ビジネスで大きく成功したいと考えるなら、新たなビジネスチャンスに対して貪欲になる必要があります。
例えば、中国市場を新たなビジネスチャンスとして考える場合、Taobao(淘宝)を活用した越境ECが挙げられます。
新しい領域に対しては、尻込みしてしまいがちですが、正しい知識をもって臨めば、それほど難しいことではありません。
この記事では、Taobao(淘宝)を活用した越境ECの方法と関連費用について、紹介していきます。
Taobao(淘宝)越境ECの可能性
Taobao(淘宝)を活用した越境EC
越境ECと聞くと、イチから店舗を立ち上げて、集客や顧客管理を行う必要があり、簡単ではないというイメージを持っている方がいるかもしれません。
ところが、Taobao(淘宝)を活用した越境ECなら、それほど時間をかけずに、店舗立ち上げと集客ができます。
なぜなら、Taobao(淘宝)は、中国最大のCtoC型オンラインショッピングモールであり、店舗立ち上げや集客の方法などがほぼマニュアル化されているためです。
当然ながら、中国語ベースの案内や管理画面ですので、言語の壁や商習慣の違いはありますし、中国現地の市場状況やトレンドなどは別途把握する必要があります。
ただ、イチからすべてをそろえることと比べれば、それほど難しいことはないでしょう。
中国市場という新たな顧客層の開拓につながる
特に、少子高齢化が進みマーケットが小さくなっていく日本においては、売上を拡大していくどころか、維持していくことすら難しい会社やブランドが増えています。
このような厳しい日本市場環境の中で一つの解決手法が、中国市場という新たな顧客層の開拓なのです。
また、これまでコロナ規制の影響があり、国際ビジネスが閉鎖的な状態でしたが、最近になって、グローバルな視点でビジネスや買い物をするトレンドが生まれています。
実際、円高の影響もありますが、欧米人をはじめとする外国人が日本へ来て、大量に買い物をしています。
中国人の観光客は、福島処理水に対する独特の中国政策などがあり、欧米人などに比べると、それほど買い物やビジネスを大きく発展はしていません。
ところが、世界的なトレンドとして、コロナ規制によってクローズド化された状態から、オープン化されていることは間違いないのです。
時間の問題で、中国人の訪日や、中国人による日本商品の消費は、今後どんどん活発になっていくことは間違いないでしょう。
中国消費者市場を狙うならTaobao(淘宝)を活用した越境ECがベスト
中国市場での顧客層の開拓をしようと考えた際、結論から言えば、Taobao(淘宝)を活用して越境ECを実施することをおすすめします。
なぜなら、中国消費者向けオンラインショッピングモールでは、Taobao(淘宝)が最も有名で規模が大きいためです。
Taobao(淘宝)を運用管理するアリババグループによれば、Taobao(淘宝)の月間アクティブユーザー数は、2023年6月時点で8.87億人でした。
また、そのユーザー数は年々増え続けています。
【Taobao(淘宝)のユーザーは増え続けている、アリババグループの報告より】
つまり、中国市場に対して勝負をしたいという場合、最も多くの中国消費者が集まっているTaobao(淘宝)で、中国市場を狙うのが王道なのです。
実際、中国には多くのオンラインショッピングモールがあります。
例えば、中国で有名なショッピングモールとして、京东(Jingdong)、拼多多(Pinduoduo)抖音电商(抖音電商)があります。
それぞれ特徴を説明すると、下記の通りです。
京东(Jingdong):中国市場におけるシェア率ランキング第2位。強みはPC機器関連の商品豊富さと整備された物流インフラ。
拼多多(Pinduoduo):中国市場におけるシェア率は、京东(Jingdong)とは僅差で、ランキング第3位。低価格で共同購入ができるECサイトで、中国版グルーポンとも言われている。ユーザー層は、中国の三・四級都市や中所得者が多いのも特徴。
抖音电商(抖音電商) :振興のオンラインショッピングモール。まだ中国EC市場においてはそれほど大きなプレイヤーではないものの、中国のライブコマースの分野で見れば、圧倒的に大部分のシェアを占めている。
それぞれ特徴や強みがあるのですが、Taobao(淘宝)が最も大きいショッピングモールであることは間違いありません。
さらに、Taobao(淘宝)のユーザーは、以前中国沿岸部などの比較的裕福な中国消費者層が多かったのですが、最近では中国農村部のユーザー数も増えており、Taobao(淘宝)を活用することで、ほぼ偏りなく中国市場を狙うことができます。
