ラーメン屋などの飲食店の中には、日本市場だけにとどまらず、世界へ出店し、活躍するブランド店が増えてきました。
一方で、資金や人材リソースに限りがある中小企業にとって、海外に出店したくても、難しい面があるのが現実です。
ところが、現在、大衆点評という口コミサイトを活用することで、日本にいながら中国市場に直接アプローチしている中小企業の成功事例が出てきています。
この記事では、大衆点評とは何か、そして代理店の役割と具体的なサービス等について、紹介していきます。
日本にいながら中国市場に直接アプローチできる大衆点評
大衆点評とは
大衆点評とは、中国最大の口コミサイトを指します。
中国版の「食べログ」や「トリップアドバイザー」と言われることもあります
ところが、正確に言うと、大衆点評は食べログとは異なり、飲食店、デリバリー、ショッピング、旅行、エンタメなど幅広い生活サービスの情報を扱っているのが特徴です。
中国人口の半分に相当する6億人が登録しており、日本旅行に来る中国人の半数が利用しているという調査結果もあるほど、大衆点評は中国で大きく普及しています。
大衆点評の人気の秘密
大衆点評は、なぜこれほど中国で大きく普及しているのでしょうか?
普及の秘密は、「大衆の口コミ(点評)」について、簡単に見ることができるためです。
中国現地では、大衆点評を見れば、どのお店が良いかどうかが一目瞭然なのです。
しかも、大衆点評の口コミ評価は、大きく外れることはなく、概ね当たっています。
国立病院でさえも、評価の対象であり、以前ほど完全にオープンではないものの、見方が分かれば、いい病院かどうかの判別が簡単にできます。
中国では歴史上で大きな組織などに裏切られてきた過去があり、企業広告や有名人によるコマーシャルは信じない傾向があります。
一方で、口コミや友人・家族の勧めなどを重視します。
大衆点評では、スマートフォンを使って検索すれば、口コミを見ることができるため、飲食店やショッピング、旅行などで重宝されているのです。
また、大衆点評アプリ自体が非常につかいやすいという面も、大きく普及した要因です。
実際に、大衆点評アプリを使ってみると、グルメ(飲食店)を検索したい場合には、スマートフォン内蔵のGPSによる位置情報検索により、周辺の飲食店の名称やその評価・口コミを確認できます。
特に何か複雑なことを設定しなくても、簡単に近くの評価の高いお店や、自分の好みに合ったお店をすぐに見つけることができるのです。
初めてアプリを利用する中国人にとって、簡単な操作で使えるため、大衆点評アプリは人気があるのです。
大衆点評を活用すれば日本にいながら中国市場に直接アプローチできる
飲食店などのブランド店では、「日本市場で成功後は海外に出店」というのがセオリー化しています。
実際、一風堂や味千、イオンなどは、日本市場で成功後に海外へ出店しており、その典型例と言えるでしょう。
ところが、海外のビジネスは日本国内とは異なり、その難易度は非常に高いです。
直近では、福島の処理水の影響が大きく、中国国内における日本飲食店への客足は途絶え、厳しい環境で経営を続けているお店が増えています。
さらに、中小企業であれば、資金や人材のリソース面で厳しい会社も多く、海外市場を狙いたくても狙えないというのが現実です。
ここで、中国で普及している大衆点評を活用すれば、海外現地に行かずとも、中国市場に直接アプローチが可能です。
直接中国現地で店舗を構えなくても、中国消費者自身が大衆点評でお店を検索し、来日して実際にお店へ来てくれるデジタル時代が既に到来しています。
特にコロナが収束し、インバウンドビジネスが普及してきた現在、大衆点評が再注目されています。
大衆点評は無料でお店登録ができる!?
では、日本の飲食店は、どのように大衆点評を活用すればよいのでしょうか?
