以前、中国医療業界における中国版TikTok抖音(Douyin)と小紅書(RED)活用術や事例を紹介しました。
一方で、医療観光・インバウンド集客やクリニック事例について、知りたいという方も多いと思います。
この記事では、小紅書(RED)・中国版TikTok抖音(Douyin)を活用した医療観光・インバウンド集客のクリニック事例3選について、紹介していきます。
医療観光・インバウンドビジネスの状況
医療観光・インバウンドビジネスの今
医療観光・インバウンドビジネスは、世界中で急速に成長している業界の一つです。
世界の医療観光・インバウンドビジネス市場は2027年には約30兆円規模になると推計されているほどです。
背景には、近年、国境を越えて医療施設へのアクセスが容易になり、高品質な医療サービスを求める患者が増加していることが関係しています。
この傾向は、日本において特に顕著であり、日本への医療観光は多くの外国患者にとって魅力的な選択肢となっています。
活発になりつつある日本医療ツアー
日本の医療技術と高品質な医療サービスは、世界トップレベルと言われるほど、非常に高く評価されています。
その結果、多くの外国患者が日本医療ツアーを選択しています。
日本の医療観光は、美容整形、歯科治療、美容皮膚科、そして最新の医療技術を提供するクリニックが特に人気です。
日本政府も積極的に医療観光を支援し、ビザの発行プロセスを簡素化するなどの施策を実施しています。
コロナが終息した今、多くのクリニックが、外国患者を引き寄せるための戦略を検討している状況なのです。
中国人向けの日本医療ツアー
特に、中国人向けの日本医療ツアーは、成長の可能性が非常に高い市場と考えられています。
e-Stat(日本の統計データが閲覧できる政府統計ポータルサイト)の最新データによれば、令和3年の日本医療滞在ビザ発行数は653でしたが、そのうち495が中国人向けでした。
日本医療滞在ビザの75%(=495/653)以上が、中国人向けに発行されているという事実から見て、世界の中で中国人が日本医療ツアーに最も関心があることがわかります
また、令和3年といえば、未だコロナ渦の最中ですから、コロナが終息した今、ビザ発行数が多くなることは間違いありません。
さらに、注目すべきは、医療滞在ビザ以外で日本へ入国し、日本医療を受ける中国人が非常に多いことです。
つまり、日本医療滞在ビザは、あくまで日本の医療サービスを受ける目的として日本へ入国するビザであって、ビジネスビザなどで日本へ入国し、日本医療サービスを受けている中国人が少なからずいるのです。
実際、日本で就業する気がないにも関わらず、日本企業の就業者として就業ビザを取得した後、日本の社会保険に加入し、医療費を低く抑えながら日本医療サービスを受けている中国人が増えています。
もちろん就業者と偽って就業ビザを取得することは、違法行為ではあります。
ところが、そこまでしても日本医療サービスを受けたいというニーズの高まりを示しています。
小紅書(RED)・中国版TikTok抖音(Douyin)を活用した医療観光・インバウンド集客は発展途上
中国人向けの日本医療ツアーは非常に人気があり、需要が非常に高まっている状況は間違いないです。
ところが、医療観光・インバウンド集客に大きく成功しているクリニックは存在せず、未だ発展途上と言えます。
その背景には、中国における医療業界に対する信頼性が一時的に低くなっていることと、それに伴い各種プラットフォームでの規制が厳しくなっていることが関係しています。
具体的には2021年ごろから、中国現地で美容整形失敗の事例が頻繁に発生し、中国美容整形医療業界に関する信用問題がニュースで報道されるようになりました。
例えば、美容整形後に顔に大きな炎症が起きてしまった中国人女性が、その担当医に相談したところ、「無料で治療するが、その条件はSNSなどに絶対に投稿しないこと、もし投稿したら治療費を請求する」と言われ、誓約書まで書かされたというクリニック事例が大きな問題としてニュースになりました。
このニュースが報道された後、類似の事例が多数あることがわかり、中国医療への不信感が募っていきます。
実際、2021年の中国美容整形に関する訴訟件数は前年比で2倍以上になっていました。
その後、2022年に中国政府が、中国医療サービスに対し規制強化を始めます。
まもなく、中国版TikTok抖音(Douyin)や小紅書(RED)でも、運用強化が始まります。
具体的には、医療関連のアカウントに対して、運用強化が行われました。
例えば、医療系の動画や画像を投稿しているアカウント(より具体的には、NGワードや敏感文字を使ったなど)、物販を行う医師などのアカウントが次々と利用停止処分を受けるようになったのです。
