現在、人気のある観光地や飲食店などに行くと、必ずと言ってよいほど中国人観光客がいます。
成功しているレストランやお店は、日本人だけでなく、中国人含む外国人観光客をうまく呼び込んでいるのです。
そして、中国人観光客の呼び込みに成功しているお店やブランドは、漏れなく中国向けSNSインバウンドマーケティングが上手です。
この記事では、中国向けSNSインバウンドマーケティングの秘訣について、紹介していきます。
中国向けSNSインバウンドマーケティングの秘訣
中国SNSプラットフォームでの存在感
中国向けSNSインバウンドマーケティングの秘訣として、主に4つ挙げることができます。
- 中国SNSプラットフォームでの存在感
- 文化や好みに合ったコンテンツ提供
- インフルエンサーマーケティングの活用
- 定期的かつ質の高いコンテンツ提供
まず、中国向けSNSインバウンドマーケティングで成功しているブランドは、SNSプラットフォームで一定の存在感があります。
例えば、マツモトキヨシやドン・キホーテは、中国に実店舗がないのにかかわらず、中国SNSプラットフォームで一定の地位を築いており、インバウンドビジネスで成功しています。
マツモトキヨシの微博(Weibo)アカウントでは、フォロワーが約18万人もおり、非常に盛り上がっています。
文化や好みに合ったコンテンツ提供
次に、中国インバウンドに成功している企業では、中国文化や好みに合ったコンテンツを提供している点も大きな特徴です。
また、コンテンツ提供には、WeChat公式アカウントがよく使われています。
WeChat公式アカウントを活用し、最新の商品情報やキャンペーンを中国の消費者に提供しています。
WeChat上でのコンテンツ提供に関しては、主に2つの方法があります。
その2つの方法とは、サブスクリプション(購読)アカウント【中国語:訂閲号】とサービスアカウント【中国語:服務号】を使った情報発信です。
サブスクリプション(購読)アカウントは、1日1回の配信が可能です。
一方、サービスアカウントは、月に4回までの配信しかできないのですが、ユーザーとのコミュニケーションが可能で、多くのブランドや企業で使われています。
さらに、サブスクリプション(購読)アカウントは専用の「購読フォルダ」にメッセージが届く仕組みですが、サービスアカウントは、通常のチャット画面と同じ場所に配信内容を表示されます。
そのため、サービスアカウントのメッセージの開封率が高く、サブスクリプション(購読)アカウントの開封率は低い傾向があります。
【ドン・キホーテのサービスアカウント】
なお、中国に現地法人がなく、日本法人として登録する場合は、現時点の運用ではサービスアカウントのみ利用可能です。
詳細は、下記の記事でも紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
WeChat(微信)企業版の魅力とは?ビジネスに活かすためのポイント | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
インフルエンサーマーケティングの活用
3つ目のポイントとして、中国向けSNSインバウンドに成功している企業では、インフルエンサーマーケティングをうまく活用しています。
中国向けSNSインバウンドマーケティングを行う場合、インフルエンサーの活用が非常に大事になります。
インフルエンサーの中国ビジネスへの影響は、日本と比較にならないほど、非常に大きいためです。
実際、中国においては、インフルエンサーを活用したマーケティングがすでに主流になっています。
その背景には、中国消費者は大きな組織による裏切りを経験してきた過去があり、会社やブランド自身による広告は信じていません。
結果として、組織に起用されている有名人よりも、一般庶民に近いインフルエンサーの情報の方が信頼性できると考えているのです。
そのため、中国では、知名度の高い有名人やトップインフルエンサーを使い、会社公認のアンバサダーとして広告を行う方式は、あまり採用されていません。
特に、最近ではミドル級のインフルエンサーの方が、中国消費者向けの影響力は高いです。
定期的かつ質の高いコンテンツ提供
最後に、中国向けSNSインバウンドマーケティングの秘訣として、ユーザーの関心を維持するために、定期的かつ質の高いコンテンツ提供も重要です。
仮に一度の投稿でバズっても、継続的に面白い投稿をしなければ、中国消費者は離れていってしまいます。
また、実際に成功しているように見えるブランドでも、一度の投稿だけでは成功していません。
投稿を続けながら、毎回ユーザーの反応などを細かく分析し、次の投稿をどうしたらよいかを考え続けているのです。
さらに、中国SNSでは、流行っているワードやトレンドもあります。
トレンドをうまくつかむことで、同じ内容であっても、バズる投稿は作りやすくなります。
