トレンドのショート動画を使用したマーケティング手法を起用したいと考えてはいるものの、どこから手をつけたら良いかわからない。
日本で運用中のInstagramリール動画を翻訳し中国にも展開してみたものの、一向にフォロワーが増えない。
中国向けのマーケティングに関して、こうした悩みをお持ちではありませんか?
本記事では、ショート動画が主流となってきている背景について解説し、中国においてショート動画を使用したマーケティングを展開する際のポイントと実際の事例を紹介いたします。
加速し続けるショート動画人気
中国のショート動画利用者は約9.63億人
近年、Youtubeショートやtiktokなどにおけるショート動画を使用した動画マーケティングの手法が世界的に流行し、その流れは中国においても例外ではありません。CNNICによるレポートによると、2022年6月時点での中国のネットユーザー10.51億人のうち、およそ9割にあたる9.62億人がショート動画の利用者であるといいます。更に、MoonFoxの調査では2022年Q1の1ユーザーあたりのショート動画デイリー閲覧時間平均は約4時間に近い231.4分間にも達し、それぞれのユーザーは1日に平均で11.5回もショート動画関連のアプリをタップするとの結果が出ています。
参考:第50次中国互联网络发展状况统计调查 (CNNIC)
参考:2022年Q1移动互联网行业数据研究报告 (MoonFox)
ショート動画とは?
ショート動画はその名の通り短尺の動画のことを指し、厳格な時間の決まりがあるわけではありません。多くのプラットフォームでは最長60秒前後に設定されておりますが、昨年6月にInstagramリールが最長90秒の動画が投稿可能になるなど、プラットフォームによる時間制限は緩められる方向に向かっています。
なぜショート動画が主流に?
ネットユーザーの注意力継続時間が低下
2015年にマイクロソフトが公開したレポートによると、2000年の時点で平均約12秒だった人間の注意力継続時間は2013年で約8秒まで低下したとされています。情報社会が急激に発展してきたこの10年間でその時間はさらに短くなっていることでしょう。そのため、短い時間で興味を引きつけ中弛みの起きる間のないショート動画の流行は必然の流れと考えられます。
短い動画は一般ユーザーにとって投稿ハードルが低い
Youtubeなどの数分~十数分にわたる動画の作成には一定のスキルが必要であり、質の高い動画製作にはPCでの作業が必要になってくることも少なくありません。しかし、短い動画の場合はスマホ一つで十分に撮影から編集・投稿まで行うことが可能です。日常の面白い出来事や一瞬を切り取って共有したり、流行りのダンスなどを投稿する若者にとっては圧倒的にハードルが低いと言えるでしょう。
しかし、一方でマーケティング目的でメッセージ性のある動画を発信したい企業にとっては短い時間で伝えたいことを表現し切る必要があり、難易度が高くなります。
縦型動画で気軽に閲覧しやすい
スマートフォンでYoutubeなどを閲覧する際は、画面を横にして閲覧するのが基本です。しかし、ショート動画系のSNSは基本どれも縦型動画が主流のため、投稿者にとっても閲覧者にとっても気軽に使用することができます。
AIレコメンドシステムで中毒性が高い
どのショート動画プラットフォームでも、独自のAIレコメンドシステムでユーザーの好みに基づいた投稿をおすすめする機能がついており、直感的にスワイプするだけでどんどん次の動画を自動再生します。注意力の継続時間が低下した今のネットユーザーに対し、飽きる前に次に興味を持ちそうな動画を提供するのです。そのためショート動画は中毒性が高く、ちょっとした隙間時間に見始めたはずが、気づけば1時間も2時間も経ってしまっているといったような現象が起きてしまうのです。
中国でも爆発な人気を誇るショート動画プラットフォーム
Douyin(抖音)
昨年11月のMAU(マンスリーアクティブユーザー)は6.4億にものぼる、代表的なショート動画プラットフォーム。ユーザー男女比はほぼ同じであり、30歳以下のユーザーが約5割近くを占めつつ、それ以外の年齢層も幅広く分布しています。
コンテンツの拡散力に注目した独自のアルゴリズムを重視しており、刺激的なテロップや耳に残りやすいBGMなどを使用したコンテンツが多いのが特徴です。フォロワーが少なくても人気投稿をうむ機会はありますが、競合が多く流行の移り変わりも早いので、常に最新トレンドや流行ネタをウォッチしてアカウントを運用していく必要があります。
Kuaishou(快手)
平均MAUが6億を越えたと発表し、前四半期のプラットフォームがKuaishouです。ユーザーの男女比や年齢分布も近いものがありますが、Douyinに比べて一線都市以外にもユーザーが分布しているのが特徴です。プラットフォームの性質としてはアルゴリズム重視の集権的なDouyinとは真反対で、コンテンツやソーシャル性を重視した分散的な運用をしています。ファンの信頼度の高いインフルエンサーが多いため、インフルエンサーとコラボしたプロモーションの効果が高く出るプラットフォームと言えるでしょう。
RED(小紅書)
MAUは約2.8億。女性ユーザーが7割以上を占め、4割以上が24歳以下のZ世代になります。
コスメ・スキンケア、ダイエット、料理などのコンテンツが主な割合を占めており、特に商品の体験レビューや生活の記録が多いです。質の高いコンテンツを多く産むため、クリエイターを支援するためのツールやキャンペーンなどが多く用意されています。
女性の心を掴みたいブランドにとっては絶対外してはならないプラットフォームでしょう。
bilibili(哔哩哔哩)
