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インバウンド中国人観光客の行動傾向:旅行先での関心事と何を見ているのか?

インバウンドビジネスが盛り上がっている今、中国人の観光客も増え続けています。

日本向けの渡航制限解除が最も遅かった中国政策が影響し、つい先日まで中国人観光客はほとんど来ていない状況でした。

ところが、最近になってようやく中国人の観光客数は徐々に増えています。

また、中国人観光客はインバウンドビジネスしている企業にとっては、お金をたくさん払ってくれる優良顧客でもあります。

この記事では、中国人観光客の行動傾向、旅行先人気ランキング、集客成功事例などについて、紹介していきます。

目次

中国人観光客の行動傾向

中国人観光客はどのくらい日本に来ているのか

中国人観光客の行動傾向を見る前に、そもそも中国人観光客はどのくらい日本に来ているのか見てみましょう。

⽇本政府観光局(Japan National Tourism Organization)の速報値によれば、2023年7月の中国人観光客の訪日外客数は313,300人でした。

これは2020年1月以降で最高記録の来訪人数であり、直近数か月だけ見ても、前月比概ね150%増しで伸び続けています。

【2023年1月~直近までの訪日観光客数の推移、⽇本政府観光局より(赤が中国、青が全国籍、左軸は人数)】

ところが、コロナ前である2019年と比較すると、回復の度合いが未だ小さいです。

例えば、2019年7月の中国人観光客の訪日外客数は、1,050,420人でした。

2019年同月比で回復度合いを計算すると、約30%(=313,300人/1,050,420人)しか回復していないのです。

一方、2023年7月の外国人観光客の訪日外客数は、2,320,600人でした。

2019年7月の外国人観光客の訪日外客数は2,991,189人ですから、回復度合いは約78%(=2,320,600人/2,991,189人)です。

中国人観光客の訪日外客数が完全回復するには、さらに追加で約70万人(=2019年7月中国人観光客数1,050,420人 - 2023年7月中国人観光客数313,300人)の訪日が必要でした。

仮に70万人の中国人観光客が日本に訪問すれば、2023年7月の外国人観光客数は、ちょうど300万人で、訪日外客数の回復度合いも100%になります。

つまり、他国の観光客は2019年以前のように回復しているにも関わらず、中国観光客だけが回復していない状態なのです。

中国人観光客は何にお金を使っているのか(何見てるのか)