どのような場所、タイミング、表現、キーワードを使ってコンテンツ提供したらよいかを意識し、継続して分析していくことが大事です。
中国人観光客の行動心理を理解しよう
中国SNSが日本旅行で最もよく見られる情報源
最近では、中国人観光客にとって、SNSが最もメジャーな情報源になっています。
JNTO(Japan National Tourism Organization、⽇本政府観光局)の訪日旅行データハンドブック2023年度版によれば、中国人が訪日で最も役立った旅行情報源はSNSでした。
【中国人が訪日で最も役立った旅行情報源、訪日旅行データハンドブック2023年度版より】
注目すべきは、2015年から2019年にかけて、役立った情報源として評価が高まっていることです。
上の図表では、2015年が灰色で最下段、2019年が赤色で最上段ですが、年を追うごとに、評価が高まっています。
日本政府観光ホームページやガイドブックなどは、年を追うごとに評価が下がっています。
そして、年々評価が高まっているのは、SNSだけです。
ちなみに、もう一つ面白いデータがあります。
それは、中国SNSにある決済機能が、訪日観光でよく使われるようになっていることです。
訪日中国人が利用した決済方法として、WeChat Pay(微信支付)やAlipay(支付宝)が第2位にランクインしています。
【訪日中国人が利用した決済方法、訪日旅行データハンドブック2023年度版より】
第1位は現金ですが、そもそも現金しか使えないお店も多いことから、訪日中国人がやむを得ず使っている面があります。
実際に、マツモトキヨシなどの訪日中国人に人気なお店のレジに行くと、大部分の中国人観光客はWeChat Pay(微信支付)を使っていることに気づきます。
中国SNSにある決済機能が、実質的に最も人気があると言えるでしょう。
旅行でよく使われるSNS
SNSの威力がわかったところで、中国消費者が旅行でよく使われる中国SNSについて、紹介しましょう。
- 微信(WeChat)
- 中国版TikTok抖音(Douyin)
- 快手(Kuaishou)
- 微博(Weibo)
- 小紅書(RED)
- bilibili(ビリビリ)
微信(WeChat)は、中国で最もよく使われているメッセンジャーアプリで、中国版LINEとも呼ばれることがあります。
LINEのようにメッセンジャーアプリとして使われているだけでなく、お財布機能として、WeChat Pay(微信支付)があり、日本でも有名になっているアリペイに次ぐ決済アプリとして有名です。
アリペイを普段使わず、WeChat Pay(微信支付)のみ使う中国人もいるため、中国人観光客向けのインバウンドビジネスでは、今では必須の対策ツールと言えます。
中国版TikTok抖音(Douyin)は、中国ではすでに10億人が使っている動画SNSアプリで、ショート動画プラットフォームではNo.1です。
また、日本人が普段使っているTikTokは国際版であり、中国大陸版とは厳密には異なる点に注意が必要です。
詳細は、こちらの記事でご案内していますので、ご興味がございましたら、ご覧ください。
中国版TikTok抖音(Douyin)の使い方完全ガイド:登録方法から使い方まで | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
さらに、中国国内では、広告として最もよくつかわれているSNSであり、Quest Mobile(インターネット専門の中国大手市場調査会社)の最新調査によれば、2022年1~10月における中国インターネット広告収入占有率で、ランキングNo.1は中国版TikTok抖音(Douyin)でした。
プロモーション効果の観点から、最も評価されているSNSであり、インバンドビジネスでも、今後、活用価値が増していくと考えられています。
快手(Kuaishou)は、中国版TikTok抖音(Douyin)に次ぐ、中国で人気のあるショート動画SNSです。
快手(Kuaishou)の月間のアクティブユーザー数は、10億人を超えるとも言われています。
さらに、中国版TikTok抖音(Douyin)と異なり、中国地方都市や農村部に住むユーザーが多いのも特徴のひとつです。
微博(Weibo)は、140文字以内を基本文字数として「つぶやき」を発信するSNSであり、中国版Twitter「X」と呼ばれることがあります。
月間のアクティブユーザー6億人がおり、多くの中国人に使われているSNSのひとつです。
プロモーションとしては、最近では新商品発表や告知として使われることが多くなっており、より多くの中国人に幅広くお知らせしたいときに活用されています。
小紅書(RED)は、インスタグラムのような写真投稿機能があり、中国版インスタグラムとも呼ばれています。