実は、大衆点評は基本的な中国語さえ理解できれば、すぐに活用可能です。
まず、大衆点評アプリをスマートフォンにダウンロードします。
電話番号登録などを行うと、大衆点評アプリを簡単に使えます。
次に、下記画面のように、ホーム画面右上の「・・・」をタップすると、「添加商户」と表示されます。
【ホーム画面の右上の「・・・」の下に「添加商户」と表示される】
「添加商户」はお店を追加するという意味ですので、その「添加商户」をタップします。
すると、下記のような画面に変わります。
【登録したいお店の情報入力画面】
登録したいお店の情報入力画面で、店構えや店内がわかる写真を添付し、お店名、住所、分類などを入力します。
その後に、「提交(日本語:提出)」をタップすれば、お店の登録が完了します。
お店の登録自体はこれで完了するのですが、残念ながら、集客は難しいです。
なぜなら、無料版で登録できる画面と、有料版とでは大きな差があるためです。
ちなみに、下記画面が、大衆点評の無料版と有料版を比較した図です。
【大衆点評の無料版と有料版の画面比較、JCC(JC Connect株式会社)のHPより抜粋】
明らかに有料版の画面の方が、このお店に入りたいと中国人に思われるであろうことは、一目瞭然でしょう。
大衆点評の日本代理店
日本国内の代理店は3つしかない
それでは、大衆点評の有料版を使う場合には、どうしたらよいでしょうか?
結論から言えば、大衆点評の日本国内代理店へ問い合わせる必要があります。
2024年4月時点で、日本国内の大衆点評代理店は、以下の3社です。
- Japan ticket(株式会社Japanticket)
- JCC(JC Connect株式会社)
- mov(株式会社mov)
これらの3社が、大衆点評の正規代理店であり、日本国内にある店舗が有料版大衆点評を活用したいのであれば、上記の会社へ連絡する必要があります。
2023年11月以降、追加されている大衆点評の正規代理店はおらず、しばらくの間、この3社が代理店であることは固いでしょう。
Japan ticket(株式会社Japanticket)
Japan ticket(株式会社Japanticket)は、eチケット管理システム「Japan ticket」の企画・開発・販売やインバウンド集客支援をメインとする会社です。
インバウンドビジネスでは、大衆点評だけでなく、中国の旅行口コミサイトである馬蜂窩や、世界最大級のオンライン旅行サイトであるCtripとも提携しています。
Japan ticket(株式会社Japanticket)の大きな特徴としては、Japanticket自身がクーポンサービス集客を代行してくれるため、手間をかけずにクーポンを使った訪日外国人観光客の集客が可能になることです。
訪日外国人観光客の87%を占めている旅行エリアに対して、一括でクーポンを掲載することができ、インバウンドビジネスでは一定の評価を得ています。
下記がJapan ticket(株式会社Japanticket)の公式サイトですので、興味がある方はご覧ください。
会社概要|【公式】Japanticket
JCC(JC Connect株式会社)
JCC(JC Connect株式会社)は、Weibo(微博)やWechat(微信)などの中国最大のソーシャルメディアを活用し、企業の中国進出をサポートしている会社です。
2010年からWeibo(微博)の公式アカウント申請代行事業を開始し、2018年と2019年には「大衆点評最優秀代理店」にも選ばれています。
さらに、ビックカメラ、伊勢丹、はなの舞、串カツ田中など支援実績企業は2500社を超え、実績が豊富です。
親会社の親会社は、株式会社ビジョンというITの上場会社でもあるため、信頼性の高い会社と言えるでしょう。
下記がJCC(JC Connect株式会社)の公式サイトですので、興味がある方はご覧ください。
会社情報|JC Connect 株式会社 (jc-connect.co.jp)
mov(株式会社mov)
mov(株式会社mov)は、店舗向けAIサービス「口コミコム」や国内最大級インバウンド総合メディア「訪日ラボ」を運営する会社です。
訪日ラボは、インバウンドビジネスに関する詳細な情報を日々発信しているメディアです。
インバウンドビジネスに関わっている方であれば、一度は訪問したことがあるでしょう。
2023年10月31日に、「大衆点評」と公式パートナー契約を締結しており、3社の代理店の中では新規参加企業です。
2024年2月7日には、mov(株式会社mov)は、美団・大衆点評の影響力を伸ばすことに貢献したパートナーに授与される賞である「年度最佳平台推广奖(最優秀プラットフォームプロモーション賞)」を獲得しており、最近評価が高まっています。
下記がmov(株式会社mov)の公式サイトですので、興味のある方はご覧ください。
会社情報 | 株式会社mov(mov inc.)