Bilibiliは一言で言えば、中国版のニコニコ動画と言えるでしょう。アニメ・ゲームなどを代表とするサブカルチャー関連の投稿が多く、24歳以下の若者が7割を占めるプラットフォームです。同じく24歳以下が多いREDとは違い、男女比はほぼ同じか男性の数がやや優位を占めます。日本のサブカルチャーは今でも中国で根強い人気がありますので、関連するビジネスを展開するブランドさんにとっては考慮すべきプラットフォームと言えます。
中国におけるショート動画マーケティングのポイント
規制されている内容の発信を避ける
表現の自由が重視される日本だとなかなか考えが及ばないのですが、中国でのSNS運用で気をつけなければならないのが表現に対する規制です。日本でも注意しなければならない肖像権や著作権に関してだけでなく、政治批判トピックの忌避など100もの審査基準細則(网络短视频内容审核标准细则)が中国ネット放送協会によって公開されています。さらに、誤解を生む「最高級」「No.1」など、プラットフォームごとにも忌避ワードなどがあり、注意してコンテンツを作成する必要があります。忌避ワードをチェックするツールなどもネット上で公開されていたりするので、投稿前に自分でチェックをかけることもできますが、その道のプロに見てもらうのが一番安心です。
プラットフォームの特徴・アルゴリズムを理解し、オフィシャルキャンペーンを上手に活用する
上述で紹介したように、各プラットフォームでそれぞれ独自のアルゴリズムや重視するコンテンツがあります。例えば、REDでは複数にアイキャッチ画像をアップロードし、一定時間のABテストを行った後効果の高いアイキャッチ画像を自動で採用する仕組みがあります。こうしたオフィシャルの助けをうまく活用するのも効率よく効果を出す秘訣です。
PDCAサイクルをしっかり回す
どんなプラットフォームでも、発信しなければ伝わりません。オフィシャルアカウントを作ったものの新品発表の時などだけ思いついたように投稿するのではなく、定期的に高頻度で投稿しファン形成を図るのが大事なのは、ショート動画に限らずSNSマーケティングでは大事なことです。
そして、KPIを分析しPDCAサイクルを回すことでどんどん投稿をブラッシュアップしていきましょう。文章や画像以上にコストも時間もかかりがちな動画マーケティングだからこそ、しっかり結果を分析して次に繋げることが大事です。
ショート動画を使ったマーケティングの成功事例
JO MALONE
日本でも有名な香水ブランドJO MALONEは、KOLを起用したPRを多く展開しています。近1年間でJO MALONEがコラボしたKOLは6.2万人にも上り、特にターゲットユーザーの多いREDはそのうち約6割を占めています。
コラボの形式は、多種にわたりますが、特に多いのがミニドラマ形式です。パーティーやプレゼントなど、利用シーンを再現したミニドラマに香水の紹介を溶け込ませることで、エンタメとしてミニドラマを楽しむと同時に香水の特徴をユーザーに紹介しています。
こうした形式でのPRは多くのブランドが採用している主な手法となってきており、コスメや家電などの商品だけでなく、投資貯金支援サービスなどのPRにも使用されています。
蜜雪氷城
JO MALONEの例は大規模なKOLコラボですが、次に紹介する蜜雪氷城はユーザーが自主的にショート動画を投稿するように仕向けることで話題をつくり、成功した例です。
このマーケティング戦略における重要な要素が、一度聞いたら脳裏にこびりついて離れない魔性のテーマソングであり、彼らは二次創作作品の投稿が活発なbilibiliを主戦場に選びました。シンプルなテーマソングは多くのUP主(KOL)の創作意欲を刺激し、すぐさま様々な二次創作作品が派生し、それが原曲の再生数向上にも寄与し、公開約2週間でbilibiliの原曲の再生数は300万回に達したのです。
まもなく、テーマソングを店頭で歌うと特定の商品をプレゼントするという噂がどこからともなく各プラットフォームで広がり、多くのユーザーが果敢にチャレンジをしてはその恥ずかしい場面を動画に収めて各プラットフォームに投稿しました。恥ずかしさに堪えてチャレンジしたもののキャンペーンをしていないと言われて失敗に終わるパターンも多く、噂を検証すべくさらに多くの人が挑戦をするというスパイラルを呼ぶ事態となったのです。
To Summer(观夏)
中国発祥の自然派香水ブランドであるTo Summerは、つくり込んだブランドストーリーと詩的な世界観をひとつひとつの投稿で丁寧に表現することで、共感する多くの女性ファンを取り込んでいます。To Summerのオフィシャルアカウントの動画数は多くはありませんが、どれも映画のようにつくりこまれており、共感マーケティングにおいて大きな役割を果たしています。
音楽や自然音も取り入れてさらに一体感を持って世界観を表現することで、ユーザーはまるでその香りが漂ってくるような気持ちにさせられることでしょう。
まとめ
本記事では、中国の主なショート動画系プラットフォームとそれぞれの特徴を解説し、中国向けにショート動画のマーケティングを展開する際のポイントと実際のマーケティング事例を紹介しました。
気軽さとAIレコメンドによる中毒性で、これからも人気が続くと思われるショート動画。
しかしながら、中国は規制により日本や世界で使用されている多くのサービスが使用できず、独自のサービスが発達しているため、マーケティング戦略を展開する際も多くの場合日本での戦略をそのまま流用というわけにはいかない上に、オフィシャルのドキュメントも中国語しかない場合が多く、日本から参入するのはなかなかハードルが高くなってしまうのが現実です。
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