このような背景から、ニッチな商品を扱っているなどの特殊事情がない限り、多くの企業やブランドは、Taobao(淘宝)を活用するのが最善なケースが多いのです。
Taobao(淘宝)越境ECの方法
Taobao(淘宝)の魅力がわかったところで、具体的にどのように越境ECを行うのかについて、紹介していきますね。
具体的には、4つの方法があります。
- Tmall Global(国際天猫)
- Tmall(天猫)
- Taobao(淘宝)
- 外部委託
Tmall Global(国際天猫)
まず、Tmall Global(国際天猫)は、Taobao(淘宝)から派生した、中国国内消費者向けの海外商品販売専用のECモールです。
日本企業や日本ブランドが、国際ブランドとして中国市場を攻略しようと考えるなら、最もスタンダードな方法はTmall Global(国際天猫)を活用した越境ECです。
経緯を説明すると、もともとアリババグループでは、2003年からTaobao(淘宝)というCtoC向けのECを運営していました。
その後、BtoCの市場を作るために、2008年に中国法人の会員だけが販売できる国内ECであるTmall(天猫)をオープンします。
さらに、2014年に外国法人が出店できるTmall Global(国際天猫)を開設しました。
一方、中国現地のユーザー視点から見ると、Taobao(淘宝)、Tmall(天猫)、Tmall Global(国際天猫)の区別を意識しているユーザーは多くいません。
なぜなら、Taobao(淘宝)アプリで、検索すると、3つの市場が区別なく表示され、決済まで進めることができるためです。
商品に問題が起きたときなどに、どのような店舗かについて、よく見ることはあるのですが、購入の際はあまり気にしていないユーザーが多いのです。
さらに、中国のさまざまな統計上のデータを見ても、Taobao(淘宝)、Tmall(天猫)、Tmall Global(国際天猫)を明確に区別して、市場分析をしているデータが少ないです。
ところが、中国消費者の中には、商品品質に対し非常に敏感で、海外ブランドを信頼する消費者層が一定数います。
そのような中国消費者は、Taobao(淘宝)で販売している非正規ブランドの中国個人店舗からの購入は避け、Tmall Global(国際天猫)の海外ブランド正規店舗で買う傾向があります。
中国市場において、ブランディングを最も大事にしていきたいと考える会社であれば、Tmall Global(国際天猫)を活用した越境ECを行うのがいいでしょう。
Tmall(天猫)
2つ目のTmall(天猫)は、中国国内に設立された企業のみが参加できるECモールです。
Taobao(淘宝)アプリからは、商品を検索すると、Taobao(淘宝)、Tmall(天猫)、Tmall Global(国際天猫)が一緒に表示されるため、大部分の中国ユーザーからは区別なく購入されている点では、Tmall Global(国際天猫)と同様です。
中国における会社設立は、それほど難しいことではないため、企業アカウントだからと言って、すぐに信頼性が増して良く購入されるわけではありません。
ところが、ブランドの正規店や専門店として、Tmall(天猫)で店舗を構える場合は、信頼性が増します。
さらに、Taobao(淘宝)アプリのシステムの構造上、企業アカウントの方が、上位に表示される仕組みになっています。
中国に子会社がある場合や子会社運用を任せることができる体制が構築されている企業は、ブランドの正規店としてTmall(天猫)を活用するのがいいでしょう。
Taobao(淘宝)
3つ目の方法は、個人でも店舗をオープンできるTaobao(淘宝)を活用して、越境ECを行う方法です。
この方法であれば、海外会社や中国会社としての面倒な手続きがないため、最も簡単です。
ところが、実務上、多くの日本人は個人名義でTaobao(淘宝)の店舗をオープンすることができません。
その理由は、Taobao(淘宝)の店舗をオープンするためには、中国現地の銀行口座が必要だからです。
数年前でしたら、日本人が中国現地に来て、中国の銀行窓口に行けば、中国の銀行口座を作ることができました。
現在では国際テロや国際金融犯罪防止のために、中国に居住していない外国人は、原則として中国の銀行口座を開くことはできません。
このような背景から、自社に中国人スタッフや中国に住んでいる親戚がいる場合に、彼らの名義を使って、Taobao(淘宝)の店舗をオープンすることが多いです。
ただし、名義上とは言えども、法律上は自社の店舗ではないため、トラブルになる可能性もあります。
