中国インフルエンサーを活用して、商品やサービスを中国消費者に届けたい、というニーズは日に日に高まっています。
一方で、中国インフルエンサーをどのように見つけたらいいのかわからない、インフルエンサーとの交渉はどのように行えばいいのかなど、手探りで調査している中小企業も多いです。
ここで活用されるのが、中国インフルエンサーキャスティングサービスです。
この記事では、中国インフルエンサーキャスティングサービスの内容、そして活用する際の注意点などについて、紹介していきます。
中国インフルエンサーキャスティングサービスが活用される背景
中国インフルエンサーキャスティングサービスとは
中国インフルエンサーキャスティングサービスとは、中国インフルエンサーのリストアップから手配、投稿管理まで代行してくれるサービスを指します。
インフルエンサーによるマーケティングは、中国においてプロモーション効果が最も高いと言われています。
単なる有名人による広告や派手なテレビコマーシャルでは、話題にはなったとしても、なかなか消費に結びつくことは難しいです。
一方、一般消費者に近いインフルエンサーによる投稿は、口コミ効果も相まって、直接的に消費やブランド形成に結びつきます。
今や、中国市場におけるインフルエンサーマーケティングは、ブランディングや中国ビジネスの成功において必要不可欠と言えるでしょう。
そんな重要性が増すインフルエンサーマーケティングにおいては、インフルエンサーとのコンタクトが必須ですが、多くの企業やブランドではノウハウや経験がありません。
ここで、中国インフルエンサーを代行でキャスティングしてくれるサービスが注目されているのです。
インフルエンサーマーケティングの特徴
中国インフルエンサーキャスティングのサービスを理解する前に、インフルエンサーマーケティングの特徴を簡単におさえておきましょう。
日本でもインフルエンサーの活躍が目立っていますが、インフルエンサーの特徴は、以下の3つです。
- 専門性
- 相互作用性
- 影響力
専門性
1つ目の特徴は、インフルエンサー自身の専門性です。
中国インフルエンサーは、美容や食、旅行など専門性を持っています。
そして、そのインフルエンサーのフォロワーは、インフルエンサーの専門的な意見や独自の考え方などを聞きたいと思い、フォローしています。
例えば、中国インフルエンサーを活用し、中国市場に対して、美容商品を販売したいとしましょう。
美容専門の中国インフルエンサーとコラボすれば、その美容系インフルエンサーをフォローしている中国消費者に直接プロモーションすることができるのです。
相互作用性
2つ目の特徴は、相互作用性です。
中国インフルエンサーは、中国ソーシャルメディア上のコメントで丁寧に対応していることが多いです。
特に、フォロワーに対しては、非常に丁寧に対応します。
例えば、商品を使った感想など、フォロワーから質問が来た場合は、そのインフルエンサーは詳細に回答します。
さらに、そのコメントは、他のフォロワーや一般消費者からも閲覧されます。
テレビコマーシャルのような決まりきったセリフではなく、自然な会話の中で商品が紹介れているような感覚で、商品のプロモーションができるようになるのです。
影響力
3つ目の特徴は、影響力です。
中国インフルエンサーによる影響力は、日に日に大きくなっています。
中国インフルエンサー市場の成長率は、中国広告市場の成長率を大きく上回っており、中国インフルエンサーが広告業界を引っ張っていっているのが現状です。
それほど、中国インフルエンサーの影響力は大きくなっています。
中国では口コミが最も重宝されている
中国インフルエンサーの影響力が大きくなっている背景には、中国市場で口コミが最も重宝されていることが挙げられます。
中国では、歴史背景も関係しており、大きな組織や有名人による広告を信頼していません。
特に、20~30代の若い中国の女性は、気になる化粧品などがあれば、最初から商品ページや広告ページを見ることはほとんどありません。
小紅書(RED)などのサイトで口コミを検索し、実際に購入した人のコメントや評価などを見るのです。
また、最近では口コミを活用したインフルエンサーマーケティングにおいて、新たな動きがあります。
スターのような存在になりつつあるトップインフルエンサーによる投稿の人気は低くなってきており、一般消費者に近いミドル級のインフルエンサーの方が人気があります。
【ミドル以下のKOLによる販売力が増している、云霄县灵能网络工作室より】
