中国最大の口コミ投稿サイト「大衆点評（大众点评, ピンイン：dà zhòng diǎn píng）」。
情報爆発の時代と言われるこの現代、消費者は各方面に対して多くの選択肢を持つようになりました。
そのような時代的背景から重要視されるようになったのが、実際のユーザーの声、すなわち「口コミ」です。
この記事では、大衆点評（大众点评）の機能や店舗マーケティングへの活用方法について、紹介していきます。
大衆点評（大众点评）とは？
大衆点評（大众点评）の基礎情報
日本でも、飲食店に関する口コミ投稿サイトが有名です。
例えば、「食べログ」や「ぐるなび」、「HOTPEPPERグルメ」などがあります。
また、旅行に関連する口コミ投稿サイトとしては、「トリップアドバイザー」や「Expedia」、「Booking.com」などが挙げられます。
一方大衆点評（大众点评）は、飲食店（グルメ）、サービス店（商業施設やジムなど）、宿泊施設、チケット、国内外ツアーなど、さまざまなジャンルを網羅しており、日本の各種口コミ投稿サイトを統合したような存在です。
具体的なジャンルとその特徴は以下の通りです。
・グルメ：グルメ情報メディアでシェアNo.1
・サービス店：ファミリー施設やフィットネスなどがシェアNo.1
・ホテル・交通：ユーザー数は7000万人
・オンライン映画チケット：ユーザー数は1.2億人
・フードデリバリー：単月のオーダー金額は約60億元
さらに大衆点評（大众点评）は、ユーザー数や登録店舗数が多いため、中国人向けのマーケティング手段としても活用されています。
特に日本の飲食店やインバウンド事業を展開している方々にとって、訪日中国人観光客にアプローチするための注目の口コミ投稿サイトと言えるでしょう。
大衆点評（大众点评）の利用方法
まずは実際に大衆点評（大众点评）のスマートフォンアプリをダウンロードするか、ウェブサイト（ https://www.dianping.com/ ）にアクセスしてみましょう。
【大衆点評（大众点评）ウェブサイトの様子】
先に述べた通り、大衆点評（大众点评）ではグルメ、サービス、旅行など、幅広いジャンルの口コミを調べることができます。
アプリを開くと、画面上部にイラスト付きのアイコンが並んでいるのが確認できます。
これらは、全世界で登録されている3,000万件以上の店舗を検索できるカテゴリーです。
今回は、最もよく使われる「グルメ」について、その検索方法を紹介します。
グルメ（飲食店）を検索したい場合は、まず左上のアイコン「美食」をタップします。
その後、スマートフォンのGPS機能を使用して周辺の飲食店の名称やその評価、口コミを確認できます。
【左上のアイコン「美食」から飲食店を検索】
さらに、フードデリバリーが可能な飲食店については、配達までの所要時間や距離などの情報も確認できます。
【店舗ごとにフードデリバリーサービスを利用可能】
また、検索結果を絞り込む機能もあります。
これはフードデリバリーを利用する場合だけでなく、日常生活のさまざまなシーンで便利です。
【距離や駅、料理ジャンルなどで検索結果の絞り込みが可能】
その他にもランキング機能やアプリ内で座席予約をする機能があります。
これにより、ユーザーは人気のあるお店をランキング上位から選び、座席予約でスムーズに食事を楽しむことができます。
【「美食排行」：ランキング、「订座」：座席予約】
各店舗のアカウントには割引券などのクーポンが掲載されており、これを使用することでユーザーはお得に食事や体験を楽しむことができます。
さらに、大衆点評（大众点评）のクーポンを使用した場合、その内容は評価待ちまたは使用済みの項目や注文履歴に反映されます。
評価された投稿は他のユーザーからも確認ができるため、新規顧客の獲得につながるのです。
また、注文履歴は当時の思い出を振り返るきっかけとなり、リピーター顧客の獲得につながります。
【各店舗でクーポンを利用可能】
現代社会における口コミの重要性
なぜ口コミが重要視されるのか
どうして中国において、大衆点評（大众点评）をはじめとした口コミなどによる評判が重要になったのでしょうか。
