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ライブコマースから検討する中国投資: テストマーケティング

日本と中国の消費者行動は大きく異なるため、日本での成功体験が必ずしも中国市場で通用するとは限りません。

そのため、中国市場に参入する前に「テストマーケティング」を実施することは、とても重要です。

新製品やサービスを市場投入した後に失敗することは、テストマーケティングの段階でその市場の独特な文化的・社会的要因を見落とすことからしばしば生じます。

製品がその地域の消費者の好みや価値観に合わない場合、またはマーケティング戦略が適切に地域化されていない場合、企業は重要な機会を逃す可能性があります。

この記事では、中国市場への参入に際してのテストマーケティングの重要性とポイントについて、紹介していきます。

目次

有効な投資「テストマーケティング」

テストマーケティングとは

テストマーケティングは、新しい商品やサービスを実際に販売や展開をする前に、限られた地域で試験的に展開し、そこで得たデータを商品や戦略の改善に生かすマーケティング手法です。

具体的には、先行販売やサンプル提供・広告配信などを通して、消費者の反応や売上動向の確認ができるため、課題や問題点をクリアしたうえで自社の製品やサービスを市場に送り出すことができます。

消費者から新製品に対する評価を収集し、評価が高ければ範囲を広げて展開し、反対にテストマーケティングを行った結果の評価が良くなければ、その商品は広く展開されることがなく、テストマーケティングのみで終わることもあります。

テストマーケティングは、ビジネス戦略において重要な取り組みであり、効果的に実施することで自社戦略の成功確率を高めることができます。

テストマーケティングのメリット

テストマーケティングにはいくつかメリットがあります。

①販売上のリスク軽減が可能

新製品やサービスが市場に出るまで、実際の売れ行きは予測できません。

テストマーケティングでは、消費者の反応を把握できるため、大規模生産の準備をする前に適切な意思決定ができます。

②ターゲットとするべき層を明確にできる

製品開発ではターゲットの設定が重要ですが、その製品が企業の想定したターゲット層に必ずしも受け入れられるわけではありません。

テストマーケティングでは、このような傾向を理解できるため、早い段階でターゲティングの誤りに気付くことができます。

③製品やサービスについての客観的なフィードバックが得られる

良い評価や悪い評価には、製品やサービスを改善するためのヒントが含まれています。

これらを分析することで、その製品やサービスのさらなる魅力や問題点に気付くことができるのです。

テストマーケティングのデメリット

しかし、テストマーケティングにはいくつかデメリットもあります。

①十分な時間と費用が必要

テストマーケティングは、一度ではなく改善を通して何度も実施することが多いため、場合によっては、予想以上に時間と費用がかかることがあります。

また、テストマーケティングという試験期間を設けることでトレンドに遅れる可能性や、当初の予算を大幅に超過することも起こり得る点に注意が必要です。

②競合他社に模倣されるリスクをもつ

限定的な範囲であっても、テストマーケティングでは新製品やサービスの情報が公になるため、競合他社にその情報が知れ渡るリスクがあります。

特に中国市場では、先願主義(最初に特許出願を行った者に特許権を与える制度)の考え方が多いです。

一度中国でテストマーケティングを行えば、中国市場に進出する意図があると知れ渡り、悪意のある第三者が中国の商標出願をする可能性もあります。

そのため、特許申請や商標登録などを事前に行い、模倣を防ぐための対策を取りながら実施することでリスクヘッジを図る企業もあります。

中国テストマーケティングの新たな形

テストマーケティングの基本的な方法

テストマーケティングをするにあたり、いくつかの方法を検討できます。

たとえばオフラインの場合は、実店舗での試験的販売、モニター調査、会場調査が一般的です。

また、オンラインの場合は、ウェブアンケート調査やソーシャルメディアの投稿に対するエンゲージメント(ある投稿に対する、いいね、シェア、リツイート、返信などの反応)を基にした調査、クラウドファンディングによる消費者の関心の所在確認などがあげられます。

しかし、いずれの方法を採用するとしても必須の検証事項になるのは、「商品・サービスの仕様に対する消費者の反応」、「適切なターゲット層や流通チャネルの選定」、「広告媒体や広告デザインなどの適切なプロモーション方法」です。