小紅書(RED)上で、投稿した内容に関する商品を購入することができる機能も備わっています。
ユーザー数は3億人を超えており、中国の若い女性がメインユーザーで、美容関連の情報が多いのが特徴です。
インバンドビジネスでも非常に注目されており、中国の若い女性が良く使っているアプリということで、実際に日本のスイーツのお店なども多く紹介されています。
bilibili(ビリビリ)は、中国で最も若者を魅了する動画共有SNSのひとつで、中国版YouTubeとも呼ばれています。
哔哩哔哩のメインユーザーは、1990年代後半以降に生まれた世代、いわゆるZ世代です。
ほとんどのZ世代が属する25歳以下のユーザー割合の高さは、中国の各動画プラットフォーム中で、哔哩哔哩がNo.1です。
また、中国版TikTok抖音(Douyin)とは異なり、長尺の動画にも対応していますので、短い動画では魅力が伝わりにくい観光スポットや商品のプロモーションに向いていると言えます。
効果的な中国向けSNSインバウンドマーケティング
中国SNSインバウンドマーケティングの戦略
中国向けインバウンドマーケティングにおいては、中国SNSが重要であることが分かったと思います。
ここでは、中国SNSを使った効果的なマーケティング戦略について、紹介しましょう。
まず、訪日インバウンドのマーケティングでは、旅マエ、旅ナカ、旅アトというフェーズに分けて考える必要があります。
旅マエとは訪日観光客が日本に行ったら何をするかを検討するフェーズ、旅ナカとは訪日観光を楽しんでいるフェーズ、旅アトとは訪日観光が終わり余韻に浸るフェーズを指します。
さらに、旅マエには、プレ旅マエという、海外旅行することが決まっているが、どこの国に行くのかを決めるフェーズがあります。
それぞれのフェーズで、どのように中国観光客にアプローチして、どのようなプロモーションを行うかを明確に定め、マーケティングを行うことが大事です。
また、前述したように、各中国SNSで、年齢層や男女比率、中国都市部なのか農村部のユーザーが多いかなどが全く異なります。
どのような中国観光客にアプローチしたいのか、ターゲット層を明確に決めた上で、中国SNS選びを慎重に行う必要があります。
中国向けSNSインバウンドマーケティングの成功事例
中国向けSNSインバウンドマーケティングの成功事例を紹介したいと思います。
マツモトキヨシは、中国向けSNSインバウンドマーケティングで成功している代表的な会社です。
まず、マツモトキヨシは、旅マエにおいて、微博(Weibo)での割引告知、微信(WeChat)の公式アカウントを運用し、中国人へ向けた情報を発信しています。
【左側が微信(WeChat)、右側が微博(Weibo)の公式アカウント】
旅ナカでは、店内での中国語でポップや中国語対応可能なスタッフをそろえ、中国観光客がお店で不自由なく買い物ができるよう工夫されています。
店内では、免税処理対応もスムーズで、アリペイの他、WeChat Pay(微信支付)も利用でき、中国観光客にとって、至れり尽くせりの環境です。
また、マツモトキヨシの店内では、無料でWi-Fiが使えます。
訪日中国人は中国にいる家族や友達のために、大量に買い物をします。
そして、微信(WeChat)のビデオ通話を利用して、家族と買い物を楽しむため、訪日中国人にとってWi-Fiは必須のインフラです。
マツモトキヨシは、このニーズをいち早く理解しており、Wi-Fiが無料で簡単に利用できるようになっているのです。
旅アトでも、継続的に関係を維持できるよう、微信(WeChat)の公式アカウントなどへの誘導もきちんと行われています。
例えば、微博(Weibo)や微信(WeChat)の公式アカウントでフォロワーになると、追加割引を行うというキャンペーンを行っています。
中国観光客が中国に帰った後でも、プロモーションの通知を受け取り、越境ECサイトで気軽に買い物ができるようになっているのです。
実際、微信(WeChat)の公式アカウントを見ると、定期的に動画なども更新しており、中国人が買いたくなる仕組みが構築されていることがわかります。
さらに、越境ECで良く購入される商品やコメントなどを分析し、日本の実店舗の品ぞろえやキャンペーン企画の際に活用するなど、ECコマースと実店舗運用によるシナジー効果も出ています。
最後に
以上、中国向けSNSインバウンドマーケティングの秘訣について、解説しました。
弊社は、日本と世界を更に近づけるために、訪日外国人向けのインバウンド事業や、日本製品を海外に展開するアウトバウンド事業を展開しています。
インバウンド事業においては、訪日外国人の富裕層やVIP向けに豊富なコンテンツを全てオーダーメイドで企画・制作からサポートしております。
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