中国でマーケティングを行うには、中国版インスタグラムと呼ばれるRED(小紅書)の活用が必須です。
なぜなら、中国では、世界や日本で使われているほとんどのSNSは使うことはできず、このような環境下では、中国SNSの活用が成功の条件なのです。
中国SNSの中でも、RED(小紅書)は中国マーケティングのカギを握ると言われており、中国市場を狙うブランドにとっては必須のプラットフォームです。
そこで、今回は、中国版インスタRED(小紅書)での成功術~知っておくべき効果的なマーケティング戦略~について紹介します。
中国版インスタRED(小紅書)とは?

中国でインスタグラムが使えない理由とRED(小紅書)の重要性
インスタグラムと中国の関係を理解することによって、中国版インスタグラムと呼ばれるRED(小紅書)の重要性も見えてきます。
そこで、RED(小紅書)を紹介する前に、インスタグラムと中国の関係を紹介しましょう。
昔は中国でもインスタグラムが使えた?インスタグラムと中国の関係
インスタグラムは2010年に米国でリリースされ、中国でも初期の頃は利用可能でした。
しかし、2014年頃、香港の民主化デモ「雨傘運動」に関連する画像が大量に投稿されたことで、インスタグラムへのアクセスが一時的に制限されました。
その後、2016年9月頃から全面的に規制され、現在に至るまで利用できなくなっています。
この規制の背景には、情報の自由な流通が中国政府の統治に影響を及ぼす可能性があるとの懸念があります。
そのため、インスタグラムだけでなく、FacebookやXなどの主要な海外SNSも同様に規制されているのです。
VPNを利用する中国人とその実態
すべての中国人がインスタグラムを利用できないわけではありません。
VPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)を使うことで、規制を回避し、インスタグラムを利用している人もいるのです。
Global Web Indexの調査によれば、中国国民の約10%がVPNを使用しているとされています。
特に20~30代の若年層や富裕層の間で利用が顕著で、グローバルな情報にアクセスしやすい環境を求めています。
しかし、VPNを使ってインスタグラムを利用している人の割合は非常に少なく、全体の数%程度に留まると見られています。
インスタグラムと似たSNS:RED(小紅書)の台頭
インスタグラムの規制が強化される一方で、中国国内ではRED(小紅書)が「中国版インスタグラム」として広く普及しています。
RED(小紅書)は2013年にサービスを開始し、2016年にはスマートフォンアプリとして急成長を遂げました。
インスタグラムが全面規制となったタイミングとRED(小紅書)の普及時期が重なっていることから、インスタグラムの代替として利用が広がったと考えられます。
実際に、RED(小紅書)は、写真や動画を中心とした投稿機能を持ち、タイムラインや検索機能、ハッシュタグの利用方法など、インスタグラムと非常に似ています。
インスタグラムが利用できないことで、企業が中国市場にアプローチするための代替手段として、RED(小紅書)のような中国国内SNSが重要視されているのです。
特にRED(小紅書)は、インスタグラムに似た使いやすさを持ちながら、中国市場に特化した設計が施されており、現地の消費者にとって馴染み深いプラットフォームです。
日に日に高まるRED(小紅書)の重要性
日本最大級の在日中国人コミュニティであるBoJapan(ボージャパン)の調査によれば、2024年にRED(小紅書)を通じて日本の観光情報や商品情報を収集する手段として、RED(小紅書)が最も活用されていることがわかっています。
なお、この調査の前提は「在日中国人が中国人を日本にアテンドする際に利用しているSNS」ではありますが、RED(小紅書)が中国人消費者にとって大事な情報収集ツールであることは間違いないでしょう。
中国現地の中国人の行動を見ると、国際情報の収集の際にYoutubeやインスタグラムを見ることはあっても、商品購入や旅行に関してはRED(小紅書)で情報収集する人が多いように感じます。
いずれにしても、RED(小紅書)は、訪日観光や越境ECを目指す企業にとって重要なツールと言えます。
実際に、資生堂やユニクロなどの日本ブランドは、RED(小紅書)を活用したターゲット層へのアプローチを成功させています。
商品の使い心地やレビューを含む投稿が、中国の消費者心理に訴求し、売上増加につながった具体的な事例も多く存在します。
このように、中国市場でのRED(小紅書)の活用は、単なるマーケティングツール以上の価値を持ち、ブランドが中国現地で成功するための重要な手段です。
RED(小紅書)の概要と市場規模
中国のソーシャルメディア市場においても、RED(小紅書)は特異な存在です。
インスタグラムに似たインターフェースを持つRED(小紅書)は、SNSとしての情報共有機能とEC機能を融合させたプラットフォームとして、中国の若年層を中心に絶大な支持を得ています。
2025年現在、RED(小紅書)の登録ユーザー数は約3億人を超え、その80%以上が30歳以下という若年層が主な利用者です。
このプラットフォームは単なるSNSではなく、種草と呼ばれる消費意欲を喚起する投稿が中心に展開されており、商品レビューや使用感レポートを通じて消費行動に直接影響を与えます。
「種草」とは、わかりやすく言うと、口コミマーケティングの一環として行われる投稿を指します。
実際の定義は明確に定まっているわけではなく、種まきのように、ブランドや商品に関する情報をSNS上で拡散することにより、口コミを通して、消費者の需要を刺激していくプロセスを指すこともあります。
今では、中国版TikTok抖音(Douyin)やWechat(微信)などの中国SNSでも活用されている手法です。
この「種草」は、RED(小紅書)で最初に活発に利用されるようになったと言われており、今でもこの手のマーケティング手法のパイオニア的存在です。
RED(小紅書)はこのような独自性から、中国市場に進出を目指す国内外のブランドにとって不可欠なツールとして注目されています。
さらに、RED(小紅書)の利用者の購買意欲の高さは、特に注目すべきポイントです。
中国電子商取引研究センターによると、RED(小紅書)の情報を参考にして購入する利用者が多いことがわかっています。
この即効性のあるマーケティング効果は、多くのブランドにとって魅力的です。
RED(小紅書)のユーザー層と特徴
RED(小紅書)の主なユーザー層は、都市部に住む20~30代の若者や、富裕層の女性が中心です。
彼らは美容、ファッション、旅行、ライフスタイルに敏感で、特に新しいトレンドや海外ブランドに高い関心を持っています。
このプラットフォームのもうひとつの特徴として、UGC(User Generated Content)が挙げられます。
UGCとは、 企業側ではなく一般消費者であるユーザーによって制作されるコンテンツを指します。
日本もそうなのですが、中国でも利用者が投稿する商品レビューや体験レポートが購買意思決定に大きな影響を与えるため、企業が発信する公式の広告よりも信頼される傾向にあります。
さらに、RED(小紅書)では、短い動画や高品質な写真を使った投稿が好まれる傾向があります。
ビジュアルに強いプラットフォームとして、商品やブランドの魅力を視覚的にアピールできる点も、他のSNSとの差別化ポイントと言えるでしょう。
また、2024年にRED(小紅書)で最も検索されたキーワードには「#日本化粧品」や「#高級バッグ」などが含まれています。
RED(小紅書)と日本ブランドの相性がいいという特徴にも注目です。
中国版インスタRED(小紅書)を活用した効果的なマーケティング戦略

