。

最後に

以上、中国消費動向、行動パターンから学ぶマーケティング、その成功事例について、解説しました。

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