大衆点評の代理店でのサービスと料金体系
初期登録サービス
大衆点評の魅力と日本代理店が分かったところで、大衆点評の代理店でのサービスと料金体系を見ていきましょう。
大衆点評の代理店でのサービスや価格体は、3社それぞれ提示されてはいますが、その内容は似ています。
ここでは、JCC(JC Connect株式会社)を例に挙げて、紹介していきたいと思います。
まず、サービスと料金体制は、主に初期登録サービス、基本サービス、広告プロモーション、掲載サポートに分類されています。
初期登録サービスとは、大衆点評における店舗公式ページ作成や翻訳、ページ作成のアドバイスを指します。
料金は税抜30,000円で、1年後は更新料として税抜10,000円/1年間が発生します。
「大衆点評の無料版と有料版を比較した図」で示した通り、有料版での見栄えは、無料版とは比較にならないほど良いです。
店内の雰囲気と同様に、ページの見栄えだけで、来店率は大きく変わります。
店内画像や店舗紹介文章などを代理店へ送るのみで、見栄えの良い公式ページを中国語で作成できますので、税抜30,000円という価格は破格とも言えるでしょう。
基本サービスと広告プロモーション
次に、基本サービスとは、大衆点評の管理画面やデータ分析画面の閲覧、広告の初期設定サポート、広告プロモーションを指します。
料金は、ライトプランが税抜30,000円/月額、ベーシックプランが税抜42,000円/月額、VIPプランが税抜65,000円/月額です。
各プランの違いは、広告プロモーションの広告チャージ金額です。
ライトプランなら100,000円相当、ベーシックプラン200,000円相当、VIPプランなら400,000円相当の広告チャージ金額が各プランに含まれています。
低予算でまずは公式ページ化したいのであればライトプラン、予算を抑えつつ効率的に集客したいのであればベーシックプラン、店舗情報を充実中長期で集客を希望ならVIPプランが選ばれています。
【大衆点評の代理店でのサービスと料金体系、JCC(JC Connect株式会社)HPより】
年額プランにすると、月額プランよりも約1割ほど割安になります。
一方で、最初の数カ月は様子見でライトプランで利用し、コツがつかめたのちに、ベーシックプランやVIPプランへ変更することを検討しても良いでしょう。
掲載サポート
掲載サポートについて、大衆点評の一部代行や口コミマーケティングの相談を指します。
具体的には、3ヶ月毎の詳細レポート発行、店舗ページ編集代行(翻訳込み)、広告運用代行、口コミ対応のご相談・推進ツールの提供が含まれます。
料金は、月額税抜6,000円/年間税抜72,000円です。
大衆点評システムの使い方が分からない方や、中国マーケティングに慣れていない方は、利用するとよいでしょう。
大衆点評を活用した成功事例
最後に、大衆点評を活用した成功事例を紹介したいと思います。
今回紹介する成功事例は、四川火鍋の店舗である天丹(銀座本店)です。
天丹(銀座本店)は、大衆点評を活用することで、東京銀座における火鍋店ランキングで第3位になるほどの人気店です。
【四川火鍋の店舗である天丹(銀座本店)の大衆点評公式ページ】
以前から中国人の顧客がいましたが、大衆点評上の店舗公式ページの見栄えを良くし、正しい詳細の情報を追加することで、店舗自体や特徴などをより多くの人に知ってもらえるきっかけになりました。
結果として、大衆点評上で店舗を調べて来店を決める顧客が大きく増えました。
特に、近年では観光客の来店が増えており、観光客を中心として大衆点評で検索されることにより、来店のきっかけになっています。
JCC(JC Connect株式会社)のHPからも顧客の評価が詳細に記載されており、大きな効果があったというコメントを見ることができます。
大衆点評の導入時期が早く先行者利益があったとも言えますが、JCC(JC Connect株式会社)の運用ノウハウがうまく活かされている成功事例です。
下記のページで天丹(銀座本店)の大衆点評導入事例紹介が記載されていますので、ご興味ある方はご覧ください。
四川火鍋 天丹(銀座本店) 大衆点評 成功導入事例|JC Connect 株式会社(美団点評の日本総代理店) (dianping-jcc.jp)
最後に
以上、大衆点評とは何か、そしてその代理店役割と具体的なサービス等について、解説しました。
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