テストマーケティングを通じてそれらの検証事項を適切に判断するためには、

  • 調査対象となるターゲット層の明確化
  • 仮説を立てたうえでの検証の実施
  • 収集したデータの分析および応用

が重要です。

ここまで聞くと、テストマーケティングは取り組むハードルが高いと感じる方もいるのではないでしょうか。

そのような方たち向けに中国では「ライブコマース」という、参入障壁の低いソーシャルメディアを活用したテストマーケティングが利用される傾向にあります。

中国で注目されるライブコマース

中国のライブコマースは、新たな商品販売の形態で、特定のソーシャルメディアチャネルを通じてインフルエンサーが商品をプロモーションし、視聴者がリアルタイムで商品を購入するシステムです。

これはホームショッピングや通信販売番組とは違い、カリスマ的人気MCが出演することが特徴の一つです。

中国のライブコマース市場は急速に拡大しており、アリババグループが所有する淘宝網(タオバオ)は、中国国内のライブストリーミング市場の約80%以上を占めています。

さらに、淘宝直播(タオバオライブ)は、ショッピングとエンターテインメントを同時に楽しむことができるバーチャルショッピングモールとして人気を博しています。

また、百度(バイドゥ)やJD.com(京東商城/ジンドン)など、中国eコマースの大手企業もライブコマースに進出しました。

中国のライブコマースは、商品の魅力を伝達する手段として注目を集めており、売り手と買い手の双方向のコミュニケーションを通じて、消費者との関係を構築する販売手法とされています。

ライブコマースから始める小さな投資

中国進出した企業の中では、「せっかく出店したのに全然売れない」という失敗事例もあります。

そのため、本格的な出店の前に一定数の市場を構築しておくことがおすすめです。

たとえば、近年の中国マーケティング市場では、中国版TikTok抖音(Douyin)などのライブコマースを活用した販売が人気を集めています。

新型コロナウイルス感染症の影響により多くの業界が打撃を受けましたが、中国のライブコマースユーザーは「巣ごもり」需要の拡大を受けてこの期間に増加しました。

ライブコマースは動画で商品の魅力を伝えられることに加え、消費者と双方向のコミュニケーションが取れることが魅力です。

さらにインフルエンサーに商品を紹介してもらう場合には、十分な集客が見込まれることから、認知度の向上にもつながります。

このように出店前に一定数の市場を構築しておくことで、進出後の失敗リスクを軽減できます。

また、オンラインでのテストマーケティング終了後は、オフラインでのテストマーケティングも実施することがよいでしょう。

実際に現地の店舗で販売を行うことで、現地消費者の反応を直接確認できます。

しかしオフラインでのテストマーケティングを実施する際には、上記でもお伝えしたように

  • 調査対象となるターゲット層の明確化
  • 仮説を立てたうえでの検証の実施
  • 収集したデータの分析および応用

を前提に、調査場所やプロモーション方法を整理することが重要です。

ちなみに、中国市場に対するテストマーケティングは、もちろん日系企業のような外資企業のみではなく、中国の企業も行っています。

以下に、中国におけるテストマーケティングの事例を3つ紹介します。

中国におけるテストマーケティングの具体例

中国化粧品ブランドのダークホース: AKF

まず紹介するのは、化粧品ブランドから「AKF」です。

【幅広いジャンルの化粧品を取り扱う (ホームページ: http://akfakf.com/dp1.php )】

AKFは、わずか1年で中国版TikTok抖音(Douyin)において約2億人のファンを獲得し、さらに売上高1.9億元を突破したことで、2022年の化粧品部門の成長率でトップを記録しました。

この成功は、AKFが中国版TikTok抖音(Douyin)において、約2000回のライブ配信を行ったことによる知名度向上はもちろんですが、ライブ配信をする中でテストマーケティングを同時に行い、売れる商品を見定めたことも大きいです。

成長を続けるAKFは、DIORやLANCÔMEなどの国際的な化粧品ブランドの売上高を3カ月連続でこえ、アイメイク部門の売れ筋上位3位の商品をAKFが独占するなど、近年のメイクブランド部門のダークホースと呼ばれることもあります。