未だ完全に回復していないとはいえ、中国人観光客数は増加傾向にあり、一定数の市場規模を有します。

訪日後に祖国へ帰っても越境ECなどで日本製品を継続して購入するという、旅アトの購買も考慮に入れると、見逃すことはできない市場です。

では、中国人観光客は何にお金を使っているのか、つまり何見てるのかについて、分析してみましょう。

非常に参考になるのは、⽇本政府観光局から出ている「訪日外国人消費動向調査」というレポートです。

2023年4-6月の訪日外客数へアンケートを行った結果がありますので、それを見てみましょう。

まず、旅行前支出について、団体パッケージツアーで来る中国人観光客は少なく、大部分が自前で往復航空を手配していることがわかります。

【旅行前支出の購入率、⽇本政府観光局より】

なお、購入率は、「購入したと回答した人数 / アンケート対象者数」を示しています。

次に、日本滞在中の費目別支出の購入率を見てみましょう。

下記が、日本滞在中の費目別支出のうち、宿泊費・飲食費・交通費・娯楽等サービス費の購入率を示したものです。

【日本滞在中の費目別支出の購入率、⽇本政府観光局より】

宿泊費・飲食費・交通費については、全国籍・地域の平均とほぼ変わりはありません。

一方、娯楽等サービス費の購入率は、全体的に低めです。

他の外国人観光客には人気な観光ガイド、テーマパークや美術館・博物館・植物園・水族館は、あまり興味がないようです。

例外として、マッサージ・医療費だけは断トツで高く、日本の医療サービスを受けることを目的として、訪日している中国人が一定数いることがわかります。

下記の図には、買物代に関する購入率が示されています。

【日本滞在中の費目別支出の購入率、⽇本政府観光局より】

全体の購入率は高く、特に化粧水・香水・衣料品の購入率は、全国籍と比較して高めです。

一方、お酒や民芸品・伝統工芸品は、低めです。

中国人観光客はどのくらいお金を使っているのか

中国人観光客が何にお金を使っているのか(何見てるのか)でしたが、実際どのくらいお金を使っているのかを見ていきましょう。

下記が、日本滞在中の費目別支出のうち、宿泊費・飲食費・交通費・娯楽等サービス費の購入者単価を示したものです。

【日本滞在中の費目別支出の購入者単価、⽇本政府観光局より】

まず、宿泊費・飲食費・交通費は若干高いものの、全国籍・地域の平均とほぼ変わりはありません。

一方で、娯楽等サービス費を見てみると、舞台・音楽鑑賞、スポーツ観戦、マッサージ・医療費では、全国籍や単価からいっても大きくお金を使っていることがわかります。

展示会・コンベンション参加費の消費単価は、極端に小さく、ビジネスより観光で訪日している中国人が多いことがうかがえます。

最後に、買物代の購入者単価を見ていきましょう。

【日本滞在中の費目別支出の購入者単価、⽇本政府観光局より】

まず、一人当たりの購入単価は149,540円であり、全国籍で断トツの一位です。

ちなみに、⽇本政府観光局によれば、国籍・地域別の1人当たり旅行支出は、1位.英国(35万9千円)、2 位.中国(33万8千円)、3 位.オーストラリア(33万7千円)の順で高いです。

費目別では、宿泊費・交通費は英国、飲食費はフランス、娯楽等サービス費はオーストラリア、買物代は中国が最も高いという、国の色が良く出ている調査結果が出ています。

買物代については、訪日旅行が終わった後でも越境ECなどを活用して継続的な購入につながることが多いですから、旅アト消費も含めると、中国人観光客の消費支出額はNo1.であることは間違いないでしょう。

買物代の費目別支出の購入者単価に話を戻すと、すべてが平均を上回っています。

特に、金額を多く使っているのは、生鮮農産物(49,133円)、化粧品・香水(46,869円)、衣類(58,966円)、靴・かばん・革製品(131,380円)、時計・フィルムカメラ(240,062円)、宝石・貴金属(177,742円)です。

また、購入率が低かった民芸品・伝統工芸品では、21,437円で多国籍平均よりも2倍近い金額を消費しています。

民芸品・伝統工芸品については、興味を持っている人の割合は多くないものの、購入者の予算は大きいということを示しています。

中国人が日本の民芸品等に触れる機会を増やすなどし、認知度を高めれば、更にマーケットが広がる可能性を秘めているとも言えるでしょう。

中国人観光客の人気ランキング

中国人観光客に人気なスポットランキング

一人当たり消費単価において中国人観光客は全国籍ランキング2位の優良顧客であり、買物に関しては断トツトップのVIP観光客であることがわかりました。

そこで、実際に中国人観光客に人気なスポットや買い物などについて、ランキング形式で紹介したいと思います。

まず、中国人観光客に人気なスポットランキングは、下記の通りです。

  • NO.1草津温泉
  • NO.2東京タワー
  • NO.3奈良公園
  • NO.4富士五湖
  • NO.5日本東京银座
  • NO.6東京競馬場
  • NO.7富士山
  • NO.8東京ディズニーランド
  • NO.9北海道
  • NO.10上野公園

なお、このスポットランキングは、中国ローカルの様々なジャンルの人気ランキングを発表する「排行榜123」という投票サイトを参照した情報です。

実は、ランキングサイトによってランキングが異なるのですが、多くのランキングサイトでも、草津温泉は堂々の1位として、紹介されています。

1位として選ばれている理由について、草津温泉は各種治療効果が期待できること、風景の美しさ、東京からの利便性などが人気の理由として挙げられています。

中国人観光客に人気なお買い物ランキング

次に、中国人観光客に人気なお買い物ランキングを紹介したいと思います。

马蜂窝(Mafengwo)という中国ローカル旅行会社調査のサイト上で紹介されている、日本に行った時の必ず買うべきもの10選は、下記の通りです。

  • 1位.雪肌精
  • 2位.サンテFX
  • 3位.龍角散
  • 4位.伊势半(ISEHAN)
  • 5位.アミノ酸ナイトダイエット(ORIHIRO)
  • 6位.大麦若葉 (山本漢方製薬株式会社)
  • 7位.冷えピタなどの冷却シート
  • 8位.魔法瓶
  • 9位.無印良品
  • 10位.アネッサ

化粧品やサプリメント、直接肌につけるものなど、すべて安全性が求められる商品が、上位にランクインされていることに気づきます。

冷えピタなどの冷却シートも、安全性を重視するのかと思いがちですが、中国では小さい子どもがよく使う商品でもありますので、特に安全性が重視されています。

また、人気商品のすべては、もれなく中国で認知度が高い商品という特徴も見逃せないです。

中国人観光客に人気な医療機関ランキング

次に、購入率・消費単価ともに高かった、中国人観光客に人気な医療機関ランキングを紹介したいと思います。

最近、中国国内では、日本医療ツアーが活発になりつつあります。

実際、医療観光・インバウンド集客に動き出している中国プラットフォームが出てきています。

例えば、2023年8月末に、Tmall Globalが訪日中国人旅行者向け「医療ツーリズム」事業を開始したと発表しました。

また、口コミサイトで有名な大衆点評や美団 (Meituan)では、これまでコロナ渦が続いていたため、それほど医療観光・インバウンド集客には力をいれていませんでしたが、共同で2023年9月から日本の医療クリニックへのサービスを本格的に開始しています。