例えば、2020年のミドル級インフルエンサーのライブ販売額は全体の20%でしたが、2023年では全体の86.5%を占めるようになりました。
あくまで一般消費者による評価を大事にしている中国の消費者心理が垣間見えます。
中国インフルエンサーキャスティングサービスの活用手順
中国市場調査
中国インフルエンサーマーケティングの重要性が分かったところで、中国インフルエンサーキャスティングサービスの活用手順について、説明しますね。
まず、活用手順は、主に3ステップです。
1、市場調査
2、プロモーション手法の選択
3、中国インフルエンサーキャスティング
大事なことは、すぐに中国インフルエンサーキャスティングサービスを選択するまでに検討すべきことがあることです。
まず、自社商品に関する中国市場の状況を理解したうえで、様々なプロモーションを比較検討します。
最後に、中国インフルエンサーを活用したプロモーションが最適と判断した場合に、初めて中国インフルエンサーキャスティングサービスを受けるという手順を踏むことが大切なのです。
中国市場調査においては、中国全体市場の把握、自社商品・サービスを取り巻く市場や規制、年齢別・地域別の趣向などの調査を行います。
商品やサービスによって、調査対象や調査項目は異なりますが、中国市場全体を把握することで、何をすべきなのか、どんな戦略が必要になってくるのかが見えてきます。
プロモーション手法の選択
次に、プロモーション手法の選択について、日本と同様、中国には様々なプロモーション手段があります。
例えば、テレビ広告、インターネット広告、モール内外のスクリーン広告、エレベーター内のスクリーン広告、ソーシャルメディア広告などがあります。
さらに、中国ソーシャルメディア広告では、中国の若い女性をターゲットにしたいなら小紅書(RED)、Z世代を狙いたいなら哔哩哔哩(bilibili)など、様々な選択肢があります。
中国ソーシャルメディアについては、下記記事で紹介していますので、興味がある方はご覧ください。
中国SNS一覧:最も人気のあるプラットフォームを徹底解説 | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
市場調査の結果や自社戦略なども踏まえて、多くあるプロモーション手法やプラットフォームの中から、どれが最も適切なのかを検討します。
中国インフルエンサーキャスティング
数あるプロモーション手段の中で、中国インフルエンサーを活用したプロモーションが最適と判断したとしましょう。
ここではじめて中国インフルエンサーキャスティングが必要ですが、キャスティングする方法は主に二種類あります。
それは自社でキャスティングする方法と、外部に委託する方法です。
自社でキャスティングする方法は、主にマッチングサイトで見つける方法や、インフルエンサー一人一人に問い合わせる、あるいは関係者からの紹介を受ける方法などがあります。
自社でキャスティングする場合は、コツと経験が必要で、また多くの時間がかかります。
中国インフルエンサーとの交渉も難しく、多くの時間をかけたとしても、最後のクロージングでうまくいかず、すべてが台無しになることも多いです。
自社でキャスティングする場合、費用は抑えることができるかもしれませんが、相当な時間と労力がかかるでしょう。
初めてインフルエンサーマーケティングを行う場合や、時間をかけずに行う場合に、採用される方法が外部に委託する方法です。
このときはじめて、外部の中国インフルエンサーキャスティングサービスの活用を検討するのです。
中国インフルエンサーキャスティングサービスの内容としては、中国インフルエンサー手配から投稿管理、結果報告まで行うのが一般的です。
予算や社内中国人材を活用したいという面などから、中国インフルエンサーのリストアップのみの対応も可能です。
ところが、外部に委託したからと言って、すべて安心というわけではありません。
中国インフルエンサーキャスティングサービスを提供する会社の中には、ブランディング戦略の理解が甘い業者もいます。
結果として、自社商品やサービスとインフルエンサーの親和性を無視して、ひたすらフォロワー数の多いインフルエンサーを勧めてくるのです。
また、そのフォロワー数も水増しされており(インフルエンサーがフォロワーを購入している)、インフルエンサーの報酬の割に、効果が全くなかったというケースもあります。