結果として、小紅書(RED)・中国版TikTok抖音(Douyin)を活用した医療観光・インバウンド集客はほぼできなくなり、未だ発展途上の状況になっているのです。
中国における医療業界の詳細は、下記の記事で詳細を解説していますので、興味のある方はご覧ください。
医療業界における中国版TikTok抖音(Douyin)と小紅書(RED)活用術:事例で見る成功のポイント | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
小紅書(RED)・中国版TikTok抖音(Douyin)を活用した医療観光・インバウンド集客クリニック事例3選
JMT(日本医療観光株式会社)
紅書(RED)・中国版TikTok抖音(Douyin)を活用した医療観光・インバウンド集客は発展途上ではありますが、参考になるクリニック事例はあります。
ここでは、3つのクリニック事例を紹介したいと思います。
1つ目は、JMT(日本医療観光株式会社)のクリニック事例です。
JMT(日本医療観光株式会社)は、医療観光に特化した日本のクリニックの集客を支援する会社で、小紅書(RED)や中国版TikTok抖音(Douyin)などを積極的に活用しています。
【JMT(日本医療観光株式会社)の西瓜视频アカウント】
【JMT(日本医療観光株式会社)の小紅書(RED)アカウント】
JMTの戦略の一環として、中国SNSを通じて、医療関連の情報をシェアし、日本の医療技術や設備の優れている点などをアピールしています。
また、日本での実際の治療体験を共有する患者の声も活用し、これにより潜在的な中国人患者は信頼性の高い情報を入手し、最終的にJMTを通じて日本のクリニックを選ぶことにつながっています。
実際に、JMTの中国SNSのアカウントを見てみると、西瓜视频という中国版TikTok抖音(Douyin)の姉妹アプリから中国版TikTok抖音(Douyin)へコンテンツを配信しています。
西瓜视频では再生数やコメントなどが多いですが、中国版TikTok抖音(Douyin)や小紅書(RED)ではそれほど再生数は伸びていません。
おそらく、国版TikTok抖音(Douyin)などの医療関連コンテンツへの厳しい規制などが関係しているのでしょう。
一方、bilibili (哔哩哔哩)のコンテンツでは、大きく伸びている動画があります。
【JMT(日本医療観光株式会社)のbilibili (哔哩哔哩)アカウント】
他のアカウントでも同様ですが、医療関連のコンテンツはbilibili (哔哩哔哩)が比較的緩いことが影響していると考えられます。
keitan的小世界
2つ目のクリニック事例は、keitan的小世界です。
keitan的小世界は、中国のインフルエンサーであり、小紅書(RED)で13万人以上のフォロワーがおり、非常に人気があります。
【keitan的小世界の小紅書(RED)アカウント】
keitan的小世界では、美容整形に関するコンテンツを定期的に投稿し、手術前後の写真や詳細な体験談に関するコンテンツを投稿しています。
彼女のフォロワーなどは、彼女の投稿を通じて日本の美容整形クリニックに関心を持ち、日本への渡航を考えているようになっています。
このようなインフルエンサーマーケティング戦略は、特に美容整形分野で非常に成功しています。
【keitan的小世界の中国版TikTok抖音(Douyin)アカウント】
実際のアカウントを見てみると、小紅書(RED)と中国版TikTok抖音(Douyin)では、基本同じ動画が投稿されていることがわかります。
さらに、よく分析してみると、中国版TikTok抖音(Douyin)では医療に関する動画がない或いは「いいね」などが極端に少ないことがわかります。
小紅書(RED)でも医療に関する動画は、一部見ることができなくなっているなど、プラットフォーム上での制限を受けていることが見受けられます。
霓虹艾草
3つ目のクリニック事例は、霓虹艾草です。
霓虹艾草は、美容製品や治療方法などのコンテンツを提供しています。
霓虹艾草の特徴は、中国版TikTok抖音(Douyin)、bilibili (哔哩哔哩)、wechat(微信)、zhihu(知乎)などの主要な中国SNSのすべてを使い倒していることです。
【霓虹艾草の中国版TikTok抖音(Douyin)アカウント】
【霓虹艾草のzhihu(知乎)アカウント】
霓虹艾草のアカウントでは、日本の美容整形クリニックに関する詳細な情報や評価も掲載されており、多くの中国人女性が霓虹艾草を通じて、日本の美容施術を受けることを決断しています。
ただ、実際の霓虹艾草のアカウントを見たところ、フォロワー数や再生回数などを分析するとそれほどヒットしている動画はありません。