君美网という中国ローカルの美容整形サイトによれば、美容関連の医療機関のランキングは下記の通りです。

  • 1位.自由之丘美容整形医院
  • 2位.THE CLINIC美容外科医院
  • 3位.ノエル銀座クリニック
  • 4位.利茨美容外科医院
  • 5位.新宿東口スキンクリニック

美容関連の医療機関のランキングは数多くあり、実際ランキングサイトによって、ランキング内容が異なるのですが、自由之丘美容整形医院はどこのランキングサイトでも上位にいます。

中国人観光客集客の成功事例の紹介

草津温泉

中国人観光客に人気なスポットなどの各種ランキングを紹介しましたが、その中でなぜ中国人観光客の集客がうまくいっているのか、紹介したいと思います。

まず、中国人観光客に人気なスポットランキングの1位だった草津温泉について、中国人観光客の集客がうまくいった秘訣を見ていきましょう。

草津温泉がうまく集客できた理由は、草津温泉街が一体となり、インバウンドビジネス戦略を実施したことにあります。

具体的には、現状分析、インバンドに成功している事例研究を目的として海外視察、現状と成功事例のギャップ分析を行いました。

そのギャップ分析に基づいて、必要な施策を明確化し、統一感のある街づくりや外国人観光客が不自由なく楽しめるようにホームページの多言語化、中国SNS含むプラットフォームで紹介、通訳ガイドの設置など行いました。

インバウンドビジネス戦略の詳細は、下記のサイトでも見ることができますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

kokusai-resort.net/wp-content/uploads/2017/04/senryaku_kusatsu.pdf

当初、草津温泉のインバンド戦略では、欧米向けにフォーカスしたものでしたが、世界的にも草津温泉が有名になり、中国メディや中国SNSでも取り上げられ、中国でもNO1の観光スポットになりました。

特に、小紅書(RED)での草津温泉の紹介コンテンツは、中国SNSで非常に人気があります。

小紅書(RED)にて、ツアーや旅館のプロモーションを行っている投稿も多く、コメントを見ると、「12月3日は予約できますか」など非常に盛り上がっていることがわかります。

【小紅書(RED)での草津温泉の紹介コンテンツ】

アネッサ

中国観光客に人気な商品のすべては、もれなく中国で認知度が高い商品という特徴があります。

日焼け止めクリームブランドのアネッサがまさにそれを証明しています。

アネッサは、2021年初期までは、中国では無名と言ってもいいくらいの認知度でした。

ところが、2021年4月頃から、中国版TikTok抖音(Douyin)や小紅書(RED)を戦略的にうまく活用して、中国での認知度を上げました。

その結果、中国国内のECコマースでの売上だけでなく、日本で中国観光客によく買われる商品にもなり、日本の売上にも大きく貢献しています。

日本自由之丘美容整形医院

美容関連医療機関ランキング第1位の日本自由之丘美容整形医院は、中国人観光客集客に成功しているクリニックのひとつです。

理事長の古山登隆氏をはじめとする高い技術を持った専門医師がそろっていることや、最新鋭の設備がそろっていること、そして、可能な限り「メスを入れない」を入れずヒアルロン酸などの注射治療を推奨していることが、中国女性に高く評価されています。

また、ホームページも一部ではありますが、中国語版があり、中国観光客もアクセスしやすいように設定されています。

最も特徴的なのは、小紅書(RED)を活用したプロモーションです。

まず、日本自由之丘美容整形医院自身の小紅書(RED)や中国版TikTok抖音(Douyin)アカウントがあり、化粧品の紹介などを行っています。

その他、推測の域を出ませんが、中国インフルエンサーマーケティングもしっかり行っていることがうかがえます。

例えば、「如酱在东京」という化粧品専門の中国トップインフルエンサーのアカウントを見ると、自由が丘のぶらり旅に見せ、しっかりと日本自由之丘美容整形医院の紹介が行われています。

【如酱在东京小紅書(RED)アカウントでの紹介動画】

「いいね」は約500、コメントも150近くあり、小紅書(RED)上での美容関連のコンテンツとしては、大きな話題を呼んでいます。

さらに、クリニックの看板を見せつつ、美容室として肌チェックなどの様子を紹介しており、小紅書(RED)の医療関連の規制もうまくかわしています。

最後に

以上、中国人観光客の行動傾向、旅行先人気ランキング、集客成功事例などについて、解説しました。

弊社は、日本と世界を更に近づけるために、訪日外国人向けのインバウンド事業や、日本製品を海外に展開するアウトバウンド事業を展開しています。

インバウンド事業においては、訪日外国人の富裕層やVIP向けに豊富なコンテンツを全てオーダーメイドで企画・制作からサポートしております。

ぜひご気軽にご相談ください。

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