冒頭で、中国では、モノを買う時や何かを食べに行く時などの判断の際に、その評判を重要視する傾向にあると述べました。
たしかに日本においても、「食べログ」や「ぐるなび」、「トリップアドバイザー」、「Expedia」などの口コミ投稿サイトがあります。
そして食事や旅行などの目的に合わせて、口コミサイトを使い分けています。
つまり、この口コミを重要視する文化は中国に限った話ではないということです。
昨今、情報爆発の時代と言われるネット社会において、消費者は食事や旅行などの各方面に対して、非常に多くの選択肢の中から意思決定をできるようになりました。
多くの選択肢があるということは、同時にそれらの比較ができる環境になったと言い換えることもできます。
そのような状況にある消費者には、「自身の選択に対して、後悔したくない・失敗したくない」という心理がはたらきます。
そこでポイントになるのが、その店舗や旅行先、体験を比較検討するための実際のユーザーの声、すなわち口コミなのです。
良い口コミがもたらす効果
インターネットの急速な発展は、企業の口コミマーケティングに新たなチャンスをもたらし、近年の企業マーケティング普及において、重要な戦略の一つです。
インターネットにおける口コミマーケティングの利点は、広範な波及ルートと急速な波及速度です。
近年、ソーシャルメディア、ブログなどのプラットフォームを通じて、企業は消費者とより直接コミュニケーションをすることができ、直接的にブランドの知名度を高められる環境にあります。
同時に、情報の迅速な波及により、消費者が製品やサービスに関する情報をすぐに入手することができ、購入を選択する可能性が高くなります。
良い口コミは企業にとって重要な役割を果たしています。
さらに、企業の信用度と認知度を高め、顧客をファンにし、販売促進の効果も持ちます。
そして、ファンの増加は市場シェアの増加につながり、マーケティングコストの低減や投資収益率の上昇を達成、最終的には企業の競争力と持続可能性を向上させます。
そのため、企業は良い評判を作ることを重視して、絶えず製品とサービスの品質を改善し、お客様のニーズや期待を満たすようにすることが重要になります。
実際に口コミをしてみよう
ではここで、大衆点評（大众点评）の口コミ機能を試してみましょう。
【上海の某インド料理店、約二千件の口コミが投稿されている】
各店舗のサイトには「評価（评价）」という項目があり、そこに各ユーザーによる口コミが表示されています。
また自身が口コミを投稿したい場合には、右下にある「評価を書く（写评价）」をタップすることで、5点満点の星評価や文章、写真を用いて、評価ができます。
さらに口コミ機能には、「匿名評価（匿名评价）」がある点もポイントです。
匿名評価は、特にクレームなどユーザーのご意見を書き込む際に使用されることが多いです。
つまり、匿名評価はユーザーを保護することでその情報の真実性を保証し、同時に店舗側に対してその改善を要求する効果があるのです。
上に記載したように、インターネットにおける口コミマーケティングの利点は、広範な波及ルートと急速な波及速度にあります。
そして、急速に広まる良い口コミは企業の信用度と認知度を高める効果を持ちますが、悪い口コミもまた同時に急速に広まり、企業の悪い認知を広め、信用度を下げることにつながるのです。
そのため、このような口コミが重要視される情報社会において、各店舗はお客様ファーストで、サービスの改善を迅速に行い、良い口コミを少しでも多く獲得することが求められます。
大衆点評（大众点评）とインフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングとは
インフルエンサーマーケティングとは、ソーシャルメディアなどで大きな影響力を持つインフルエンサーに、ブランドの製品やサービスをPRしてもらい、消費者の購買などの行動に影響を与えるマーケティング手法です。
【フォロワー数に応じて分類されており、それぞれその影響力が異なる】
中国においてインフルエンサーマーケティングをする際に、「KOL」と「KOC」という単語が重要になります。