厦门蝉羽网络科技有限公司という、市場分析を専門とする会社のシステム「蝉魔方」の分析によると、2023年において中国版TikTok抖音(Douyin)のプロモーションを要因としたAKFブランドの売上高は5億~7.5億元に達し、前年同期比590.86%の増加とされています。

中国版TikTok抖音(Douyin)チャンネルでのAKFの成長速度は、ブランド構築とビジネス成長の所要時間の固定観念を覆しました。

ユーザーの行動に基づいて、自社ブランドと消費者の関係を再構築し、間接的な販売から直接的な販売になったことによってビジネス価値をより効果的に獲得することができました。

【AKFは中国版TikTok抖音(Douyin)だけでなく、広告にも注力していることが伺える】

【AKFのライブ配信の様子】

約2000回のライブ配信を行う中で、消費者との関係性を強め、その消費者が求める商品の特徴を分析することで成功を収めた例の一つです。

ターゲット層の明確化と仮説に基づく検証の実施: 湊湊火锅

続いて紹介するのは、飲食業界から「湊湊火锅」です。

湊湊火锅は、2016年に創立された「火鍋料理+お茶休憩」の飲食複合業態をコンセプトとする飲食チェーン企業です。

【火鍋料理+お茶休憩の革新的モデルで差別化を図る湊湊火锅】

湊湊火锅は、創立6周年および200店舗目を記念して、「湊一起潮6无限」というテーマの中国版TikTok抖音(Douyin)ライブ配信イベントを行いました。

このライブ配信は、昼の部と夜の部の二部制で行われ、幅広い顧客層を獲得できるように実施された点が特徴的です。

また、ライブ配信で映し出されるコース料理は、3~4名向けのものでした。

つまりこのライブ配信は、新規顧客、特にファミリー層の獲得を主な目的としたものです。

【実際のライブ配信の様子】

さらに、実際にお客さんにお店へ足を運んでもらえるように、ライブ配信の中ではお客さん一人当たりの平均金額を提示した上で、280元で購入できる380元分の金券や全国共通ミルクティー券などを販売しました。

ターゲット層を新規ファミリー層にしぼり、その層に響くと仮説を立てたプロモーションで配信をしたという点で、このプロモーションはテストマーケティングの要素も含むといえます。

従業員教育とテストマーケティングを同時に行う: CIT造型

最後に紹介するのは、美容業界から「CIT造型」です。

【全国チェーンの美容院 CIT造型】

CITブランドは2014年に創設されました。

ブランド理念は職人に必要な「職人精神」を守り、またそれを伝えることでもあるため、CITは経験の豊富なスタイリストを多く抱えています。

CIT造型は、中国版TikTok抖音(Douyin)を運営するにあたり、ブランド理念でもある職人モデルに基づき、企業の単一アカウントとして運営せず、各従業員をアカウントの運営者にしました。

ショートビデオでは、各スタイリストが毎週3~5本の美髪の専門知識に関するコンテンツを投稿し、その専門性からファンを獲得しています。

さらに、各スタイリストが運営するアカウントを苗期、成長期、成熟期の三段階に分け、それぞれの成長段階に応じて異なるコンテンツを投稿し、内容の改善だけでなく、スタイリストの専門知識の増加を同時に行いました。

【実際の中国版TikTok抖音(Douyin)の投稿の様子】

また、ライブ配信は各店舗で毎週3回行い、1回あたり2時間以上の配信を徹底しました。

しかし、これらのショートビデオの投稿とライブ配信は、新規顧客の獲得やスタイリストの専門知識の増加だけが目的ではありません。

どのようなヘアカットや技術、スタイリストの性格が消費者にとって需要があるのかを、投稿や配信を通じて調査し、トレンドをつかむようにしているのです。

このように、従業員教育とテストマーケティングを同時に行うことができるのも、ソーシャルメディアを活用したマーケティングの利点の一つといえるでしょう。

最後に

以上、中国市場への参入に際してのテストマーケティングの重要性とポイントについて、解説しました。

弊社は、日本と世界を更に近づけるために、訪日外国人向けのインバウンド事業や、日本製品を海外に展開するアウトバウンド事業を展開しています。

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