ところが、未だ発展途上ではあるものの、信頼性の高い情報と口コミに基づいて、患者をクリニックに導く有効な方法となっていることを証明している事例と言えるでしょう。
医療観光・インバウンド集客に動き出している中国プラットフォーム
小紅書(RED)・中国版TikTok抖音(Douyin)は厳しい規制が続いている
小紅書(RED)・中国版TikTok抖音(Douyin)では、2022年ごろから医療関連コンテンツへの厳しい規制や管理が続いています。
そのため、小紅書(RED)・中国版TikTok抖音(Douyin)の運用のプロに任せない限り、なかなか医療観光・インバウンド集客は難しいでしょう。
もちろん、弊社のノウハウを活用すれば、小紅書(RED)・中国版TikTok抖音(Douyin)でも、医療観光・インバウンド集客は可能ですので、ご興味あれば、お気軽にお問い合わせください。
また、中国医療業界の一時的な信頼問題が根本にありますので、今は非常に敏感な時期であり、もう少し時間が経てば、運用が楽になるタイミングがくると考えられます。
一方、他の中国プラットフォームでは、既に医療観光・インバウンド集客に力を入れ始めています。
実際に、直近で医療観光・インバウンド集客に動き出しているプラットフォームは、大衆点評(中国表記:大众点评)・美団 (Meituan)と、Tmall Global(Tモールグローバル)です。
大衆点評(中国表記:大众点评)・美団 (Meituan)
大衆点評(中国表記:大众点评)は、簡単に言うと、中国版ぐるなびのような口コミサイトです。
中国国内ではレストランやホテルなどのレビューサイトとして非常に有名ですが、最近では医療クリニックの評価やレビューも増えています。
美団 (Meituan)は、中国版のUberEatsのような出前サイトです。
現時点で、この2つのアプリを合わせると、6.8億人の会員数がいる非常に大きなプラットフォームになります。
大衆点評・美団 (Meituan)では、これまでコロナ渦が続いていたため、それほど医療観光・インバウンド集客には力をいれていませんでしたが、共同で2023年9月から日本の医療クリニックへのサービスを本格的に開始しています。
具体的には、大衆点評が中国国内の患者から問い合わせを受けて、大衆点評に出店している日本の医療機関へ患者を紹介するというサービスです。
さらに、大衆点評は、患者へのプラン提案、予約代行、医療同時通訳サービス、資料翻訳、アフターサービスなどすべて代行してくれます。
サービス料金体系について、日本の医療クリニック側は、登録料(10万円)や出展支援サービス(5~20万円/月)を大衆点評へ払います。
成果報酬型の契約もあり、クリニック側にとって、コストを抑えながら、集客活動ができる体制が構築できそうです。
外国患者にとって、医療施設の評判や口コミは非常に重要な要素ですので、このような口コミサイトを利用することは、実力のあるクリニックにとって、非常に効率的に集客ができるでしょう。
なお、登録料や出展支援サービスは、現時点(2023年9月上旬)の金額であり、タイミングなどによって変わる可能性がございますので、参考までにご覧ください。
Tmall Global(Tモールグローバル)
Tmall Global(Tモールグローバル)は、中国で最大のオンラインショッピングプラットフォームを運用するアリババグループが運用するプラットフォームです。
Tmall Global(Tモールグローバル)は、医療製品や美容製品の販売においても非常に強力な存在です。
実際、中国国内では既に多くのクリニックが、Tmall Globalを通じて医療製品や美容商品を販売し、同時に医療サービスの集客を行っています。
そんなTmall Globalが、訪日中国人旅行者向け「医療ツーリズム」事業を開始したと、2023年8月末に発表がありました。
第1弾は「健康検診」で、第2段階としては美容医療分野、その後は、中国人消費者の海外先進医療に関するニーズに対応していくとのことです。
実際に、Tmall Globalのサイトを見ると、既に美容医療分野のサービスの掲載が行われています。
【Tmall Globalのサイト】
未だ購入者はいないようですが、今後、医療観光・インバウンドビジネスのプラットフォームとして、大きな存在になることは間違いないでしょう。
最後に
以上、小紅書(RED)・中国版TikTok抖音(Douyin)を活用した医療観光・インバウンド集客のクリニック事例3選について、解説しました。
弊社は現在、中国版TikTok抖音(Douyin)・小紅書(RED)を活用した中国SNSの運用代行や、中国への越境ECの支援などのサービスを展開しております。
ぜひご気軽にご相談ください。
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