KOL（Key Opinion Leader）とは、主に中華圏のインフルエンサーマーケティング業界で使用されている表現です。
KOLは、ソーシャルメディアなどで強い影響力を持っている人物を表しますが、一般的に芸能人などは含めず、特定の分野に特化し、専門性の高いコンテンツを発信することで多数のフォロワーを得ている人を表すことが多いです。
一方、KOC（Key Opinion Consumer）とは、KOLほど専門知識はなく、あくまでも一般人として自分が試した商品に関する情報を発信します。
KOCは、フォロワーとの関係がより親密であり、フォロワーに信頼されていることから、各フォロワーの行動への影響力が高いとされています。
商品やサービスのプロモーションに対し、KOLとKOCのどちらを起用すべきかについては、プロモーションの目的や、商品自体の知名度、広告予算などによって異なります。
一般的に、KOCは投稿を依頼するコストが安く済む上、フォロワーのエンゲージメント（いいね！やコメント、シェアなど）率もKOLより高いため、効率良くプロモーションができるとされています。
プロモーションしたい商品の状態に合わせて、KOLとKOCのどちらを起用するのか決めるのがおすすめです。
KOL/KOCを使用した宣伝の効果は、以下のように多岐にわたります。
①消費者の購買意欲を高めるインフルエンサーの信頼性
インフルエンサーは特定の分野で専門知識や経験を持つ人々であり、彼らの意見や推奨はフォロワーにとって信頼性が高いと感じられます。
そのため、インフルエンサーが推奨する商品やサービスは、一般的な広告よりも信頼性が高いと感じられ、消費者の購買意欲を高める可能性があります。
②ターゲットへの効率的なアプローチ
インフルエンサーは特定の分野や趣味、ライフスタイルに特化したコンテンツを提供しているため、そのフォロワーは特定の興味やニーズを持つ集団です。
そのため、インフルエンサーマーケティングは、特定のターゲット市場に対して効率的にアプローチすることが可能です。
③高いエンゲージメントによる、宣伝内容の認知度向上
インフルエンサーは自身のパーソナリティや視点を通じてフォロワーと深いつながりを持っています。
そのため、インフルエンサーが提供するコンテンツは、フォロワーからのエンゲージメントが高く、これにより商品やサービスの認知度を高めることができます。
大衆点評（大众点评）とインフルエンサーマーケティング
口コミサイトとして優勢な立ち位置にある大衆点評（大众点评）ですが、インフルエンサーマーケティングとして優勢なのは、小紅書(RED)や中国版TikTok抖音(Douyin)とされています。
【大衆点評（大众点评）にて、インフルエンサーを使用したライブ配信の事前広告】
【実際のライブ配信の状況】
口コミがポイントとなる大衆点評（大众点评）ですが、やはり最初の導入部分では一定数の集客をしなければなりません。
インフルエンサーマーケティングを検討される際には、導入部分において小紅書(RED)や中国版TikTok抖音(Douyin)、その後のランニング部分の口コミを強みとする大衆点評（大众点评）でリピーター獲得を検討してみるのはいかがでしょうか。
大衆点評（大众点评）導入のメリットやデメリット、インバウンドマーケティングとの相性などについては、下記の記事で紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
大衆点評（大众点评）は日本のインバウンド業界に新しい風を吹かせるか | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
最後に
以上、大衆点評（大众点评）の機能や店舗マーケティングへの活用方法について、解説しました。
弊社は、日本と世界を更に近づけるために、訪日外国人向けのインバウンド事業や、日本製品を海外に展開するアウトバウンド事業を展開しています。
インバウンド事業においては、訪日外国人の富裕層やVIP向けに豊富なコンテンツを全てオーダーメイドで企画・制作からサポートしております。
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