中国版インスタとよばれるRED(小紅書)の重要性がわかったところで、RED(小紅書)を活用した効果的なマーケティング戦略をご紹介しましょう。
RED(小紅書)でのマーケティングの基本
前述したように、RED(小紅書)は、UGC(User Generated Content)が主流なプラットフォームであり、企業の公式広告ではなく、ユーザーによる体験談やレビュー投稿が消費行動に影響を与えます。
そのため、RED(小紅書)でのマーケティング戦略では、従来の一方向的な広告手法ではなく、ユーザーとの双方向のコミュニケーションを重視することが成功の鍵です。
例えば、2023年に多くの成功を収めたブランドが行った施策として、「#お試しレビューキャンペーン」が挙げられます。
特定の商品を購入したユーザーにレビュー投稿を促し、投稿内容をSNS全体で共有することで、他のユーザーに信頼感を与えると同時に、口コミ効果を生み出しました。
また、RED(小紅書)では、プラットフォーム独自のアルゴリズムが利用者の興味関心に基づいて投稿を推奨する仕組みが整っています。
商品紹介の投稿には、ターゲット層に響く具体的なキーワードやビジュアル、ハッシュタグを活用することが重要です。
たとえば、「#日本スキンケア」や「#高級時計」のようなキーワードを設定することで、効果的にターゲット層にリーチすることが可能です。
下記の投稿は、口コミ風に投稿された東京のビューティーサロンの紹介コンテンツですが、「#日式皮肤管理(日本語:日本式スキンケア管理)」というハッシュタグをつけることにより、大きくヒットした成功事例です。