中国人スタッフなどの名義を借りる際は、あらゆるリスクを検討に入れながら、十分に注意して実行するようにしましょう。
外部委託
最後の方法は、外部委託する方法です。
具体的には、既にTaobao(淘宝)の店舗を持っている会社や個人に、自社商品やサービスの販売委託をお願いする方法です。
代理店販売のようなスタイルですが、最も費用や時間がかからずに越境ECを実行できる方法でもあります。
ところが、その店舗や店舗オーナーが信頼できるかどうかは、別途検討する必要があります。
仮に、店舗オーナーが真面目な人であっても、ブランディング戦略や管理に関する理解が浅く、一時的に物は売れても、ブランディングがうまくいかず、大きく成功できなかった事例は数多くあります。
実務的な商品販売は任せるにしても、ブランディング戦略や販売価格等は、自社が主導権を握れるようなスタンスや契約書を結んでおくことが大事です。
Taobao(淘宝)越境ECの各費用
Taobao(淘宝)越境ECのやり方の概要が理解できたと思いますので、ここからはコスト面を見ていきたいと思います。
Tmall Global(国際天猫)
まず、Tmall Global(国際天猫)のコストは、最も高いです。
主に、年会費、販売手数料、保証金があります。
年会費について、取扱商品によって異なりますが、5,000ドル、10,000ドルの年会費がかかってきます。
販売手数料については、これも取扱商品によって変わり、概ね販売額の0.5-5%です。
次に、保証金について、通常は25,000ドルの保証金を支払う必要があります。
なお、ドルと中国元で異なる金額の案内を受けることがありますが、概ね同様の金額です。
具体的な登録方法については、下記サイトでも紹介していますので、ご興味のある方はご覧ください。
Tmall Overseas Fulfillment – Tmall Global Merchant Channel
Tmall(天猫)
次に、Tmall(天猫)のコストについて、取扱商品によって異なりますが、3万元(60万円相当)と6万元(120万円相当)の年会費があります。
販売手数料については、これも取扱商品によって変わり、概ね販売額の3-5%です。
保証金について、通常は10万元(200万円相当)からの保証金を支払う必要があります。
以前はTmall(天猫)のコストは低く、店舗オープンの条件も厳しくありませんでしたが、最近では、厳格化されてきています。
例えば、中国会社の資本金は100万元(2,000万円相当)以上でなくてはならず、さらに、会社成立から2年以上経営している必要があります。
詳細は、下記サイトでも一部紹介していますので、ご興味のある方はご覧ください。
Taobao(淘宝)
3つ目のTaobao(淘宝)のコストについて、個人名義で店舗をオープンするのであれば、費用はかなり抑えることができます。
具体的には、保証金は基本的に1,000元(2万円相当)で足ります。
その他の販売手数料は無料で、さらに店舗をオープンする際の手続きはほぼ1日で完了するため、最も手軽な方法です。
詳細は、下記サイトでも一部紹介していますので、ご興味のある方はご覧ください。
外部委託
最後に外部委託について、発生するコストは、販売委託する店舗との契約内容によって異なります。
主な契約形態パターンを紹介すると下記の通りです。
完全歩合制
販売額の金額に応じて、一定の割合を販売委託する店舗に支払います。
例えば、10,000円の商品が売れれば、10%(1,000円)の販売報酬を渡すような契約形態です。
固定額+歩合制
月間あるいは年間の固定手数料+歩合の契約パターンです。
例えば、毎月店舗名義使用料1万円+販売額5%販売手数料を支払う契約形態です。
商品売買形態
販売委託先が自社商品を買い取ってくれるパターンです。
魅力的な商品の場合や販売委託先がやる気がある場合に、この方法が採用されます。
その場合、価格決定権を販売先が持つケースが多いですが、中国でのブランディング戦略上それが良くない方向に行く場合があります。
当初販売委託先がすぐに売れる見込みだった商品が、長期間全く売れず、中国国内で安売りされてしまい、安物商品ブランドとして認知されてしまい、ブランディングがうまくいかなかったケースがあります。
このようなことが起きないよう、信頼できる委託先や契約書は入念にチェックしましょう。
最後に
以上、Taobao(淘宝)越境ECの方法と関連費用について、解説しました。
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