外部に委託する場合は、担当者が自社のブランディング戦略を理解しているか、自社商品・サービスとインフルエンサーの親和性を大事にし、プロモーション効果を最大になるようにしてくれているかについて、しっかりチェックしましょう。
中国インフルエンサーマーケティングの位置づけと成功事例
ブランディング戦略上での起爆剤に過ぎない
中国インフルエンサーキャスティングサービスの活用方法がわかったところで、中国インフルエンサーマーケティングの位置づけについて、理解を深めたいと思います。
中国インフルエンサーマーケティングの効果が大きくはなっていますが、あくまでブランディング戦略上での起爆剤に過ぎないことを覚えておきましょう。
インフルエンサーの費用は中小企業にとって小さな金額ではないです。
多くの成功しているブランドでは、認知度向上あるいは一定程度ブランディングできた後は、自社サイトの充実化などに注力します。
インフルエンサーの活用を0にするわけでありませんが、あまりインフルエンサーに依存しすぎない体制構築をしているのです。
また、中国インフルエンサーマーケティングの目的を明確にしておくことも大切です。
例えば、認知度アップ、直接商品・サービス販売につなげたい、口コミ効果の威力を検証してみたいなど、目的は様々です。
目的が明確になれば、どんな中国インフルエンサーをキャスティングすればよいかなども明らかになり、目的達成の成功確率も格段に上がります。
成功事例‐PROYA
最後に、インフルエンサーキャスティングの成功事例を紹介したいと思います。
会社の事業戦略~ブランディング戦略の視点で、インフルエンサーをどのように活用したらよいのかについて、参考になる成功事例です。
その成功事例は、中国化粧品ブランドのPROYA(珀莱雅)です。
PROYAは、海洋成分の配合を強みにしたスキンケアシリーズを扱っている化粧品ブランドです。
2003年にブランドを立ち上げ、上海上場会社となり、大きく成長しています。
その急成長した一つの要因が、大单品策略(日本語:一商品集中戦略)です。
実は、当初のPROYAは、中国内陸部などの地方都市を中心に、低価格販売戦略を採用していました。
上海や北京などの経済的に発展した中国沿岸部では、中国国内外の一流ブランドが市場を占拠しており、攻めることが全くできなかったのです。
ところが、2017年ごろに、売上の頭打ちにあったことをきっかけに、中国市場を再度見直します。
具体的には、中国経済全体のトレンド、中国における消費者年齢別のニーズ分析などを行いました。
ニーズ分析の内容は、調査対象の中国消費者へ好きな色を含めたヒアリングを行うなど徹底した調査でした。
次に、どの販売プラットフォームやソーシャルメディアに、どの年齢・どんな趣向を持った消費者が所属しているかを調査します。
そして、「1商品に集中してターゲットとする消費者へ訴求を行う」という戦略が、中国市場攻略において最適だと決断します。
具体的には、例えば、「成分党」と呼ばれる化粧品成分に敏感なZ世帯に対しては、化粧品成分を重視したブランドであることを前面に押し出した一商品に集中して、プロモーションを行いました。
さらに、口コミの信用度が異常に高い中国Z世代に対して、直接的なプロモーションは行わず、微博(Weibo)、中国版TikTok抖音(Douyin)、小紅書(RED)などで活躍するインフルエンサーを通じた口コミマーケティングを行います。
中国インフルエンサーキャスティングをする際は、単に知名度が高いインフルエンサーを起用するのではなく、ブランド・商品との親和性、どのくらい一般消費者に近い存在かなどをポイントにキャスティングします。
結果として、トップインフルエンサーではなく、ミドル級以下のインフルエンサーに依頼していました。
【朝はビタミンC、夜はビタミンA配合の化粧水が大ヒット、小紅書(RED)より】
また、フォロワー層が重複しないように、幅広いジャンルの中国インフルエンサーもキャスティングしていたのです。
2023年度11月11日の独身の日セールでは、前年比300%の売上高を達成するほど、急成長を遂げました。
最後に
以上、中国インフルエンサーキャスティングサービスの内容、そして活用する際の注意点などについて、解説しました。
弊社は現在、中国版TikTok抖音(Douyin)・小紅書(RED)を活用した中国SNSの運用代行や、中国への越境ECの支援などのサービスを展開しております。
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