【#日式皮肤管理(日本語:日本式スキンケア管理)で大きくヒットしたコンテンツ、RED(小紅書)より】
KOL・KOCの効果的な活用
ユーザーによる体験談やレビュー投稿の一環として、KOL(Key Opinion Leader)やKOC(Key Opinion Consumer)を活用したマーケティングが特に効果を発揮します。
KOLの活用:
KOLは、フォロワー数が多く影響力の高いインフルエンサーを指します。
たとえば、RED(小紅書)で300万人以上のフォロワーを持つ美容系KOLが特定の日本化粧品ブランドを紹介することで、投稿が瞬く間に拡散され、ブランドへの関心が大幅に高まります。
資生堂やポーラといった日本の化粧品ブランドが、KOLとの連携を通じて売上を向上させた成功事例はその典型例です。
KOCの活用:
一方、KOCはフォロワー数が少ないものの、日常生活に近い内容の投稿を行うユーザーを指します。
彼らの投稿は「身近な消費者の声」として信頼されやすいという特徴があります。
特に、2024年には「小規模インフルエンサー」の信頼度がさらに増しており、企業がKOCを活用することで、コストを抑えながらも高いROIを実現できる可能性があります。
例えば、先ほど紹介した「#日式皮肤管理(日本語:日本式スキンケア管理)」のコンテンツを投稿したのは、フォロワー数が5千人にも満たないクリエイターでした。

【フォロワー数が5千人にも満たないクリエイター、Tokyo小思雨のRED(小紅書)ホーム画面より】
有名なKOLやKOCでなくても、戦略的にRED(小紅書)を活用すれば、広告効果が高いプロモーションを行うことができることを示しています。
ブランドストーリーを伝えるコンテンツの制作
RED(小紅書)ユーザーの多くは、商品そのものだけでなく、ブランドの背景やストーリーにも関心を持っています。
そのため、RED(小紅書)上での投稿には、商品の品質や特徴だけでなく、ブランドが持つ独自性や価値観を反映させることが重要です。
たとえば、ユニクロは「シンプルで快適な生活」をテーマにしたコンテンツをRED(小紅書)で展開し、ブランドへの共感を高めることに成功しました。
具体的には、「#持続可能なファッション」や「#日本の快適スタイル」といったハッシュタグを用いて、商品を紹介すると同時に、ブランド理念をユーザーに伝える取り組みを行いました。
また、RED(小紅書)での投稿にはビジュアルの質も求められます。
2023年に人気を集めた投稿の多くは、高画質な写真や動画を駆使しており、商品の魅力が一目で伝わる内容となっています。
特に、夜景や自然を背景にした撮影は「日本の美」を強調する手法として効果的であり、中国のユーザーから多くの「いいね」やコメントを獲得しています。
ブランドストーリーを軸にしたマーケティングは、RED(小紅書)上でユーザーとの感情的なつながりを築くのに効果的であり、長期的なブランド価値の向上につながります。
成功事例から学ぶRED(小紅書)での効果的なマーケティング施策

ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)
ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)は、RED(小紅書)を活用したマーケティングで中国市場におけるブランド認知をさらに拡大させることに成功しています。
2024年の春節キャンペーンでは、中国の伝統色である赤と金を基調にした限定商品の投稿をRED(小紅書)で行い、ユーザーの注目を集めました。

【RED(小紅書)で紹介されたルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)の春節キャンペーン商品】
RED(小紅書)上に掲載された写真や動画は、商品そのものだけでなく、高級感を伝えるデザインや背景が工夫されていました。
富裕層や若年層に影響力のあるインフルエンサーを選定し、商品の魅力を短い動画で効果的に発信しました。
結果として、このキャンペーンはRED(小紅書)上で数百万回の閲覧を記録し、ルイ・ヴィトンの中国市場での売上を前年比15%向上させる要因となりました。
無印良品
無印良品(MUJI)は、RED(小紅書)でのマーケティングを通じて、中国の若年層をターゲットにブランドイメージを強化しました。
特に、ミニマルで自然を感じさせる商品を中心に投稿し、日常生活に溶け込むブランドストーリーを効果的に伝えました。
「無印良品のある生活」というテーマで、ユーザーが商品を日常でどのように使用しているかを投稿するキャンペーンを実施しました。
「#持続可能な設計」をキーワードに、エコバッグやリサイクル素材の商品を強調しました。

【「#持続可能な設計(中国語:可持续设计)」をキーワードに、エコバッグやリサイクル素材の商品を強調したコンテンツ】
結果的に、無印良品の関連投稿はRED(小紅書)で大きな話題となり、キャンペーン期間中の売上は前年同期比20%増加しました。
最後に

以上、中国版インスタRED(小紅書)での成功術~知っておくべき効果的なマーケティング戦略~について、紹介しました。
中国の現状やトレンドなどを把握したうえで、戦略を考え、マーケティングを行うことが大事です。
今回の記事でご案内した内容は、あくまで現時点の弊社の分析に基づくものです。
実際に自社ブランド商品を売り込みたい場合は、自社ブランドの特徴や中国市場状況に合わせて、マーケティングを行うことがおススメです。
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